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再開

 スルドを再開する。


 スルドは持ってきているから、演奏自体はいつでもできる。大きな音が鳴るのでどこでもというわけにはいかないが。

 しかし、サンバのパフォーマンスとしてスルドを演奏するとなると、個人ではなかなか難しい。やはりサンバのサークルやチームに入るのが近道だ。

 サンバを楽しむ団体は著名なジャンルの音楽に比べると少ないと思う。それでも探せば何件かは出てくる。

 大規模編成の打楽器隊のひとりとして、パレードやステージでのパフォーマンスをやろうと思うなら、これまで所属していたようなエスコーラや、様式には拘らず、サンバを楽しむ集団という意味を持つ「ブロコ」に入るのが良いだろう。


 今住んでいる場所から通えそうなところもなくはないが......。


 どのエスコーラやブロコにとっても、メンバーは貴重だ。

 明確な取り決めがあるわけではないが、メンバーが移籍をする場合、移籍元と移籍先の代表間で筋を通してからというのがマナーとされている。

 浅草サンバカーニバルをはじめ、いくつかのイベントでエスコーラ同士が顔を合わせる機会は多い。移籍をするメンバー自身にとっても、きちんとした手順に則って移籍をしたという背景を持っていた方が居心地は良いだろう。



(プレヂに連絡しなきゃなぁ。その前にヂレに相談かな)


 プレヂとは正式にはプレヂデンチという、サンバの団体の代表者を指す言葉だ。

 ヂレはヂレトール。バテリアを指揮する指揮者のこと。今休会しているエスコーラでは、バテリア全体をヂレトールが管理している。

 そこに新生活に伴い通えなくなってしまったこと、サンバは続けたく通えるエスコーラに所属したいことを相談し、プレヂに話を通してもらうって流れが良いだろう。

 決して日常的に起こらないことではないため、多少残念がられながらも、快く受けてもらえるだろうが、やっぱり少し寂しいし気が重い。



 とは言え、動かなくては始まらない。

 所属したいと思えるエスコーラを見つけたら、なるべく早めに行動しよう。



 今住んでいる場所から通えそうなエスコーラにはいくつか心当たりがあった。

 将来就職したとしても、都内なら今住んでいる場所から大きく移動しなければ通勤範囲内だ。転勤や結婚などによるライフステージの変化まで気にしたらキリがない。自己のコントロールの範囲内のことに限れば、今の住処を起点にして選んだとしても、もう移籍のことは考えなくて済む可能性が高い。


 そういう意味では、長く所属することを前提に選ぶのだから、人生に関わる選択肢とも言えるのかもしれない。


 考え込んでもあまり意味はない。調べられる範囲に関しては調べて、あとは印象で決めてしまおう。

 意外と勘に従った方が正解だったりするものだ。






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