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マラバとペアダンス

 私は意外と欲に弱いのかもしれない。


『マランドロ』を終えた後、シームレスに『マラバリズム』がはじまった。


 ハルとゆう以外は捌け、残った二人がジャケットを脱ぎ捨て軽装になる。


 普段はカバキーニョ奏者のキョンがパンデイロをリズミカルに鳴らしながらコミカルに登場し、パンデイロを円盤のように回転させながらハルの方へと投げた。

 放物線を描いたパンデイロはハルの指の上に着地し、そのままハルの指で回されている。着地の瞬間歓声と拍手が会場を包んだ。

 ハルはパンデイロを回転させながらゆうの方へと放り、ゆうも指先で上手にキャッチした。


 楽器であるパンデイロをジャグリングの道具として用いてパフォーマンスをするパフォーマーを『マラバリスタ』と言う。

 サンバ隊の中では、ダンサーの一種としてパレードでパフォーマンスをしたり、ステージでのショーケースでは単独でも見応えのあるショーを披露したりする。

 ジャグリングは一目でパフォーマンスの凄さが分かりやすいため盛り上がるだけでなく、パレードでは沿道の観客に向かって踊りながら打楽器本来の使い方であるリズムを奏でて煽り盛り上げることができる。



 ふたりのジャグリング中、どこからか取り出したもうひとつのパンデイロをキョンは鳴らしていたが、そのうちにそのパンデイロも放り投げ、パンデイロが同時に二つ飛び交う高度なジャグリングが繰り広げられていた。



 あまりの見応えに、つい全部観てしまった。



 舞台袖にいたおかげで、この後の動きについて、舞台袖にあるモニターを見ながら何か機会を操作していたスタッフさんから、この後の流れについての簡単な確認があった。

 そうだ、本来私は運営側の立ち位置だ。裏方の皆さんと本当はもっと密にやりとりをして、連携をとっていかないとならない。

 ハルは演者でもあるがそのあたりのことは『ソルエス』の代表として担ってくれていた。しょーちゃんもボランティアなのに、裏方側のディレクターを買って出てくれている。

 しょーちゃんからは、「スタッフ側のコントロールは任せちゃって良いから! 本番は出番に集中して」と言ってもらっていた。


 本当にありがたい。

 そして、そのありがたさにもう少し甘えさせてもらって、出番に集中するためにも、舞台の様子を客観的に知るためにも、観たいものを観れる限り観ておこう。



 続くのはジアンとミカ。



 ふたりは通常『カザウ』というパートで旗を守るポルタ・バンデイラと、ポルタをエスコートするメストリ・サラという役割を持ったダンサーだ。


 ふたりがペアダンスである『フォホー』を披露する。「どんちゃん騒ぎ」といった意味の語源を持つブラジルのペアダンスだ。


 カジュアルな衣装に早着替えをしたアキちゃんとウリが、それぞれサラとジナを伴ってステージ入りした。



 サラとジナは普段は『バイアーナ』と呼ばれる種類のダンサーとして踊ることが多い。


 ブラジルのバイーア地方で生まれたサンバ。

 バイーアの民族衣装を模した、大きく広がったスカートとターバンのような頭飾りを身につけ、スカートを揺らしたり裾を広げるように回転する動きが特徴のダンサーだ。どちらかといえばゆったりとしたダンスだ。



 三組による激しく躍動感たっぷりのペアダンスが繰り広げられている。



 これも観たい……! が、きりがない。

 いつの間にかスタンバイエリアに来て一緒に観ていたマレとのんちゃんにも、「名残惜しいけど、準備に戻ろ」と促し、控室に戻った。


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