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銀色の風  作者: 紫音
~第1章~
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56.女神ご乱心

「ジーン、お前シルフィーナ様に何をしたんだ!」

グイドに胸ぐらをつかまれ凄まれたジーンは、上げていた手を振って

「何も、何もしてない」

「だったらこの状況はどうしたことだ!」

今度はダーレンにも言い寄られた。

「本当です、眠っているシルフィーナ様を抱っこさせてもらったら、気持ちよくって一緒に寝てしまっただけです」

アレクシウスと神従はガイの方を見た。

ガイは頷いて答えた。

「昨日シルフィーナが部屋から出てこないと思ったら、ひょっとしてダーレンの後は起きなかったのか?」

アレクシウスの問いにガイが再び頷く。

その間にもシルフィーナはかなりのショックがあったようで、ガイにしがみ付いたまま泣き叫んでいた。

「眠ったままのシルフィーナをガイからジーンに抱っこさせてそのまま眠っていたら、シルフィーナが起きたんだな」

「はい、そうです!」

ジーンが必死の面持ちで答えた。

「抱き着いているのがガイのはずがジーンだったら、それはビックリするだろう」

アレクシウスは豪快に笑った。

「ジーン、今日はもういいだろう、シルフィーナをガイに返してやれ」

「はい、もちろんです!たぶん寝ぼけてだと思いますが首筋に接吻を頂けたし、十分女神様を抱っこさせてもらいました」

ジーンにとって女神に叫ばれ、神族に怒鳴られ、散々な夜であったが、女神のぬくもりは嬉しかった。

「シルフィーナ、シルフィーナ、ちょっと落ち着け」

アレクシウスはシルフィーナの近くで話しかけたが、一向にこちらを見向きもせず、ガイにしがみ付いたまま声を上げて泣いていた。

「俺たちがいるとシルフィーナが落ち着かんな、ここはガイに任せて行こう。ガイ、済まぬがシルフィーナを頼む」

「ガイ、ごめん、こんなにビックリされるとは思わなかった。シルフィーナ様にお詫びを」

ジーンも謝罪の言葉を残して去っていった。

やっと部屋は静かに、・・・ならなかった。

まだショック状態のシルフィーナはガイの名前を呼びながらガイの胸に抱き着いたまま泣いていた。

幸い女神の声は神族にしか聞こえないので砦の人間は全く気が付いていない。

よっぽど抱き枕がガイのはずがジーンだったということがショックだったのだろう。

頭をなで背中をギュッと抱きしめて差し上げながら声をかけた。

「シルフィーナ様、私の女神様、ガイです。シルフィーナ様、もう誰も居ません。ガイだけです。もう怖くはありません。どうぞ、泣くのをお止めになって、ガイに美しいお顔をお見せください。シルフィーナ様、私の女神様」

落ち着いた声色で、ゆっくり語り掛けるよう、何度も何度も繰り返し話しかけた。

次第にシルフィーナは落ち着いてきたようで、鳴き声が止み、まだしゃくりあげているが、子供のように縋りついていた。

宙に浮いてゆったりとクルクル眠るときのように回転を始めると、もっと落ち着いたようだったので、眠るときのように抱っこをし、背中をさすって差し上げた。

「シルフィーナ様、私の女神様、ガイです。もう誰も居ませんよ。もう怖くありませんよ」

「・・・がぁいぃ・・・」

「はい、ガイです」

「・・・ガイィ・・・」

「はい、ガイです。私のシルフィーナ様」


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