113.賑やかなお茶会
この日のお茶菓子はほぼすべて栗とスイートポテトだった。
多少の彩りにベリー類は入っているが、栗とスイートポテトのなんと相性の良い事か!
普段は中に何にも入っていないチョコレートトルテのスポンジまで栗がタップに入っていた。
クリームをたっぷり添えて食べるのが一番美味しかった気がする。
お茶会はいつものようにキアを交えて女子会になり、ガイはフローリアの神従達と男子会とばかりに部屋の片隅で話し込んでいた。
「お姉様、お兄様が来週こちらに向かって出発なさるそうですよ」
「ええ、聞いているわ。今回は1週間ぐらい滞在なさるそうよ。長いわね」
「私も来週お兄様が出立したらこっちに居てもよろしいですか?舞踏会も見学させてくださいね」
「もちろんよ。ドレスを着せてあげるわ。神技だけどね。それよりあなたの神従は順調に成長していて?」
「はい、順調です。アベルがだんだん口うるさくなってきて、ルーカスはやっぱり優しいです」
フローリアとキアに大笑いされてしまった。
「アベルの口うるさいのは想像が付きますね」
とキアがゲラゲラ笑いながら言う。
「神従の片方は口うるさいものよ。ねえ、カイル?」
とフローリアが部屋の片隅で話し込んでいる男子会に声をかける。
「え?私も口うるさいですか?」
とカイルが心外そうに答えるが、女子会はその反応が可笑しくてまた大笑いする。
「じゃあ、お姉様、セムスは優しいの?」
「はい、私は優しいですよ、シルフィーナ様」
とセムスは自分でやさしいと進言する。
「底なしに食べるけど、優しいとは思うわ」
とフローリアも賛同した。
「ああ、道理でお菓子を食べても食べてもいくらでも食べれるのですね」
とセムスに体を借りているシルフィーナが言うと、今度は全員が大笑いするのであった。
「シルフィーナ様も食いしん坊なので丁度良かったですね」
とガイが人前で珍しく冗談めいたことを言ったので、周りがシーンとした。
「ガイでも軽口をたたくのね、驚いた」
とフローリアが特に驚いたようだった。
「普段は可愛い顔をして私に甘えるのですよ。意地悪も言うし。でも神の前に出るときは優秀な神使を務めて演じてます」
「演じているわけでは・・・」
とガイが赤くなって否定したが、周りはやっぱり大笑いになってしまった。
次の週、アレクシウスはラナダ王国へ向かって旅立った。
スタニスラガ王国に居る神族は赤子のアベルのみになってしまうので、念のためにアレクシウスがアベルに結界を張って行ってくれた。
シルフィーナはアベルにも領地に居るルーカスにも結界を張っているが、ラナダに滞在中でも毎日二柱への訪問は欠かさなかった。
「もう少し大きくなったら、自分で結界を張れるのだけど、大切な神従に念には念を入れて」
神霊体には危害を加えることは不可能とはいえ、実体に傷をつけたくないシルフィーナであった。
綺麗な完全な神霊体を表せるようになるまで、もうしばらくの辛抱である。




