05
久しぶりに昔の仲間に逢えて高揚した気分で帰路についた。
大学まで一時間ほどの場所に住んでいるが、なかなか大学に行く機会はない。
私は高校の美術教諭をしている。
今回教え子の一人が美大への進学を希望した為、友香に相談に行ったのだ。
玄関を開けると『You』が出迎えてくれた。
私と目が合うと「ミャー」と鳴いて擦り寄ってきた。
「ただいま『You』。何してたの?良い子にしてた?」
ゴロゴロと喉を鳴らす『You』を撫でながら話かける。
シャワーを浴びようと、いつものようにピアスを外した。
ふと外したピアスに目をやる、いつも当たり前のように身に着けている。
そう言えばこのピアスいつから着けてる?
月桂樹の葉の形で銀製ピアス、多分手作り。
シンプルだけど作り手の繊細さが感じられ、とても気に入って大事にしている。
私は金属は扱えないだとすると、どこか買ったか、貰ったかだ。
誰かに貰った??誰に?貰って覚えてないなんて無いよね。
じゃぁ自分で買った?何も思い出せない!
シャワーを浴び、テレビを付けると台風は進路予想通りに進んでいた。
このままだと明後日は交通機関は運休だろう。交通機関が運休となれば高校も休校だ。
ベランダに出ると頬に風が当たる、火照った体に心地よい風。
私は今日の出来事を思い出していた。倒れる直前の記憶が無いこと。
その間に何かとても大事なことがあった気がするのに、何も思い出せないこと。
そして、いつものメンバーが揃っていたはずなのに、誰か大切な人を忘れてるような気がして仕方がなかったこと。
久しぶりに煙草に手が伸び掛けたとき、「ミャー」と『You』がやってきた。
まるで私を窘めるかのよう、足を甘噛みした。
「ごめん、ごめん禁煙中だったね。」
『You』が我が家にきてから始めた禁煙を思い出し、伸ばしかけた手を止めた。
そして『You』を抱きベットに入った。