31.シルフィーナの神力量
翌朝、フローリアの所に朝の挨拶に行った。
キアが待ち構えていて
「シルフィーナ様、お待ちしていましたよ。今日はお約束通り王妃様の衣裳部屋へ遊びに行っちゃいましょう!」
と楽しそうにシルフィーナの腕を引っ張り、フローリアの従者に
「シルフィーナ様に手を触れてはならん、無礼だぞ」
怒られたが、シルフィーナはどちらかと言うとそういう態度を取ってもらえるのは嬉しかった。
ガイはと言うと、シルフィーナに危害が無ければ無表情のまま斜め後ろに控えたままである。
そもそも、神霊体に危害を加えることは誰にも出来ないので、ガイはシルフィーナの様子を見るだけだ。
「待ってキア。朝から市場を見に行きたいわ。市場ってお昼に閉まっちゃうもの。王妃様の衣裳部屋はお昼からにしない?」
「おお!それもそうですね~」
「お姉様、キアをお借りして市井に出向いても構わないでしょうか?」
「・・・羨ましい、私も行きたい・・・」
ふくれっ面のフローリアが恨めしそうに言うので少々困った。
「ダメです、殿下は実体なんですから。今度お忍びで出られそうか検討してみますので、今回は我慢してください」
しっかり者の神従カイルがフローリアを諫めた。
フローリアはふくれっ面を止め、シルフィーナに向かって指を動かした。
神界のトーガ姿のシルフィーナは、町のお嬢さんと言うような可愛いドレス姿に変わった。
「まあ、こんな手があったのね、お姉様ありがとうございます」
シルフィーナは姉の真似をして、ガイとキアに神技を使ってみた。
ガイが精悍な街の男の装いに、キアは見た目通りよく働く町娘のような装いに変わった。
「シルフィーナ様、神技を使うとは!神力切れになって遊びに行けなくなりますよ」
ガイが口うるさく怒るが、シルフィーナはコロコロと笑っている、楽しそうだ。
「ではお姉様、行ってきます、お昼過ぎには戻って来ますので、市井のお話をお聞き下さいね」
「ええ、行ってらっしゃい」
三柱が消えた後
「ガイは過保護ですね」
神従セムスがクスクス笑いながら言った。
「カイル、シルフィーナの神力量の回復はどのくらいだとみる?」
カイルは少し考えたが
「私に女神の神力を測るなどと恐れ多いことですが、おおよそ6割がたと思われます」
フローリアがジロッとカイルを見た。
「そう、私もそのぐらいだと思うわ。一度枯渇すると全快まで時間がかかるわね」
ため息交じりにフローリアが言った。
「ガイはここに来てから女神の愛を賜っていないようですね」
セムスもシルフィーナの神力量を見ていたようだ。
「それにしても衣装を変える神力なんて神力量の1%も使わないのにガイのあの慌てよう、余程女神の愛が待ち遠しいのでしょうね」
フローリアはクスクス笑いながら、ガイの慌てた顔を思い浮かべていた。
「シルフィーナ様の回復を願っているのはガイだけではありません。私どももシルフィーナ様にはもっとお元気で笑顔でここでは楽しんでいただきたいです」
「そうよね、あの美しい子には笑顔が一番だわ」




