18
私は夜になるのを待って、『You』を連れて外へ出た。
そう、病院へ潜り込むのだ!きっと上手くいく、そう自分に言い聞かせ自分を奮い立たせた。
空を見上げると月がとても美しかった、ちょうど満月だ。
いつもよりも、明るく夜道を照らす。決行にはうってつけだ。
比較的新しい病院だから外から見ると怖さは無い。
しかし、一歩足を踏み入れるとやはり深夜の病院だ。
昼間とは打って変わって、静寂に包まれていた、自分の足音でさえ大きく響き恐怖を感じた。
幸い佑介の病室はすぐに見つかった。病室に入ると、佑介は眠っている。
そうずっと眠っているのだ、声を掛けると今にも起きそうな綺麗な顔で。
『You』が慣れた動作で彼の枕元に飛び乗った。
そして、耳元で「ミュアー」と甘えるように鳴いて、丸くなった。
安心したかのように、『You』は小さく規則正しい息遣いになった。眠ったようだ。
すると『You』の中から小さく柔らか光がふわりと出た、その光はふわふわと辺りを漂い佑介の中に吸い込まれた。
予想だと、これで佑介は目を覚ますはず。
私は緊張気味に彼の手を握った。彼の手は変わらず大きく暖かく、優しかった。
私は、この手で頬を撫でてもらうのが大好きだった。
あの頃は少しの煙草の匂いとたまにバイクのオイルの匂いがした、今はしない。少し心細くなった。
「佑介お願い、目を覚まして私はあなたに逢いたい。一緒に生きたい。」
どのくらい時間が経っただろうか、彼は変わらず眠っている。
空は東雲色に変わり、私は焦燥感に苛まれ始めていた。
美しい空とは裏腹に私の心は闇に堕ちていった。
彼の手を少し強く握り、『私は何かを間違えたのか?どうすれば良かったのか?』
自責の念に駆られていた。
急に失望感が私を襲い、涙が溢れる。
でも感傷に浸っている場合ではない、急いで他の方法を考えないと。時間が足りない!!
眠っている『You』抱き上げ病室から出ようと扉に手を掛けた。
『You』が嫌がり私の手から飛び降りた。




