59.再びラナダ王国
ラナダ王国王女フローリアは従者セムスに命じて午後のお茶の用意をさせていた。
この王女の普段のお茶は従者二人と一緒に自室のリビングで楽しむ。
王族、ましてや王女が男の従者と3人でお茶などとありえない話であるが、王女の我儘を最大限に発揮して現在に至る。
「そろそろ来るかしら?」
そうつぶやくとフローリアはお茶を口にした。
「そうですね、せっかくシルフィーナ様が好きそうなお茶菓子をご用意しましたからね」
テーブルには三段重ねのお皿スタンドが3つもある。
「キアの話によると、このサンドイッチとこのケーキとこのタルトあとこのジャムが食べたいと先日のお茶会の時におっしゃっていたそうですよ」
従者カイルがお菓子を指刺しながら、情報を披露する。
「問題はお茶が終わる前に来るかしら?」
「あ、おいでのようですよ」
キアが嬉しそうに言った。
空中にふわっと二柱の神族が顕現した、シルフィーナとガイである。
「お姉様!」
シルフィーナは姉の胸に飛び込み、ガイはその場で神使の礼を取って控えた。
「遅かったわね、お茶が冷めちゃうじゃない、あなたの好きそうなお菓子を揃えて待ってたのよ、セムスに入って一緒にお茶をしましょう」
そう言われ、ガイを振り返って憑依しても良いか確認してみたら、頷いた。
「ガイ、お前は俺に入れ」
とカイルが申し出てくれたが、今回も丁重にお断りした。
またもや大量に食べられそうなセムスの体を借り久しぶりにお茶を楽しんた。
「あ、キュウリのサンドイッチ、美味し~、お姉様モンブランの上に金が乗っていますわ、綺麗ですわね」
と言いつつ、しっかり食べる。
「キア、私が言ってたフルーツタルトだわ、無花果かしら、まだ季節的にあるのね」
とほぼ一人でしゃべり、嬉しそうに食べる。
周りはほんわかと見守ってくれているのは全く気が付かないシルフィーナである。
流石に1時間ほどしたらガイからストップがかかったので、渋々セムスに体を返した。
「お姉様、ありがとうございます、久しぶりにお菓子を堪能できましたわ」
「良かったわね、また市井に行って美味しそうなお菓子を見つけてきて頂戴、私も食べたいわ」
真夜中に大泣きをしていた女神とは思えないほどの満足しきった笑顔を姉に見せた。
「そうだ、お兄様がお姉様によろしくっておっしゃっていたわ」
「あらそう?そういえばキアに私が怒っているって伝えてもらってあっちでの待遇は良かったの?」
「はい、無理なく過ごせたと思います、ありがとうございます」
「憑依は疲れたでしょ?この間使っていた部屋を使っていいから、今日は早く休みなさい」
「はい、ありがとうございます、キアまた遊んでね」
「もちろんです、遊びましょう遊びましょう」
「それではお姉様、ご馳走になりありがとうございました、おやすみなさい」
とシルフィーナはかなり早めの夜の挨拶をしてガイと一緒に消えて行った。
「目元が少々腫れていたわね、何かあったのかしら?キア、お兄様の所に行って聞いてきてくれる?」
「かしこまりました」




