52.悪戯の跡
夕方、アレクシウスが砦に到着した。
馬車での移動は少々時間がかかるが、車内で簡単な執務や打合せが出来るので移動には重宝する。
馬車を降りると、ふわっと女神が降ってきた。
女神はアレクシウスの頬に接吻だけすると、また昇って行ったので、主の横に控えていたジーンが女神の後に続いた。
アレクシウスは目線を女神に向けるわけにはいかないので、そのまま何事も無かったようなそぶりで砦に入って行った。
女神シルフィーナは砦の塔の上に座った。
「シルフィーナ様、ガイはご一緒じゃないのですか?」
とジーンは女神に問うてみた。
「ふふふ、さあガイはそろそろ復活したかしらね」
「え?まさかフラウですか?」
シルフィーナはクスクス笑いながら答える。
「いいえ、普通に接吻しただけよ、あ、ちょっとだけかじったわ、ふふふ」
(かじった!)楽しそうなシルフィーナに呆然としたが、ちょっとガイが心配になった。
「ガイの様子を見に行ってまいります、シルフィーナ様、あまりお動きになられないようお願い申し上げます」
ジーンは今朝案内した従者用の部屋に行ってみたら、ガイが俯いて床に座り込んでいた。
「おい、ガイ、何があった?」
ゆっくりガイが顔をあげた
「ジーンか、シルフィーナ様をお見かけしたか?」
「ああ、塔の上にたいそうご機嫌に座っておられる」
「そうか、・・・行かなければ」
「いったいどうしたんだ、お前がシルフィーナ様から離れるなんて」
「・・・多分、悪戯だ、羞恥心と理性を根こそぎ持っていかれた」
そういうと、トーガをめくって体を見せてくれた。
首筋に歯形、首から腹には無数の接吻の後が赤く残っていた。
「これ、どこまで続いているんだ」
「太ももまである」
「ということは・・・」
「ああ、素直に通過はしてくれなかった」
「それって」
「いや、俺も気持ちが良かったんだ、たぶん、今はアレクシウス様側の神族の週で俺に女神の愛を与えられないからな」
「いいえ、目覚め一番事務報告をした罰です」
「シルフィーナ様!」
ガイとジーンがシルフィーナの突然の登場に驚いた。
「あら~、いっぱい跡が残っているわね、うふふ、お兄様に見せられないから消しちゃいましょう」
と言うと指を一振り、クスクス笑いながらガイの体の跡を綺麗に消し去った。
「シルフィーナ様、俺は、あ、いや、私はシルフィーナ様をお慕いしております」
「ええ、分かっているわ、私もガイが好きよ。ガイ、今日みたいのは嫌?フラウの方が良いの?」
「・・・嫌じゃないです。とても気持ちが良くて、でも、恥ずかしくて・・・」
「ふふふ、私のガイ、また悪戯してあげるわ、いつかね。楽しみにしておきなさい」
ガイをギュッと抱きしめて、優しく接吻をするシルフィーナを見て、ジーンは、女神さまの神使役のガイが羨ましいと思っていたが、意外に男性体としてはきつい物があるのかもしれないと思った。




