130.お小言
沈没したルーカスとガイを見捨ててシルフィーナはアベルの元に飛んだ。
正気に戻ったらガイが追いかけて来るだろう。
「アベル、私のかっこいいアベル、起きてる?」
アベルは眠っていたが、シルフィーナの声に目を覚まし、神霊体を顕現させた。
「シルフィーナ様、接吻を」
さすがアベルは、まず接吻をせがむ。
「今日はガイと一緒ではないのですか?」
「一緒だったわよ。先にルーカスの所に行ったらルーカスと一緒に悪戯で沈没しちゃったから置いて来たわ」
「沈没?」
シルフィーナは、しまった!と言う顔をしたが遅かった。
「シルフィーナ様、沈没って?」
「・・・」
「シルフィーナ様、お教えください」
声に凄味が入ってきた。
「・・・えっと、・・・接吻で・・・行かすの・・・」
「何ですかそれは!悪戯で接吻して行かして沈没?あなたはいったい何をしているんですか!」
(ああ、アベルは口うるさい。困ったわ)と顔に出たようだ。
アベルにため息をつかれた。
「ごめんなさい。ルーカスが是非ってひかないものだから悪戯したら、ガイが自分で行っちゃったの。びっくりだわ」
「もう、あなたは!いったい何時になったら自分の魅力にお気づきになるのですか!」
「はい、済みません」
「女神は謝らないんです。突っ切って行ってもらわないと私たちがどうすれば良いのか迷うじゃないですか」
「はい、おっしゃる通りです」
「しかも護衛の神使を放ったらかして、一人で飛んでくるとは不用心にもほどがあります」
「立ち上がれば追ってくると思うけど・・・」
「ガイはどのくらい復活するんですか?」
「多分、2時間程度で大丈夫だとは・・・」
アベルはまた大きなため息をついた。
「分かりました。では、ガイが追って来るまでここに居てください。一柱でウロウロしないようにしてくださいよ」
「はい、承知しました・・・」
どっちが神でどっちが神従なのか、全く立場が逆転してシルフィーナはアベルに怒られたのだった。
「さあ、来てください。私のベッドで一緒に休みましょう」
そう言うとアベルは腕枕をしてくれた。
シルフィーナの顔を見ながら髪や頬を優しく撫で、先ほどのお説教とは裏腹に本当に優しく撫でてくれた。
「私の美しい女神様、あまり無茶はしないでください。私はこの屋敷から動けないのですよ。毎日心配なんです」
「ええ、分かっているわ。アベル、大好きよ」
「今度は私にも悪戯をしてください。神族が全員沈没するわけにはいかないので、明日お願いします」
「アベルまでそんなことを言うのね」
「私はいつでもシルフィーナ様の愛が欲しいです。今回のルーカスの方が意外ですよ」
「ええ、そうね。でもルーカスも欲しいときには欲しいってきっちり言えるから甘え上手・・・なのかもね・・・」
「シルフィーナ様、眠そうですね。このままお休みになっても大丈夫ですよ。ガイが来たら連れ帰ってもらいますから」




