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具体案を考えよう


 接客をしながらも、私はマレのことを考えていた。マレのためにできることを。


 とにかく原資が必要だということで、仕事を頑張る。それは良い。

 マレの大抵の要望はお金と時間があれば叶えられる。


 でも、物事をタスクをこなすように処理しただけでは、表面的な満足は得られても、マレが抱える本当の望みには届かないような気がしていた。



 仕事をせっかく頑張るのだから、そこから波及させられないかな、と思っていた。



 その場のノリとは言え協力はやぶさかではないという態度を見せてくれた、広告代理店に勤めていて、前職では都市開発の会社でこの辺りの土地や街全体のことにも詳しいアキちゃん。


 たーくんたちも協力してくれそうだった。

 地場に強く根付いている地域密着型の美容室チェーン店の経営者。

 美容院はお客様との接客時間が長く、美容師と顧客は関係性を築きやすい。ケージくんやユウキくんから店舗の美容師さんらそのお客様へという届かせ方もある。ふたり自身もお得意様を持っているから、そちらへの強力なルートも使えるかもしれない。


 要さんも協力してくれる。多分Three ducksのみんなも。きっとしょーちゃんも。



 何をしようと具体的には決めているわけではない。

 でも、何かしようと思ったら、色々なことができそうだと思った。


 

 なんとなくのイメージとして、パゴーヂを軸にした企画はどうかなぁと思っていた。


 とにかくマレに楽しんでもらいたい。

 心の底から。そして、心の奥底にうずくまるものを解放させたい。織のように溜まっているものを濯ぎたい。



 マレの「やりたいことリスト」にあった、「私の演奏を見たい」と、「私のやりたいことをやりたい」で私が挙げた「マレと一緒にサンバをやりたい」を主軸に据えるのは良い考えのように思えた。



 サンバはブラジルに連れて来られた黒人奴隷の、感情の発露として生まれ発展した経緯がある。

 心の奥にあるあらゆる感情を解き放つなら、サンバは好相性だ。



 単なるパゴーヂなら、場所が押さえられればどうにかなる。


 サンバの楽器の音は大きい。

 パゴーヂはパレードやステージとは異なり、ボサノバのように落ち着いた雰囲気で行われることが多いが、歌い踊るのだから相応に盛り上がる。

 大編成ではないが大きな音の出る楽器もあるので、楽器を鳴らしても良い場を選ぶ必要がある。逆に言えば、条件はそれくらいだ。


 店舗を貸し切れれば飲食も賄える。


 貸会場だったら、飲食を別途用意すれば良いだろう。

 しっかり踊ることも考えたら、基本フロアには席とテーブルが設置されている店舗よりも、貸会場の方が向いているかもしれない。



 たーくんや要さんのようなサンバ関係者以外を巻き込んで計画するなら、協力者たちは招待したい。


 見て楽しめる内容と、飲食の用意はあった方が良いだろう。


 ゴールから逆算して建てる計画ではなく、目的と手元の資源から組み立てる計画は、継ぎ接ぎ的になりやすく、資源という物理的制限の範囲内という条件が課されるため、素材と素材を組み合わせて発明をするような発想が必要だ。

 無から有を生む発想よりも難易度が低いと思われがちだが、使う素養が異なるだけで、どちらが上でどちらが下ということではない。


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