会計委員
委員会で、庶務会計に所属することになった私は、やる気が無いわけでは無かったが、成り行きと消去法で選んだその立ち位置に、おでん屋さんで要さんが言っていた通り、覇気を持って臨んでいたとは言い難かっただろう。
別に書類作成や手配手続き、交渉ごとなど、業務が得意なわけではなかった。というよりも、中学ではそのような経験はしてこなかったので、まるで勝手がわからないというのが正しいだろうか。
もちろん、先輩に教えられながら覚えていくのは私に限らず、全一年生の委員が同じようなものだった。
しかし、一般生徒からすれば、委員は委員。言うべきことも求めるべきことも、どの委員であっても同様であって、「一年生だから」と、特段の配慮が為されて当たり前では無かった。
会計は部活動の部費の割り振りにも関わる。
正確には、生徒会費の内部活動費用に充てられた予算を、各部へと割り振るのだが、その割り振りの基となる係数算出の調査や評価をする役割を持っていた。
部費は部活により、部員から徴収しているもの、OBOGや後援会からの寄付、部自体が得た収入はそれぞれ直接その部(主に顧問)が管理している。
それとは別に、生徒会費から、学校により活動が認められているすべての部に生徒会費から部費が割り当てられる。部として認められていない同好会は除かれる。
割り当ては規模(人数)や実績などいくつかの評価項目に基づき係数が算出され、各部への割り当て率が決まり、その期の生徒会費の内部活動費として組まれた予算を分母に各部への割当額が確定する。
学校が認めた部活動が活動するうえで、最低限必要な設備や備品については、必要が生じた都度別途部(顧問)から直接学校(顧問が担任クラスを持っていれば所属している学年の主任、持っていなければ管理部主任を通し、主幹教諭→教頭→校長のラインで承認が与えられる)に申請を出し、通れば学校が直接購入や支払いを行う。
したがって、生徒会費から出る予算は、補助的な使われ方がなされる。用途などを前もって決めて申請する必要は無く、必要最低限の物品や設備は別の予算で賄えるため、ある意味自由が利く予算となる。
額は大きくないが、各部とも生徒会費予算の部費の獲得には少なからず期待と主張があった。
執務室の扉が勢いよく開き、男子生徒がふたり入ってきた。
ノックすらしなかったふたりは、相応の礼節しか身につけていないのだろう。
その日その時間、室内にいるのは私だけだった。
入室し私を認めたふたりは、私の席へと詰め寄るよった。
「うちの部費減ってるんだけど⁉︎」
これも、よくある問い合せのひとつだ。