60.悪戯
「フローリア様、戻りました」
キアは神使の礼を取り主のフローリアに挨拶をした。
「どうだった?」
「はい、真夜中に目覚めた折にガイと思っていたら抱っこしていたのがこの日女神の愛を頂く予定だったジーンで、あまりの驚きにかなり大泣きされた模様です。ガイが宥めて落ち着いたので、その後はジーンの謝罪も受け入れ、かなりご機嫌にガイに女神の愛を授けたのではないか、とのことでした」
「また女神の愛を強要したのか!」
「いえ、そうではなくお休み中のシルフィーナ様を起こすのを躊躇ったガイとジーンが相談の上、このままお眠りなら抱っこだけ交代しよう、となったそうです。この件に関しましては、ジーンがかなり責任を感じているようですが、シルフィーナ様はお許しになったそうです」
「・・・明日ガイにも話を聞いた方が良いようですね」
「しかし、今日のシルフィーナ様は本当にご機嫌でしたね」
と話を聞いていたカイルが口をはさむ。
「確かにご機嫌でたくさんお食べになられてたな、まだお腹が大きいですよ」
体を貸したセムスも同調したら、みんなに笑われた。
まだ空がうっすらと明るい中、部屋に下がったシルフィーナとガイはお喋りをしていた。
「今日のお菓子は美味しかったですか?」
いつものように抱っこはしているが、抱き着かれてはいないのでシルフィーナの顔を見ながら話をしていた。
「美味しかったわ、特にモンブランがまた食べたいわ、無花果は多分季節的にもう無理だと思うし、ガイはなぜ食べないの?」
不意に質問を受けてガイは困ったような顔をした。
「私は人間の食べ物にはそれほど興味はございませんので」
と白を切る。
「そうなの?ガイは何に興味が大きいのかしら?」
「私の興味、情、心の全てがシルフィーナ様に向いております」
「じゃあ、私の好きそうなものって知ってる?」
「はい、存じています」
「なぁに?」
「最近の一番のお気に入りは悪戯でしょう、あの時のシルフィーナ様のお顔は最高に楽しそうでしたから」
シルフィーナの目が大きく見開かれた。
確かに悪戯は楽しかったけど、ガイに悪いことしたかな?とも思ったので、それをガイが挙げて来るとは思わなかった。
「頭の中がさっきのお菓子でいっぱいで悪戯のことは忘れていたわ」
「え!私に悪戯をしたのを忘れられていたのですか?それはかなりショックです」
「そんなに悪戯が気に入ったの?」
「・・・実は、気持ちが本当に良かったので、・・・気に入りました」
「逆悪戯の時には私は必死に声を出さないように我慢したわ」
「そうでしたね、あの時は私の負けです。絶対に声を出させようと思ったのに」
「じゃあ、逆悪戯しましょうか?私が声を出したらガイの勝ちでガイの希望を聞くの。私が勝ったらガイが私の言うことを聞くの。どう?」
「お疲れではないのですか?今朝は夜中にお起きになったのだし、今日の所はお眠りになりませんか?」
「ガイは全然眠ってないのよね?私も疲れたから今日はやっぱり寝ちゃいましょうか」




