112.お茶のお時間ですよ
午後3時過ぎ、キアがやってきた。
お茶の時間なので眠っているシルフィーナを起こしに来たのだ。
シルフィーナはガイに抱っこされて空中をゆっくりとクルクル回りながら眠っている。
銀糸の髪と、薄紫色の縁飾りが付いた白いトーガと薄紫色のサッシュがふわふわと舞っていて何とも美しい寝姿だ。
近づくと二柱とも熟睡中でどうしようと思ったが、前にガイが、起こしても良いと言われている、と言ってたのを思い出したので、びっくりはしないように小さな声をかけてみた。
「おはようございます、おはようございます、お茶のご用意が整いました」
「・・・」
ガイの目が薄く目が開いて目覚めたようだ。
「キア、もう時間か?」
寝起きだというのにすっきりとした声でガイが言った。
「はい、お茶のお時間ですが、シルフィーナ様はお目覚めになりませんね」
ガイが腕の中の女神の様子をうかがったが、どうやら涎は無しでまだ熟睡中のようだ。
「シルフィーナ様、フローリア様のお茶会ですよ。お起きになってください」
と背中をポンポンと叩いた。
「う~ん、がぁいぃ」
何とか答えたが、まだ寝そうなので、もう少し背中をポンポンと叩く。
「はい、ガイです。お茶会が始まりますよ。フローリア様がお待ちですよ」
「今回は起きていただけそうですね」
とキアが前回の脇舐めを思い出して言った。
「おちゃかい」
「そうです、お茶会です。モンブランのご用意があります。それとマロングラッセもご用意しました」
「マロン、たべる」
「食べる前に起きてください、シルフィーナ様、涎を垂らしたら今日は怒りますよ」
「涎!」
日課のガイの首筋への接吻を忘れて飛び起きた。
「はい、今日も大丈夫のようでしたね。おはようございます、シルフィーナ様」
ガイがクスクス笑いながら言った。
「おはようございます、シルフィーナ様、お茶の準備が整っております。フローリア様のリビングにお越しくださいませ」
キアがとても丁寧な神使の礼をしていった。
「キア、おはよう。身だしなみを整えてすぐに行くわ。お姉様にそう伝えて」
「かしこまりました」
とキアが元気に返事をして消えた。
ガイから離れて立ち姿勢をとったシルフィーナは
「ガイ」
と声をかける。
ガイは神技ではなく手作業でシルフィーナの服装を整え、髪をとかして身だしなみを整えた。
ふわふわと空中を漂う銀糸の髪は絡まることは無く、美しさを保っている。
「はい、出来上がりました。今日も大変お美しいですよ、シルフィーナ様」
「ありがとう、ガイは今日も美丈夫よ。さあ、行きましょう」
二柱は手を取ってフローリアの元へ向かった。




