助けられている
要さんに言われた言葉をよく考えてみた。
私は自らをグループの中心になるようなタイプとは評していないが、周りがよく助けてくれるという意味では、要さんの言っている内容は、納得できるものだった。
思えば、イベント自体はもう動き始めていて、内容も確定しているが、スタート時からたーくんをはじめとした美容師軍団は、宣伝や人脈の紹介などで私を助けてくれた。イベンターを買って出てくれたDJもここのつながりだ。
その流れでアキちゃんの助けも約束された。
元デベロッパーの人脈を生かして条件の良い会場を押さえることができた。特に大きな音を出して良い環境はなかなか得難い。
広さは充分すぎるほど。金額も格安だし、最低限の設備も揃っている。飲食も物販も自由だ。
彼は『ソルエス』のメンバーでもあったので遅かれ早かれ関わってくれることにはなったかもしれないが、私が入会する前から固有で約束をしていたこともあり、今も積極的に手を貸してくれている。
アキちゃんが現在務めている、ジアンやるいぷる、アイジが所属している広告代理店も、広宣やスポンサーの紹介など、イベントの基軸となる部分を強力に補強してくれている。
『ソルエス』は後援としてエスコーラぐるみで後押ししてくれるが、特に代表のハルや、大学の先輩でもあったいのりは企画の根幹から関わってくれたおかげで、すぐに、そして具体的に、計画は形になった。
『Three ducks』ではママや他のキャストたちもさりげなくイベントのことを告知してくれているし、先ほどのキノさんのように知り合いを連れて観に来ると言ってくれるお客様も増えてきている。
そして、しょーちゃんは音響などイベントそのものを成功させるための技術を提供してくれるし、要さんは私の相談役として細かな部分を都度都度適切にアドバイスしてくれたし、こうやって……私の心も支えてくれている。
確かに、多くの人に支えられている。
そして、無自覚ではあったが、要さんの言うとおり、支えられているという関係性をクローズアップすれば、ある意味支えてくれている人の中心に、支えられている人が居るという位置関係になるのだと思った。
それはとてもありがたいし嬉しいことでもあった。
お陰でマレを楽しませられるだろうし、きっと前を向かせられる。
私自身も、かつての決断への後悔も、手離したものへの未練も超えて、心の底からサンバを今の仲間と楽しめるだろう。
そして、そんな私をみてもらって、要さんが喜んでくれたら。
そして、そんな私がみんなの力を借りて作り上げたイベントで、要さんが楽しんでくれたら。
これまでにしてもらったたくさんの出来事に、少しでも恩返しできるのかもしれない。