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銀色の風  作者: 紫音
~第1章~
37/436

37.途方に暮れるガイ

フローリアの部屋をシルフィーナが飛び出して行ってお昼間近の2時間少々経った頃、ようやくガイがフローリアの元にやってきた。

見た目はいつもの無表情だが、実のところあまりにも接吻が強烈だったので、ようやく立ち上がれた次第だった。

「フローリア様、ごあいさつが遅くなり申し訳ございませんでした」

と深々と神使の礼を取るガイを見てフローリアと神従は複雑な表情をしていた。

「ガイ、女神の愛を受け取れましたか?」

「はい、フローリア様のご厚情を賜り、シルフィーナ様より女神の愛を与えていただきました」

「それは良かったですね、あの子の望みだったのです」

「ありがとうございます」

フローリアと神従は一瞬、どうしようかと思ったが、接吻の件も切り出してみた。

「先ほどキアから聞いたが、あの接吻を所望したそうだな」

カイルが代表して聞いてみた。

一瞬ガイがビクッとしたようだったが、さすがに態度には出さない。

「はい」

「無礼者!女神にわがままを言うとはお前は女神を何だと心得る」

畳みかけるようにセムスが叱咤した。

「申し訳ございません」

益々ガイが頭を低く下げるのを見ながら、カイルは話した。

「ガイよ、女神はお前の物ではない。だが、お前はシルフィーナ様のものだ。我々神族は主人たる女神の為に居る。神族から女神には本来は声もかけてはならぬ。シルフィーナ様がお優しいからと言って自分の立場を見失うでない」

「はい、心得ております」

ガイがこちらを見ないことをいいことに三柱は目を見かわし、セムスが声を出した。

「ところで、例の接吻の感想を聞かせてもらおう」

「え?」

クスクスと三柱が笑っているが、神従もこの接吻を賜ったのだった。

「あの、強烈でした。とても気持ちが良くて、体の力がすべて抜けて、床に落下してしまいました。先ほどまで立ち上がることが出来ませんでした。あのような技をお持ちだったとは、存じませんでした」

フローリアが高らかと笑った。

「なんと情けない準神霊どもでしょう!カイルとセムスも立ち上がるのに1時間もかかるし、ガイに至っては2時間も立ち上がるのにかかるとは!ガイ、シルフィーナを怒らせたわね。シルフィーナはよっぽど不愉快だったのでしょう」

言葉にならない、自分はシルフィーナ様を怒らせたのを今知った。

(どうりで部屋にシルフィーナ様が居なかったはずだ、お怒りだったのだ。すぐにお会いしてお詫びをしなければ!でも、ここにはシルフィーナ様はいない、いったいどこへ?)

「すぐにシルフィーナ様にお詫びを申し上げたいのですが、シルフィーナ様はどちらにいらっしゃるかお教え願えますか?」

相変わらずの無表情だが、気持ちの動きは見える。

「あの子はキアと一緒に市井に遊びに行ったわ。また市場でも覗いているのでしょう。お前は午前中は解任と言われているのでしょう。今、追いかけたらまた怒られるわよ。ほら、まだふらついているではないですか?カイル達より強い接吻をもらったようですから、お昼までここで休んでいなさい」

フローリアからは心のある言葉をもらったが

「ありがとうございます、しかし、私の大切な女神から目を放すなどと、アベルとルーカスに申し訳ないので追いかけます」

ガイは一礼すると、市場に向かって飛び立って行った、残された三柱はクスクスと笑っていた。


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