119.ガイの葛藤
「では、ガイをここへ置いて行ってきてください。今の内容をアベルにも共有を」
ガイがぱっと顔をあげ
「嫌です!シルフィーナ様から離れたくない」
と言ったが、ルーカスは穏やかに
「ダメだよ。このままアベルの所に行ったら、またアベルに怒られるよ。だからシルフィーナ様はここへ先に来たのだと思うけど」
と言いつつ、チラッとシルフィーナを見た。
「うふふ、ルーカスはやっぱり素敵だわ」
しかし、ガイはますますシルフィーナをギュッとした。
「あのね、ガイ。私が定着に入ったら10か月間会えないのはガイだけじゃないの。アベルとルーカスも会えないのよ。そして一番寂しいのは私なの」
「え?」
「だってそうでしょ?三柱とも私は大好きなのよ。それにアベルとルーカスはすでに腹の中に9か月、神霊体を表すのに1か月かかっている。なのにまた私と10か月離れるの。可哀そうでしょ」
「・・・」
「さあ、迎えに来るから、ここで待っていて。アベルに会って来るから」
「嫌です、一緒に行きます」
「じゃあ、離れていつものように一歩後ろに居なさい。それが出来ないなら置いていくわよ」
一緒に居たさが勝ったのか、やっとガイが離れた。
「ルーカス、アベルの所に行くわ。明後日は来るから待っていてね」
「はい、分かりました、行ってらっしゃい」
ルーカスに接吻をしてからアベルの元に飛んだ。
幸いアベルには怒られずに済んだ。
定着の話しもアベルには何ら問題ないがその都度経過は知らせに来ると言って置いた。
そして何かを察したのか
「ガイ、お前はシルフィーナ様を困らせているのではないか?お前はシルフィーナ様をお助けする立場だ。それを忘れて甘えてばかりいるのではないか?」
と指摘された。
「はい、分かっております」
と力なくガイは答えていた。
「アベル、また明後日来るわね。いい子にしててね」
とアベルに接吻をしてスザリオ伯爵邸を離れた。
ラナダ王国の王城の自室に戻ると朝食までまだ時間があった。
元気が戻らないガイに何も言わず、接吻をしてあげた。
ガイがたった一度の接吻で興奮をして、内心悪戯をして沈没させるつもりだったシルフィーナは、悪戯は出来ず、女神の愛を提供することになってしまった。
もともと神族に女神の愛を与えることは女神の義務なので、それでも良かったのだが、これでガイが復活するとも思えないほど凹んでいるので、朝食の後にも何か手を打たねばと考えていた。
ただ、今は無心に求めてくるガイが可愛く、したいことをさせるだけだった。




