109.ジャシス伯爵の館にて
アベルは怒ったり緩んだりして、すぐに疲れたのか早々に眠ってしまった。
まだ赤子なので、体力が乏しいようだ。
赤子アベルの顔にたくさんの接吻を落として、ルーカスの所に向かうことにした。
アレクシウスに見せてもらった地図を頭に浮かべ西へ飛ぶ、王都よりかなり小さいが、領都と思しき比較的大きな町の北側に教えてもらった通り館があった。
ほんのりと小さな神気が輝いていた、ルーカスだ。
ルーカスは館の一室の夫人の部屋のベビーベッドで居た。
「ルーカス、私の素敵なルーカス、待たせたわね、シルフィーナよ、ルーカス」
赤子ルーカスは起きていてシルフィーナを見つけると神霊体を表した。
「シルフィーナ様、お待ちしておりました。起きていないと神気が薄くなるので頑張って起きてました」
「まあ、ルーカス、ありがとう。もう大丈夫よ。場所は覚えたから次からは眠っていて大丈夫よ」
と言いつつルーカスの顔に接吻をたくさん落とした。
「ガイ、お籠りは無事に終わったかい?」
とルーカスは優しくガイに聞く。
「はい、お籠り期間が過ぎて遅くなってすみません。シルフィーナ様とお籠りが終わった後に眠ってしまいました」
「そうか、良かったな。シルフィーナ様、お疲れはないですか?」
「ええ、起きたときはボーっとしてたけど、お兄様が神力と治癒をかけてくれたら目が覚めたわ」
ルーカスの優しい言葉にこたえながらも接吻や顔を撫でるのは止めない。
「先ほどアベルに怒られました。私が無理をさせるからシルフィーナ様がお眠りになって来訪が遅くなるんだ、と」
シルフィーナがたくさんルーカスに接吻している間にガイが先ほどの話をした。
「あはは、怒られたのか。アベルは寂しかったんだろう。私は昨日ここに着いたばかりだ。丁度移動の時のお籠りだったので、会えなくても仕方がないと思っていたからね。でもやっぱりシルフィーナ様に来ていただけるのは嬉しい」
ルーカスもシルフィーナも嬉しそうな顔をした。
「ルーカス、舌を入れてもいい?苦しかったら首を振って」
「はい、大丈夫です。こちらからお願いしたいぐらいです」
本体が赤子なのでシルフィーナも遠慮をして軽い接吻をあちこちにしていたが、ルーカスが優しいので入れてみたくなったのだろう。
シルフィーナがルーカスに濃厚な接吻をしている間もガイはシルフィーナの腰を抱いたままで放すつもりはないようだ。
「ルーカス、来週はラナダ王国から通うことになりそうよ、来月お姉様のお誕生祝賀の舞踏会があるのですって」
「それは素敵ですね。その間は遠いでしょうが、私はお待ち申し上げております」
「ああ、ルーカス、舞踏会当日は無理かもしれないけど、毎日来るわ。待っていてね」
やっとルーカスはガイがシルフィーナの腰を抱いているのに気が付いた。
「ガイ、ずっとシルフィーナ様の腰を抱いているのかい?」
「はい、今日はお立ちになるのがお出来にならなかったのでお支え申し上げているんです」
ルーカスの心配そうな顔をした。
「シルフィーナ様、どうぞご無理をなさらぬようにしていただかねばなりません」
「ええ、分かっているわ。もう大丈夫なのよ。でもガイが心配して放してくれないの」
ルーカスは複雑な顔をしたが、そろそろ眠くなってきた。
「そうですか、シルフィーナ様、そろそろ休みます。また明日来ていただけますよね」
「ええ、また来るわ。ルーカス、大好きよ。沢山眠って早く大きくなってね」
シルフィーナは眠りに落ちた赤子ルーカスにも接吻をしたのだった。




