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銀色の風  作者: 紫音
~第1章~
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108.初めて知る事実

「アベル、アベル、起きてる?私のかっこいいアベル」

赤子アベルは寝ていたが、シルフィーナの声に起きて、神霊体を表した。

「しるふぃーなさま、せっぷんを」

寝ぼけていても接吻は要求するブレない赤子である。

何度も何度も接吻を繰り返しているうちに目が覚めてきたようで

「ずいぶん久しぶりじゃないですか!お籠りは5日間ですよね。1週間も放ったらかしにされてたんですよ。どういうことですか?ねえ、シルフィーナ様、それにガイ!」

とお怒りモードのアベルである。

「ごめんね、余分の二日間はすっかり寝ちゃってて、さっき起きたのよ」

「すまん、アベル。一緒に俺も寝ていた」

とガイが口を開いたら、アベルに余計に怒られた。

「お前がシルフィーナ様に無理をさせるから、シルフィーナ様がお眠りになってしまったんだろう?それなのにお前まで寝てしまうとはどういうことだ!せめてシルフィーナ様がお休みだとジーンではなくお前が知らせに来るべきだろう?」

「え?ジーンが来たの?」

「え?シルフィーナ様はご存じないのですか?」

アベルのトーンが一気に下がった。

「ええ、知らなかったわ。お兄様が寄越してくれたのね。それにね、私が眠っているときにガイは使いに出れないわ」

「?なぜですか?」

「だって、眠るときガイに抱っこしてもらっているから」

「え?」

アベルが、何を言っているんですか!と言う顔をした。

「シルフィーナ様、抱っこはアベルとルーカスが定着後の習慣ですので知らないですよ」

ガイが慌てて口をはさんだが、その内容が余計にアベルを逆なでした。

「ガイ、お前、俺たちが腹の中に居る時に一体シルフィーナ様に何をしているんだ?しかも習慣だと?どういうことだ?」

幸い実体が赤子なので、起き上がれない。

もし起き上がっていたらガイの安全は無かっただろう。

ガイがベビーベッドから1歩下がったら、腰を抱いたままのシルフィーナも下がった。

「アベル、アベルが神霊体に戻ったら私のことを抱っこしてくれる?アベルはかっこいいからきっと抱き心地も良いわよね」

と苦し紛れの言葉をかけたら、意外なことにアベルが恥ずかしそうに赤くなった。

「シルフィーナ様を抱っこして眠ってもいいのですか?心地よさそうですね」

「はい、心地が良いです。一人で眠るより深く良く眠れます」

ガイがフォローに入ったつもりが、またアベルが怒りだした。

「お前は黙っていろ!毎日抱いて眠っているのか?きちんと女神を称えているのか?お前の仕事は女神を敬い奉り安全を見守ることではないのか?」

「はい、それとシルフィーナ様の笑顔を守ることです。ですのでお願いですからお怒りにならないでください。シルフィーナ様がお困りになっておられます」

そういわれるとアベルはシルフィーナの顔を見てシュンとなってしまった。

「申し訳ございません、シルフィーナ様。でもお約束してください。神霊体に戻ったら抱っこして一緒に眠ってくださいね」

「ねえ、アベル!神霊体に戻る前に私が実体を手に入れてある程度の大きさになったら一緒に眠れるんじゃないかしら?その時はアベルとルーカスと一緒に眠りましょう。ガイなんか放っておいてね」

アベルは嬉しそうな顔をしたが、ガイは複雑な顔をしていた。


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