06
台風に備え学校の片付けと生徒への課題対応に追われ、今日は一日大忙しだった。
生徒達の浮足立った雰囲気に私も自然と、ソワソワしていた。
帰宅途中、夕飯を作るのが怠くてコンビニに寄った。
台風の影響で、デリの棚は空っぽだった。
今日はレンチンだな、取り合ず冷凍食品と缶ビールを買って帰った。
帰宅後テレビを付けるとニュースで進路と被害状況を流している。
超大型の台風は勢力を保ったまま、早朝に関西に上陸する見込みだ。
私は念のため窓に養生テープを貼り、停電に備えて懐中電灯を枕元に置いた。
不安を感じながらニュースを見る私の隣に『You』が寄り添ってくれている。
「ありがとう 『You』」
「ミャー」と小さく鳴いて膝に乗ってきた。
珍しいこともあるものだ、『You』は撫でられるのは好きだが膝に乗ることを嫌う。
何となく眠れず、定期的に台風情報を流すチャンネルにしたままベットで横になっていた。
だんだん風と雨の音が強くなる。
スマホを見るともう台風の暴風域に入っている。
朝の4時、急に外の音が静かになった。ベランダから外を見ようとドアを開けた。
一度も外に出たことが無い『You』がその日に限って外に出た。
「『You』待って、待ちなさい!!」
私は慌てて上着を羽織り、鍵を持って外に出た。
外に出ると辺りは静まり返っていた、台風の目に入った?
マンションの外に『You』がいた。
『You』の姿を確認すると私はほっとし、近づいた。すると『You』は何故か逃げる。
『You』は私を何処かに導こうとするかのように、一定の距離を保ちながら進んだ。
私は捕まえることを諦めて『You』について行った。
気が付くと蔦に覆われた小さな画廊の前にいた、既視感に襲われる。
少し扉が開いていて、隙間から『You』が入って行った。
私は慌てて追いかけた。
中に入ると懐かしいあの作品、何故忘れてしまっていたの?
一枚の絵の前で足を止めた、女性が描かれている。
『私だ』と自然に思った。