音速のカノン
こんにちはこんばんは、sha-k_3です。
自由に執筆していくのでよろしくお願いします。
視覚、聴覚、触覚の感覚を強化し、まだ何も見えない暗闇を見つめる。
ナニカが地面を駆ける音が聞こえだす。
「ッ!来る!」
ワタシは全力で横に飛んだ。
すると、ワタシのいた場所の空気が削れる。
あれを食らっていたらワタシは即死だっただろう。
急に空気が変わり、重圧がワタシに重くかかる。
おかしい!
βテストの時にはこんな風格のあるモンスターはいなかったはずだ。
そこにいるには一体何なんだ?
ワタシは少し震える体を抑えてナニカが来る方向を見た。
ついにナニカが姿を現した。
ワタシの何倍にも巨大な体、月光を反射してギラギラと輝く銀色の毛、恐ろしいほどに鋭い牙にワタシをじっと見つめる黄金の瞳。
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【警告】ネームドモンスターと遭遇しました
まもなくバトルフィールドが展開され、逃走が不可能となります
繰り返します
…
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「綺麗…」
思わず口から声が漏れる。
これがネームドモンスター、圧倒的な実力を直にヒリヒリと感じる。
ほんとは逃げなきゃだけど、こんな殺意をビリビリと感じたら…
「殺るしかないよねぇ、選択肢は」
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バトルフィールドが展開されました
ネームドモンスターとの戦闘を開始します
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『ワオォォォォォン』
ワタシを楽しませてよね?狼さん。
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鑑定
名前【音速のカノン】ネームドモンスター
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空気が揺れた。
ワタシの短剣とカノンの牙がぶつかり合う。
(見えなかった…)
強化した視力でも見えない速さ、名前の通りの速さである。
でも見えないなら、強化すればいいだけの話。
ワタシは姿勢を崩して横にずれ、短剣を振るう、が余裕で避けられる。
(これは楽しくなるな)
ワタシは短剣を構え直した。
地面を全力で蹴りカノンの元に向かう。
またもギリギリ避けられ急所は外したが、右手の短剣はカノンの皮膚を捉えて引き裂いた。
すぐに反撃が来る。
でも強化した視力で簡単に動きを捉え、最低限の動きで躱して足を蹴り上げ腹を攻撃した。
『グゥゥゥ』
カノンが呻き声を上げる。
そのままワタシは両手を振り下ろして短剣を突き刺した。
根元まで深々と突き刺さり、大きくダメージを与える。
しかし、カノンが体を大きく振ったことで飛ばされてしまう。
「ガッァ」
空中で無防備だったワタシの体にカノンの蹴りがヒットする。
そのままワタシは大きく吹っ飛ばされた。
痛い、痛すぎる!
でもそれがいい、生きている実感が出る。
窓から落ちても車にはねられても対して痛みを感じなかったワタシが今!痛みを感じているにである。
それに真剣に戦いながら!
「クフフッ」
思わず笑い声が漏れてしまう。
とても楽しい、とてもとても楽しい。
「来てよカノン。ワタシをもっと楽しませて?」
しかしカノンは様子見か近づいてこようとしない。
「じゃあこっちから行くね?」
ワタシは消えた。
今はもうカノンの体に短剣を思いっきり刺している。
吸血の効果によって体力を回復、そして身体能力が上がる。
カノンは今刺されたことに気付いたのか驚いたような反応を見せる。
ワタシは短剣を抜いて跳び上がり、カノンの体の上に着地したと同時に首を突き刺した。
カノンは痛みに吠えてワタシを振り下ろそうと激しく動き出す。
数十秒間耐えたが、途中でカノンが急に消えてワタシは地面に落ちてしまう。
ワタシは自分の手の中にあった短剣が消えたのを見て、まだ刺さっていることに気づく。
短剣を片方失ったのは痛い。
「まずいっ!」
ワタシは横にずれ、音砲を回避した。
と思っていたらワタシの左手が消えた。
先ほどの音砲は3方向だったようだ。
「あぁァァァァァァア」
ワタシはあまりの痛さに吠える。
少し意識が飛びかけるが、なんとか気力で保った。
前を見るとカノンの牙が迫っていた。
後ろに回避するが胸を切り裂かれる。
カノンの追撃に顔を顰め、自身の体がボロボロなことを感じる。
(もうそろそろ決めるしかない)
ワタシは右手に持った短剣に力を込める。
そのままカノンの目の前に迫り、姿を消した。
(『隠密』)
頭の中でスキルを使い、下に回り込んでカノンの喉に全力で突き刺した。
これで奇襲が発動するはずだ。
ワタシは前足によって吹き飛ばされる。
「ふーふー」
なんとか意識を保ってワタシはカノンと見合う。
数秒すると、カノンの体が揺れ始め、そのまま地面に倒れ込んだ。
ポリゴンのかけらになって消える。
アイテムを獲得しました
音速のカノンの毛皮 ネームド×3
音速のカノンの牙 ネームド×1
音速のカノン単独討伐者の証 ネームド×1
不思議な卵 レア×1
「か、った、んだ」
勝ったんだ。
ワタシはカノンに勝ったのだ。
「やっっっったぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ワタシは声を大にして叫んだ。
最高の気分である。
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《ワールドアナウンス》
ネームドモンスター:音速のカノンが初めて討伐されました
討伐者:匿名
ネームドモンスター:音速のカノンが初めて単独討伐されました
討伐者:匿名
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この世界に来てほんとによかった。
ワタシの力をこんなに使えたんだもん。
カノンと死闘ができて本当によかった。
どうもsha-k_3です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
これからも自由に執筆していくのでよろしくお願いします。