57.ガイ、なだめ係
シルフィーナの頬に自分の頬を当ててみたら、涙に濡れた頬は熱かった。
ちょっと離して涙を拭いて差し上げたかったが、シルフィーナの腕がギュッと首に絡みついて離れない。
「落ち着かれましたか?涙をお拭き致しましょう。お顔をお見せくださいますか?」
と言ったら首を振って益々ギュッと腕に力が入った。
「では、もう少しこのままでお話いたしましょうか?」
頷いた。
「私がいけなかったのです、お許しください、ダーレンの後、ずっとお休みだったシルフィーナ様をジーンの時間だからとお起しするのを躊躇ったのです」
しゃくりあげも止まり、シルフィーナは静かにガイの話を聞いていた。
「ジーンが、シルフィーナ様がお休みならそのまま自分が抱っこする、と言ったのでシルフィーナ様のお気持ちも考えずジーンに抱っこさせました。申し訳ございません」
少しシルフィーナの腕に力が入ったが、何も言わず話を聞いているようだった。
「ジーンも折角お休みの所をお起こしするのを躊躇ったのです。どうか、ジーンへのお怒りは、私の浅慮の所為です。私にご処分を」
話を聞いていたシルフィーナがようやく落ち着いたようで、ポツリポツリと話し始めた。
「・・・ガイだと・・・思ってた・・・首に・・・接吻を・・・何度も・・・したの・・・目を開けたら・・・襟足の髪が薄茶色だった・・・白くなかった・・・。白くなかったの!」
ガイは白髪である。
白くなかったのがよっぽどショックだったのだろう、また泣き出した。
「シルフィーナ様、目お開け下さい、目の前の襟足の髪は何色ですか?」
グズグズと泣きながら
「・・・白いわ・・・」
「では、瞳の色は分かりますか?」
「・・・薄赤・・・」
「おや?見ないで分かるのですか?」
ようやくシルフィーナが顔を上げて、ガイの瞳を見た。
「薄赤」
潤む紫色の目から涙をぽろぽろ流しながら答えた。
「正解です。私はガイです。あなたの神使です。やっとシルフィーナ様の美しいお顔が拝見出来ました」
ゆっくり頬を伝う涙をぬぐって差し上げた。
「私が泣いても、ガイは怒ってないから薄赤」
「どうして私が怒るのですか?こんな美しい女神を私の女神と呼べるのに、私の腕の中で甘えて下さるのに、私に優しい接吻をくださるのに、私の心を満たす女神の愛をくださるのに、たまに悪戯されて恥ずかしい思いもしますけどね」
「うふふ」
「やっとお笑いになった!やはりシルフィーナ様は笑顔が特に素敵です。私に悪戯して、いけない笑顔をなさったときも私はとても恥ずかしかったですが、シルフィーナ様のいけない笑顔も素敵でしたよ」
「また悪戯されたいの?」
「はい、悪戯されたいです。私はすごく恥ずかしくて、でも、とても気持ちが良くて、悪戯の後は放心状態になってしまいましたが、シルフィーナ様にたくさんの接吻を頂戴出来ましたし、貴女がとても楽しそうだったので」
シルフィーナの顔を拭きながら、ガイはとんでもない希望を述べた。
「うん、あの悪戯は私もとても楽しかったわ、うふふ」




