132.お茶の時間
キアがお茶時間にシルフィーナを起こしに行ったら、シルフィーナの目がほんのり開いていた。
起こしてもなかなか起きない女神が、お茶の時間前に目が覚めているのは珍しい。
「シルフィーナ様、お目覚めですか?」
こっちを見たが返答がないので、ガイがまだ眠っているのだと悟る。
「ガイの眠りが深いんですか?お茶の時間なんですが、どうしましょうか?」
声に出さないように問いかけてみたら、シルフィーナの口だけが動いて、お、こ、す、と言った。
(起こしてくれるのですね)と思っていたら、シルフィーナはガイから少し体を離すと左腕でガイの頭を抱え込み、右手でガイの鼻をつまむと同時に、かぶりつく様に口でガイの口を覆った。
暫くもしない間にガイが暴れ出したが、シルフィーナはガイの頭を抑え込んだままピクリとも動かなかった。
が、さすがに10秒程度で開放してあげていたが・・・。
(シルフィーナ様って過激)とキアは思ったが口に出ず、唖然としてしまった。
「シ、シルフィーナ様、何をなさるのですか!」
ガイが慌てふためいてシルフィーナに言った。
「起こしました。私より後に目覚めるとは女神をたてていない証拠です。且つ、ルーカスの所で勝手に沈没した罰です。おかげでアベルの所で散々お小言を言われたのですよ。女神の立場が全くありませんでした。お前の所為です。ですがお茶の時間なのでこの程度の罰で済ましてあげます。さあ、キア行きましょう」
「なあに?あなた達また喧嘩をしたの?」
「いえ、お姉様、喧嘩ではありません。ガイが悪さをするので罰を与えたんです」
「ガイ、どんな悪さをして怒られたの?」
とフローリアがガイに話を飛ばした。
フローリアの神従達と部屋の隅で話を聞いていたガイが慌ててだが無表情を保って返事をした。
「はい、シルフィーナ様より遅く起きたのを叱責されました」
「まあ、それは一大事ね」
とフローリアも不敵な笑いをしていた。
「フローリア様、それだけではないようですよ」
とカイルに体を借りているキアがサンドイッチを食べながら余計なことをフローリアに吹き込んだ。
「それ以外?ガイ、それはなぁに?」
ガイがかなり困った様子でもじもじし始めて、シルフィーナに助けてほしそうに視線を送った。
「はぁ、ルーカスが悪戯をして欲しいというので悪戯をしてあげたら、後ろでガイまで沈没しちゃったんです。おかげで一柱でアベルの所に行ったらアベルに私が散々怒られたんです。有り得ませんわ!」
ガイに注がれる神従の視線が冷たかったが、女子会は呆れた顔になっていた。
「それはもっと一大事ね。女神を放っておいたら寂しいわよね、シルフィーナ」
と言うとフローリアは優雅にお茶を口に運んだ。
「ええ、アベルに怒られた後はアベルにあやしてもらいましたけど、今日はアベルに悪戯をする約束をさせられましたわ」
「ええ、アベルも悪戯ですか?」
とキアが驚いたようだった。
シルフィーナはクッキーをつまみ
「アベルが神族全員が沈没しては障りがあるので、自分は次回でいい、と言ったんです。きっとガイは今日も後ろで沈没するんですよ」
そう言うとじっとりとガイをにらんで、指に挟んでいたクッキーを口に運んだ。




