131.家族と恋神
アベルの元にガイがやってきたのは、それから1時間少々経った頃だった。
アベルのベッドに子供アベルとシルフィーナが並んで眠っていた。
「アベル、ガイだ、アベル」
シルフィーナが眠っているのでかなり小さい声で呼びかけたが、子供アベルは目を開き、神霊体を顕現させた。
アベルの神霊体はシルフィーナに腕枕をしていた。
「ガイ、意外に早かったな。事の詳細はシルフィーナ様にお聞きした」
「そうか、シルフィーナ様を一柱にして申し訳ない」
「いや、分かっているなら何も言うまい。お前はシルフィーナ様を困らせてはいないか?上手く甘えて差し上げているか?」
アベルの言葉に違和感があった。
「甘え差し上げている?」
アベルの顔が、ああ、分かってないな、っと物語っていた。
「そうだ、女神とは俺たち神族を率いてゆく立場だ。だが、神族との関係はそれだけではない。お互いに信頼し、甘え甘やかし絆を深くする。俺たちはシルフィーナ様を家長とする家族であり、そしてこれが一番重要だ、恋神である」
「恋神?人間のような恋人?」
「そう、それに近いかもしれない。女神とて甘えたいことがある。その時は恋人のように接して差し上げろ。そしてシルフィーナ様は女神だ。甘えて差し上げることでシルフィーナ様は女神として矜持を持てるのだと思うぞ」
「・・・ルーカスにもシルフィーナ様に甘えろと言われた。そうか、女神の矜持か」
「ああ、そうだ。但し、上手くな。シルフィーナ様のご機嫌を損ねると困ったことになるからな」
ガイの脳裏にフラウの一件が思い出された。
「ああ、それは体験した。丸一日辛かった」
アベルは意外そうな顔をした。
「なんだ、怒らせたのか。まあそういう思いをしたのなら、もう二度と怒らせるようなことをするなよ」
「ああ、分かっている」
アベルはシルフィーナの髪や顔を優しく撫でながら言った。
「綺麗な女神だろう。この方が俺たちの女神様だ。愛されるだけではなく愛して差し上げて欲しい。大切に、大切に」
眠っているシルフィーナの手を取ると接吻をした。
愛おしそうな目でシルフィーナを見ていたが、起こさないように気を付けている。
「まだ眠って1時間ほどだ。城に連れ帰ってゆっくり休め。今日もアレクシウス様の城に帰るのだろう?」
「今日の昼からフローリア様のお茶会があるので、ラナダ王国の王城に行く」
「そうか、さあ、連れて行ってくれ。俺は眠るよ」
ガイはシルフィーナをいつものように抱き上げたら、やっぱりアベルにも言われた。
「いつもそうやって眠っているのか?羨ましいな」
「ああ、抱っこがお気に入りでいつもこうなんだ、じゃあ、また明日」
「ああ、シルフィーナ様、おやすみなさい」
ガイはラナダ王国のフローリアのリビングで眠っているキアの所に寄った。
「キア、眠っているところ済まない。今日はこの城で眠るからお茶の時間に起こしに来てくれ」
「はぁい、りょうかいですぅ」
と半分眠りながらキアが答えたので、自室に引き取った。
(アベルにもルーカスにも抱っこが羨ましいと言われたな。シルフィーナ様が叫ばなくなったら抱っこを変わってあげよう。この眠り方はとても心地よい。シルフィーナ様だけでなく俺も深く眠れる。おやすみなさい、シルフィーナ様)




