58.謝罪
朝早く、ドアがノックされた。
ドアを開けなくてもこの神々しい神気はアレクシウスである。
ガイが返事をするとアレクシウスはドアを開けずに中に入ってきた、神霊体なのにドアをノックしたのだ。
「女神さまのご機嫌は直ったかな?」
ガイに空中で抱っこされたままクルクル回りながらあれからずっとお喋りをしていた。
「お兄様」
とシルフィーナは手を伸ばし、ガイから離れて兄の元に飛んで行った。
アレクシウスはシルフィーナをキャッチするとギュッと抱きしめた。
「おお!ご機嫌になったな。目が覚めてビックリし過ぎたんだろう。もう大丈夫か?」
「大きな声を出してごめんなさい。あの、ジーンにごめんねって」
「ジーンはドアの外で居るぞ、呼ぼうか?」
そこはやっぱり首を振った。
「私がジーンに」
と言ってガイが外に出てしまった。
「シルフィーナ、今日はフローリアの所に行く日だったかな?」
「う~ん、まだ考えておりませんが、お昼過ぎにはお姉様の所に行くかもしれません」
「そうか、では、ジーンにその旨をフローリアに伝えに行くようにさせる」
「ありがとうございます」
にっこりとシルフィーナが笑った。
「ガイは凄いな、あの泣きわめく女神からこんなにかわいい笑顔を取り戻させるなんてな」
兄は妹の頭を撫でた。
「お兄様、今回お城の外って意外に面白かったわ。次に来るときはお城にお戻りになっていらっしゃるの?」
「う~ん、たぶん帰っていると思う。また神気をたどって来てくれるか?」
「はい」
と極上の笑顔で答えた。
またドアがノックされ、ガイがジーンを伴ってドアを開けずに入ってきた。
「シルフィーナ様、申し訳ございませんでした!このお詫びは、このお詫びは」
「ジーン、あなた何か私に悪いことをしたの?」
「え?でも、シルフィーナ様」
「私、勘違いして大きな声をあなたの耳元で出してしまったわ、ごめんなさい」
「あははは!流石俺の妹だ、流石女神様、寛大な対応痛み入る」
「うふふ、大げさなお兄様ですこと」
「さあ、俺はこれから朝の支度をして公務だ。フローリアによろしく伝えてくれ、またな」
アレクシウスはシルフィーナを手放すと手を振って消えた。
「シルフィーナ様、ガイ、ありがとうございます。失礼します」
とジーンは固い挨拶の言葉を述べた後、神使の礼を取ってから消えた。
「もう誰も来ないわよね」
「そうですね」
「では、お姉様の所に行く前にガイに女神の愛を授けましょう」
「悪戯の方じゃないのですか?」
「悪戯にしたらガイが放心状態になっちゃうじゃない、お昼からお姉様の所に行けなくなるわ」




