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 ローカルではあっても、界隈での知名度を有すプロと呼べるパフォーマーを招くことに成功したことをたーくんに聞かされたときから、挑戦しようと思っていたことがあった。


 ハルからは、『ソルエス』は後援の立場を取りたいと聞かされている。なので、立場をそのように紹介した。


 つまり、チーム名を大々的に冠したイベントにはしないということ。

 そこには他エスコーラ所属やフリーのサンビスタの参加ハードルを下げたいという意図がある。

 そしてもうひとつ。

 サンバを知らない人の参加も促す。となると、掲げる題目は少し広めに設定したい。

 イメージができないくらい広すぎず、我がことと考えられないくらい狭すぎない。

「音楽フェス」では、何が得られるのかわからず、「サンバフェス」ではサンバに興味がある者しか見向きをしないだろう。

 ランドさんが長年標榜している、「ラテンミュージック」は、掲げるのにとても「ちょうど良い」と思えた。


 サンバは細かく分けるとラテンミュージックではないという説がある。

 ラテンアメリカは厳密に言えば細かい定義があるが、日本では中南米やカリブ諸島の国々が「ラテンアメリカ」と認識されている。

 ブラジルはまさに中南米の国だし、定義から見ても間違いなく「ラテンアメリカ」の国だ。ラテン系の文化も持っている。

 背景から見ても間違いなく「ラテンミュージック」のはずだが、多くの中南米の国家の公用語がスペイン語なのに対し、ブラジルはポルトガル語であることが、ジャンル分けに影響を与えていることがある。一方、英語圏のジャマイカの音楽はラテン音楽とされていたりと、音楽ジャンルの仕分けではあるあるの曖昧さが、「ラテンミュージック」にもあった。


 それは、ジャンル内に多彩な音楽が含まれていることを示している。


 ラテン系音楽のプロとして長年活躍してきたランドさんでさえ、エスコーラのサンバには触れたことがほとんどないというのも、メインにできるジャンルが多数あるからだろう。



 曖昧だけど、なんとなくイメージはある。

 この辺りが最大公約数を狙う上で最も適してるように思えた。


「ランドさん、今回のイベント、ランドさんが仕切るラテンミュージックフェスという建て付けにしても良いですか?」

 メインMCであり、プログラム全般を司るDJがイベント主になることに、違和感はないはずだ。


 私の意図は、わかりやすいコンセプトで周知と参加に関する難度を下げること。

 そして、ランドさんの知名度を使うこと。

 そこに後援としての『ソルエス』の名で、サンビスタの求めるサンバの提供を担保できれば。


 サンビスタを集め、サンバを知らない人を集め、サンビスタに喜ばれ、サンバを知らない人に本格サンバを披露でき、知ってもらう機会となる。


 もちろん、運営としての主催者の動きは私を始め、『ソルエス』で舵を取る。何か起これば、責任の所在は一旦は『ソルエス』になる。ランドさんの物理的な負担は元々の想定から増えるわけではない。

 それでも、表面上の責任はランドさんにも降りかかるだろう。それは、単純に評価や批判などの矢面に立つことも含まれる。

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