24.お茶会
お茶の用意を待っている間にフローリアの部屋を探検させてもらった。
フローリアの部屋はとても広く、入ってすぐに取次の間、左隣に接見の間、右隣に近しい人用の応接間、リビング、その奥にベッドルーム、水回りがある。
どの部屋も王女様らしく明るい色目のレースやフリルがたくさんついた小物で満たされていた。
いつもはどこでもガイがシルフィーナの後をついてくるが、さすがにレディの部屋と言うことで王女のリビングからは動かなかった。
ベッドルームに大きな熊のぬいぐるみがあったので抱き着いてみたが熊の後ろにまで手が届かなかった。
何処にも人影は無く、たぶんシルフィーナが来るので人払いをしていたのであろう。
誰にもシルフィーナは見えないが、フローリアと会話していたら王女の気がふれたようにしか見えない。
リビングに女官がお茶の用意を運んできた。
運び終わると王女フローリアは
「ゆっくり頂くから下がりなさい」
と人払いをした。
「さあシルフィーナ様、どうぞ」
ソファに座ったセムスがシルフィーナに体を貸してくれた、またもや男性の体なのでいっぱい食べれる。
カイルもガイに変わろうとしてくれたが、ガイは遠慮した。
「お兄様の所でもお茶を頂いた?どうだった?」
「はい、頂きました、でも、ここのお茶のように華やかなお菓子は無かったわ」
タワーに三段のお皿に乗ったお菓子やサンドイッチ、周りにはチョコレートや果物のお皿もたくさんあり目移りしてしまう。
しかもアレクシウス好みなのか生クリームが乗ったケーキなんか出なかった。
「こんな華やかなお菓子は見たことがありませんわ、頂いても?」
「好きなだけ食べなさい、どうせ胃袋はセムスなのだからいっぱい食べれるわよ」
あまりにも美味しそうにシルフィーナが食べるので、周りは、良かったですね、と言う雰囲気を醸し出していた。
「ところでお兄様はお元気だった?」
「ええ、とてもお元気です、今日から辺境の視察にお出かけになりました」
「辺境?遠いわね、じゃあ、どのくらいこっちに居られるの?」
セムスの体がモグモグしだしたので代わりにガイが答える。
「一週間交代でフローリア様の方とアレクシウス様の方に行き来する段取りになっています」
「一週間交代?」
「はい、アレクシウス様がシルフィーナ様に視察同行を持ち掛けたのですが、シルフィーナ様が拒否なさり、折衷案で一週間交代となりました」
「まあ、お兄様ったら、シルフィーナを独り占めしようとしているのね、何てこと!」
「フローリア様にご相談無く大変失礼だと思いましたが、アレクシウス様を納得頂くために私めがご提案申し上げました」
ガイが深々とフローリアに頭を下げる。
「多分、女神の愛に飢えていたのね、お兄様」
「はい、と神族でございます」
その言葉にフローリアとフローリアの神族たちがギョッとして、納得顔に変わった。
当の本人はセムスの体でガッツリとケーキを食べながら眼だけはフローリアとガイを行ったり来たりしていた。
「ああ、このケーキ美味しい」
「良かったわね、気に入ったのなら次のお茶会にまた入れるように言っておくわ」
「本当ですか?お姉様、とても嬉しいです」




