【ほまれちゃんへの手紙1】
Dear. ほまれちゃん
急に手紙届いてびっくりした?
さっきまでほまれちゃんとメッセージでやり取りしてたんだよ。その後に書いてる。驚かせたくって、わざと言わなかったんだ。
っていっても、別に深刻ななにかがあるわけじゃないから安心して、構えないで気軽に読んで欲しいな。
じゃあ目的は何かって言われれば、明確なものがあるわけじゃない当たり、気軽な感じで良さそうでしょ?
ええとね、気持ちを伝えたくって。
もうわかってると思うけど、わたしはほまれちゃんに感謝しかない。感謝してもしきれないくらい。でも、それを言われても困るよねぇ。
それでも、掛け値の無い気持ちだから、まずはお礼を言わせてほしい。
小さい頃から、ずっと面倒見てくれていたよね。
結構大きいバレエ教室で、入会者は多くて、出入りもまあまあ多くて。
ほまれちゃんの演技を見て、憧れて入ってきたわたしもまた、多数の新規入会者のひとりに過ぎなくて。
そんな中、既に実力を発揮していて、教室期待のダンサーとなっていたのに。
今思えば、図々しく鬱陶しく、まとわりついていたと思う。
そんなわたしを、邪険にせず優しく面倒を見てくれたほまれちゃん。
ギャロップの着地リズムが、どうしてもほんの少しだけズレているような気がしていた時、ほまれちゃんが機械のように正確なギャロップを見せてくれた。
くるみ割り人形がデザインされたタオルをプレゼントしてくれたほまれちゃん。
一緒にウォームアップブーツやメイク道具を買いに行ってくれたほまれちゃん。
本番前、舞台袖でずっと手を握っててくれたほまれちゃん。
練習も。
難しいパのコツも。
道具の補修の仕方も。
メイクのやり方も。
緊張のほぐし方だって。
全部ほまれちゃんが教えてくれた。
もちろんそれらは先生から習うものなのだけど、習ったことがわたしに浸透しているのは、ほまれちゃんからも教えてもらえたからだと思う。
始めた切欠もそうだし、続けられた理由でもあるし、成果の礎でもある。今のわたしは、ほまれちゃん無くしては存在していない。
書いてて自分でも大げさだと思うし、そんなことばかり言われても困ると思う。
手紙とか馴れてなくて、勢いで書き始めちゃって、まとまってなくて分かり難いとも思う。
そこはもう、フィーリングで読み取って欲しい!
とにかくわたしは、ほまれちゃんのお陰で、今ここに居られるってことが言いたくって。
そのことを、これまで、たくさんの与えてくれたもののことも含めて、改めてだけどお礼が言いたかったのです。
いつもいつも、わたしのことを大切にしてくれてありがとう。
本当に嬉しいです。ほまれちゃん、大好きです。
改まると、やっぱり照れる。
まあ、わたしがほまれちゃんのこと好きなんて、言われなくてもわかってると思うけど、一応ね。