3.アレクシウス
スタニラスガ王国
王城の修練場で剣の稽古をしていた第二王子アレクシウスは神の気配を感じた。
もちろん父の神帝ではない。
妹神のシルフィーナだ。
(近々地上界に降りると聞いていたが今日だったのか、しかも私のいるスタニラスガにか?)
「今日の稽古はこのくらいにしよう」
「ありがとうございます」
騎士たちに見送られ神従の従者グイドとダーレンを伴い執務室に戻るなり神使ジーンを呼んだ。
「ジーン、シルフィーナが下りてきたようだ、どこに定着するつもりか調べてこい、定着に手間取るようなら手を貸すと伝えてこい」
「かしこまりました」
フッとジーンが消えたが気にも留めずグイドが疑問を口にした。
「この国にはアレクシウス様がご降臨しておられるのになぜシルフィーナ様までこの国にご降臨なさるのでしょうか?」
ダーレンもそうだと言わんばかりの顔をしている。
「それはシルフィーナ本人に聞けば分かるだろう、あいつも俺の神気を感じているだろうから近いうちに来るだろうな」
「私はあのお美しいシルフィーナ様を久しぶりに拝見できるのがとても楽しみです」
「ダーレン、それは俺もだ。俺の妹の美しさはずっと飽きずに見ていたいものだ」
「私はフローリア様のお美しさを押させていただきます」
「グイドはフローリア推しか?近いうちに合えるさ」
三人はニコニコしながら美しい女神たちの話をしているが、神はみな総じて美しい。
アレクシウスにしても美しいが、神従たちも美形だ。
尤もアレクシウスは男盛りにはもう少し年齢が足らぬ16歳。
まだまだ美少年である。
それでも光り輝く笑顔は宮中の女性陣の羨望の的であった。
コンコン、執務室のドアがノックされた。
ダーレンがドアを開けると、国王の使いが居た。
「失礼します、アレクシウス王子殿下、国王陛下がお呼びでございます」
「分かった」
スタニスラガ王国第二王子は執務室に落ち着く間もなく、国王の執務室に向かうのだった。