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 取り乱している私を落ち着かせるために、おば様は談話室に連れて来てくれた。 

そこで珈琲を飲みながら、おば様は佑介の入院までの話をしてくれた。


 入院する年の春、佑介は頻繁な頭痛に悩まされていた。

帰省した際、佑介は珍しく私に一緒に病院へ行って欲しいと言ったの。

すぐに私達は医者から、脳腫瘍のと宣告されたわ。

急いで手術が必要と言われ佑介を見ると驚くほど冷静な表情だった。

 

 佑介は取り敢えず、「急いで下宿を引き上げる」と言いったの。

主人と引っ越しの手伝いへ行ったけど、下宿先は不思議なほど片付いていて佑介が何かを予感していたことを知ったわ。

 


 あれは入院を一週間後に控えた大雨の日、大学から佑介を訪ねて女の子がきたのよ。

佑介に「スケッチの娘?」と聞くと。

「いや、大学の同級生でよく一緒に遊んでる仲間の一人だよ。ちょっと外で話してくる。」

佑介にしては珍しく硬い表情だったわね。


 「そう、スケッチの娘は来ないの?」

「うん。スケッチの娘は『奈央』と言うんだ。彼女には病気のことを言ってない。」

「何で、言わなかったの?」

「彼女に知らせて、悲しませたり、心配させたりしたくなかったんだ。

万が一だって事だってあるだろ、病気が病気だからさ。」

「馬鹿なこと考えないで、元気になって奈央ちゃんに逢いに行きなさい。」

「そうだね、奈央の笑顔はとても可愛いんだ。俺はあの笑顔をずっと見ていたい。」

「元気になったら必ず連れてきなさいよ。皆であんたの好物の『ぬく寿司』食べに行くわよ。」

「そうだね。きっと奈央も好きだな。」そう言って笑ってたわ。


 そして同級生の娘に会って帰宅した時に『優』を連れてたのよ。

あの日は大雨で佑介も優もびしょ濡れ、入院前に風邪でもひいたらと慌てたわ。

佑介は自分も濡れているのに先に優の心配をしてたわね。

そして優は佑介の入院までの間、片時も佑介から離れなかったわ。


 

 おば様が私に話してくれたことは初めて聞くことだった。

何故あんなに佑介が私をスケッチしたがったのか、私の前から突然姿を消したのか。

佑介の私への想いが伝わって、胸が暖かくなった。こんなに誰かに愛されたことは無い。

なんとしてでも佑介を目覚めさしたい!!


おば様は最後にまたいつでも佑介に逢いにきてと言ってくれた。

「必ずまた来ます。」と連絡先を交換して帰った。


 

 ところで訪ねてきた同級生って誰だろう? 私達の仲間であれば、那月が友香。

友香の可能性は低い、先日話した時に佑介の現状にショックを受けているようだった。

だとすると那月?そういえば、こっちの世界の那月とは話していない。

 那月に連絡してみよう。

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