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運営の布陣

 ドリンクを配りながら手際よくプロジェクターの調整をするしょーちゃん。席についてノートパソコンを広げた男性も同時にパソコンを操作していた。程なく、入室時点で既に起動していたモニターに、簡素な資料が映し出された。この打ち合わせのアジェンダだ。席には同じ内容の印刷物が置かれている。画面と同じ内容だが、手にとって眺めてみた。


「それじゃ、全員揃ったので始めちゃいましょうか」


 ホワイトボードの前に立ったしょーちゃんの仕切りで、打合せがはじまろうとしていた。が……


 あれ? 今日はたーくんが紹介してくれるDJの人の顔合わせも兼ねていたはずだ。

 音響を担うしょーちゃんと、サポートとして入ってくれるしょーちゃんの先輩。どちらかと言えばこの音響周りの打ち合わせが中心で、私はむしろ主催側の担当的な立ち位置のオブザーバーだ。

 たーくんから連絡先を入手したしょーちゃんが、直接やり取りをしてくれていたと聞いていた。予定も合わせられたと言っていたはずだ。忙しい人らしいから、リスケになったのかもしれない。


 となると、今日の打ち合わせは効果的なものになるのだろうか。


 そんな私の心配もよそに、しょーちゃんは今日の主旨を簡単に説明し、しょーちゃん自身と、ノートパソコンを開いているスパイキーショートヘアにツイストパーマをかけた黒縁メガネの男性の立ち位置について喋っている。

 サウンドオペレーターと助手。助手であるしょーちゃんの先輩にあたる男性の方が経験豊かだから、言葉の意味通りほとんど素人のしょーちゃんのサポートとバックアップをしてくれるのだろう。更に、何名か照明スタッフも用意してくれるそうで、事前のディレクションも先輩がおこなってくれるそうだ。


「そして、改めて。お忙しい中来てくださってありがとうございます。DJのランドさん」


「どうも、ランドです」


 え。


「彼からアウトラインは伺っています。チャレンジングな企画に呼んでいただいて光栄です」


 え。


「お恥ずかしい話、私も拙いながら長年ラテン音楽に携わらせていただいておりますが、サンバというジャンルはこれまでにあまりご縁をいただけていなかったもので。ボッサやショーロは良く存じていますし、フロアダンスのミュージックとしてのサンバも理解していますが、エスコーラのサンバというものに関わるのは初めての試みでして」


 え。え。


「この年になって、まだ新たな世界に挑めるのかと、年甲斐もなく滾っている次第でございます」


 スマートな自己紹介をにこやかに終え、優雅に着席する紳士。



 えーーーーー⁉︎


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