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銀色の風  作者: 紫音
~第1章~
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36.例の接吻

少々トラブルはあったが、無事に女神の愛を二日がかりでガイに授けたシルフィーナは、健やかに眠っていた。

もちろん抱き枕はガイである。

まあ、ガイにも抱き枕にされているのでお互いさまと言えばそうなる。

いつものように結界の中で二人でくるくると漂っていると、さすがに心配になったのかキアが来た。

「シルフィーナ様?ガイ?」

と声に出さないようにそっと声をかけて近づいてみる。

「うん、まだ、ガイが眠っているわ」

起きたのはシルフィーナだった。

やはり声を出さなかったが、前とは違い答えてくれた。

「・・・朝、ですか?」

ああ、起こさないようにと思ったのにガイが起きてしまった。

「おはようございます、あれから3日目の朝でございます。二柱ともご気分は如何ですか?」

フローリア側の神族が一番気になっていた質問をキアがした。

「ええ、私は大丈夫よ、ありがとう」

「・・・私はまだ、一つシルフィーナ様にお願いが、残っています」

遠慮がちにガイが切り出すとシルフィーナとキアが、それは何?言うような顔をガイに向けた。

「あの、例の、接吻が欲しいのです。フローリア様の神従にした、あの接吻を私にもお与え下さい」

キアが慌てて

「あれはお止めになった方がよろしいかと」

と言いつつシルフィーナの顔をチラッと見たら、シルフィーナが眉根を寄せへの字口をしていた。

「・・・どうしても?」

「どうしても!」

朝から接吻をせがまれ、大きなため息をついたシルフィーナだったが、意を決しこう言い放った。

「では、午前中のお前の任務を解きます、部屋でじっとしていなさい。昼から私の元に来るように」

「え?」

とガイが不思議に思っていた途端、シルフィーナからの希望通りの濃厚な熱い接吻を時間をかけてお見舞いされた。

「シ、シルフィーナ様」

とキアが横で大慌てをしているが、第一目的の女神の愛を授けた後なのでもう構わない、と思い強行に出た。

案の定、シルフィーナが離れると、ガイは空中から床に落下した。

ガイが落ちるのを冷めた目で見送った後、シルフィーナは神技で紫の房飾りのついた白いトーガを着て、キアに声をかけた。

「さあ、キア、お姉様に朝のご挨拶に行きましょう」


「お姉様、おはようございます、たくさんの神力を頂き無事に目的を果たすことが出来ました、ありがとうございます」

「それは良かったわ、で、その目的の相手はなぜそばに居ないの?」

「それはですね」

とキアが先ほどの朝のやりとりを説明した。

姉神と姉神の神従たちが顔を見合わせた。

「あ~、あれは効きましたよ、私たちも恥ずかしながら腰が抜けて立ち上がるのに1時間ぐらいかかりましたよ」

「まあ、お姉様の神従ともあろうお方が、大げさな、うふふ。ガイは午前中だけ解任しましたので、お昼前には復活するでしょう。その前に私はキアをお借りして市井に逃げます。私に我儘を言ったガイをたくさん困らせてあげましょう」

と、意地悪そうな微笑みをたたえて、フローリアたちの背筋を凍らせた。


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