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銀色の風  作者: 紫音
~第1章~
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72.神界へ

キアとフローリアは交代で3時間おきにシルフィーナとガイの様子を見に行くようにした。

ガイはシルフィーナを大切そうに抱いたまま寝たり起きたりを繰り返しているようだったが、シルフィーナは起きる気配は全く感じなかった。

キアはフローリアの指示通り、ガイが起きているときにはシルフィーナとの楽しい話を静かに聞かせた。

ガイの反応はとても薄い物だったが、不安より楽しい思い出を頭に残すようにしたかった。

唯一シルフィーナのピアスの話をしたときにだけ、ガイは頭を動かしシルフィーナがずっとつけているピアスを見た。

ガイがシルフィーナにプレゼントした紫水晶の泡のようなピアスだ。

フローリアが来た時には、常にガイを励ます言葉を告げるようにしたが、神技で眠ることは拒否し続けた。

しかし、日がたつにつれ、ガイの反応が鈍くなり、フローリアがやってきても顔を上げることが無くなってきた。

ガイの限界を感じたフローリアはキアをアレクシウスの元にやった。

その夜、予定よりも二日早く神霊体のアレクシウスはフローリアの元にやってきた。

「フローリア、ガイの為に神界へ行こうか」

「ええ、お兄様」

キアにフローリアの体を預け、神霊体となったフローリアはアレクシウスと共にガイの元へ向かう。

「ガイ」

アレクシウスが声をかけると、ガイがこちらを見た。

「起きていたのか?」

小さく頷く。

「神界に行こう、神帝の元へ」

ガイは小さくだが力強く頷いた。


真っ白な神界、そこに神帝は居る。

何処をどう行けばよいのか全く分からなくなりそうな真っ白な神界で、アレクシウスとフローリアは真っ白な床をまっすぐに進んでゆく。

その後ろをシルフィーナを抱っこしたままのガイが続く。

ある一角に来ると神と女神の進みが止まったので、ガイも止まる。

アレクシウスがひと声発した。

「父上」

ふわふわと白い霧が目の前だけ薄くなってゆき、その奥の方に白い柱が見えてきた、神帝ゼウニオスだ。

アレクシウスとフローリアはそれぞれに神帝への挨拶をしたが、ガイはシルフィーナを抱っこしているのでそのまま立っていた。

「父上、先にキアから申し上げたと思いますが、私の判断ミスがもとでシルフィーナが目覚めません」

とアレクシウスは深々と頭を下げた。

「お父様、このままではあと6か月後には定着したアベルとルーカスが産まれてしまい、シルフィーナの眠りを知れば神霊体が肉体から離れてしまうかもしれません」

フローリアが言うと、神帝は真っ白い玉座に座ったまま言葉を発した。

「あと6か月あるのだな」

ゆっくりで重々しい神帝の言葉がシルフィーナを思いやって小さな声だが、あたりの空気に響く。

「せっかく地上界に降りるのを楽しそうに語っていたのに眠りに落ちるとは、憐れな我が子よ。アレクシウス、お前の責任は後で追及する。フローリア、迅速な対応に感謝する。そしてガイ、お前の女神をしばし儂に抱っこさせてもらえるかな?なに、大丈夫だ、可愛い娘の障害になっているものを取り除くだけじゃ。渡してもらえるかな?」


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