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プランは未だ。資源を先ず

 まずはお金を稼ぐ。

 具体的な計画は未だ定まっていないが、何をするにしてもお金は必要だ。

 目下のところ、私がお金を手に入れるには、仕事を頑張るしかない。



 今日はたーくんが来る。

 常連ばかりに頼るわけにはいかないが、た―くんもまた、頼られることに喜びを感じるタイプだ。

 だからこそ、現場に出る立場のまま多くの部下を抱える類の器と成ったのだろうから。

 いわゆる「男気」と言う者を重んじる種類の人だ。と言っても、小賢しい策を弄したり媚び売りやら色仕掛けやらをして「男気」を刺激するわけではない。

 素直に困っていることを伝え、お客様を連れてきてもらうのだ。


 それに値するだけの接客は、とにかく頑張るだけ。


 要さんも協力してくれるという。

 とにかく席を盛り上げ、また来たい、誰かを連れてきたいと思ってもらえるよう知恵を絞り工夫をしたうえで、それをサブウェポンとして備え、あくまでもホスピタリティをメインウェポンにして臨む。


 結局正攻法が一番近道なのだから。



 たーくん軍団を席にご案内する。

 今日はいつもの四人。たーくん、やまさん、ケージくんにユウキくん。タケくんは今日は不在だ。


 挨拶と来店への感謝を改めて述べながら、みんなにおしぼりをお渡しする。



「おー、誉。なんだか今日は頑張ってるなぁ」


「あ、やっぱそう思いました? なんか今日の誉ちゃん、テンション高いっすよね」


 たーくんはいつの間にか私をちゃん付け呼ぶことをやめていた。しょーちゃんや要さんへの呼び方と同じになったことは、二人と同様に私のことも一人前と認めてくれている証だとしたら嬉しい。



「はい! 頑張ろうと思いまして。なのでお客様たくさん連れてきてくださいっ」


「ばか誉っ、さすがにストレートすぎ! と言うか、結論言うの早い!」



「ははは、いや、素直で良いじゃないか。

うん、誉が楽しませてくれるからなぁ。楽しい場所には連れてきたくなるもんだ。『俺はこんないい場所知ってるんだぞ』って、自慢したい気持ちもあるしな」



 やっぱり方向感は間違っていない。



「今日もな、この前連れてきた、ほれ、暁っていたろ?」後でこの店で合流する予定になっているのだそうだ。



 暁? うん、わかる。

 高天暁さん。名刺はすべて暗記している。なんて偉そうに言うほどまだ集まっていないが。


 しかもたーくんがこの前連れてきたってキーワードに該当するのはこの人だけだから、覚えていて当たり前だけど、どのようなお客様だったのかもきちんと明確に覚えている。

 人当たりの良い人だったが、余所行きの印象だった。要はお客様の立場でありながら、接客をする側という意識でその場にいたようなもの。

 本当の意味で楽しませることはできていなかったように思う。

 名刺もママがお茶目におねだりしていただいたものだ。心も然程開いていない、というより、矢張りあくまでも仕事モードだったのだろうなと思う。


 今日もたーくんの呼びかけでの来店だ。

 今は直接的なクライアントではないとのことだったが、接待とまではいかなくても、付き合いといった色合いは強そうだ。



 そうだな。まずはあの人に、楽しく飲んでもらおう。

 それができたら暁さんはたーくんに呼ばれてくるお客様ではなく、ご本人の意思で来られるお客様になるかもしれない。そして、暁さん自身の知り合いも連れてきてもらえるようになるかもしれない。

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