64.ガイの心
ラナダ王国でキアと遊んだり、フローリアのお稽古事やお茶会へのお誘いへついて行ったりと毎日がとても楽しく、あっという間に週末を迎えてしまった。
明日はアレクシウスの所に戻る日なのだが、ギリギリまでキアに遊んでもらった。
その夜、ガイと部屋に下がったシルフィーナはガイに聞いた。
「ガイ、お兄様の所に行くのは夜でいいでしょ?」
「もちろんです」
「じゃあ、それまで何をして遊ぶ?それとも体力温存で眠る?それとも女神の愛を授けても大丈夫よ」
「・・・では、悪戯をして欲しいです」
「・・・ねえガイ、私、分かったことがあるの。私がガイに女神の愛を授けたら神力がお兄様の所に行ったら持たないと思っているのでしょ?」
「・・・」
「でもね、前にも言ったけどガイは優しいから私は平気なのよ。もしお兄様の所で神力が減ったらお兄様にもらうわ」
「・・・」
「それにね、女神の愛を我慢するために悪戯をして欲しいと言ってるのでしょ?違う?」
ガイはシルフィーナから目をそらした。
「・・・半分、当たっています」
「半分?」
「はい、女神の愛は私の心を充満させてくれます。悪戯は私の心を無にさせてくれます。どちらも私は欲しいのです」
「無に?心を無にさせなければならないことってなぁに?」
赤くなったガイの頬に手を当ててこちらを見させた。
「それは、言ってはいけないことですのでご容赦を」
ガイの薄赤い瞳は目をギュッと閉じてしまったので見えなくなった。
「ガイ、私の優しいガイ、あなたは私の物よ。それは分かっている?」
「はい、でもシルフィーナ様は私だけの女神では、あっ!」
シルフィーナがにっこりとほほ笑んだ。
「そうね、女神だもの。みんなに等しく愛を授ける義務がある。でもね、女神にも依怙贔屓はあるわ」
驚いたガイの目が開いた。
「え、シルフィーナ様に限ってそんなことは」
「あるのよ。私は私の神族が一番可愛くて、一番大好きで、一番我儘を聞いてあげたいの。これは依怙贔屓だけど誰にも咎められない私の事実よ。分かる?」
ガイの瞳が揺れている。
「それは、シルフィーナ様の神族はアベルとルーカスと私のことです。今は私・・・だけ?」
ゆっくりとシルフィーナは頷いてガイを抱きしめてあげた。
「でも、勘違いしてはダメよ。アベルとルーカスが腹の中の今は、ガイ一柱が私の我儘を聞かなければならないの。それは結構大変なことだと思うのよ。自分で言うのは何だけど我儘な女神なんだもの。その分ガイを甘やかして何が悪いの?」
ガイの腕がシルフィーナの背中をギュッと抱きしめた。
「シルフィーナ様、お慕い申し上げております。何があってもシルフィーナ様から離れません」
「ガイ、私も大好きよ。ガイは心を無にしてまで我慢をしなくてもいいのよ。ほかの神族への女神の愛はガイには不愉快なのは分かっているけど、それは私のお務めだから、そこは我慢してもらわなければならないけど」
「はい、はい、分かっております。申し訳ございません。至らない私で申し訳ございません」
この日のガイの望みは、たくさんの接吻と抱擁だった。




