表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/21

09

 台風が過ぎていった。

大きさに対して被害は少なくて済んだようだ、良かった。


 私は佑介の事が聞きたくて、友香に電話した。

「友香、佑介って覚えてる?」

「覚えてるに決まってる。」

「じゃぁさぁ、彼がよく着ていたつなぎの色は?」

「ネイビーブルー!何?そんこと聞いて頭でも打った?」

「いや、この前の飲み会で誰も佑介の話しなかったからさ。」

「それはさぁ、あの頃のボロボロな奈央を知っているからじゃない?

当時は奈央までいなくなるんじゃないかと皆が不安だったんだよ。

だから佑介の話は自然とタブーになってた、私達の中ではね。

なんとなく今でも避けちゃうんじゃない?」

私は改めて仲間達の優しさに感謝した。


 「そう言えば奈央自身もある日を境に、ばったりと佑介の話をしなくなったよね。」

「えっ!!いつくらいから?」

「う~ん。確か、佑介がいなくなって一年経ったくらい経った頃?

そうそう、ちょうど台風が直撃した後かな?ほら関西を直撃した大型台風。

大学が休校して土日明けてに行ったら、奈央が急に元気になってたのよ。

皆驚いて話したから覚えてる。」

「そう。」私の記憶が曖昧な時期もその頃だ。


 「ねえ、佑介のその後って大学で調べられない?」

「何よ急に。個人情報だからね、どうだろう。」

「お願い!!そこを何とか!」

「う~ん、実家の場所くらいなら多分。」

「ありがとう!今度お礼するから。」

「期待しないで、絶対では無いから。」



 電話を切った私は煙草に火を付けた。懐かしい佑介の匂い。

台風前の友香は『ネイビーブルーのつなぎ』なんて覚えてなかった。

台風後の友香は『ネイビーブルーのつなぎ』を覚えていた。

私自身も佑介のことを忘れていたり、急に思い出したり。

何かが変だ。佑介の存在が消えたり、現れたり?

まるで佑介が存在する世界と存在しない世界があるような?


 そんな馬鹿な!!

今の私のマンションには佑介の写真や、スケッチ。佑介が存在した証が残っている。

でも台風前の私のマンションには、佑介が存在したことを指し示すものは何一つ無かった。

唯一の証は、この月桂樹のピアスだけ。

でも肝心な私はピアスのことを忘れていた。


 その結果が指し示すのはパラレルワールド。世界が2つ?

一つの世界は佑介が存在し、もう一つの世界には佑介は存在しない?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ