交渉には血飛沫を添えて
こんにちはこんばんは、sha-k_3です。
今回は別視点がありますよー。
自由に執筆していくのでよろしくお願いします。
「お前がキトアの言ってたやつか」
「キトア?」
誰?その人。
「ん?ああ、キトアっつうのはお前のことを連れてきたやつだよ。あの下っ端の」
へぇ、あの人キトアって名前なんだ。
というか、あの人下っ端だったんだね。
通りであんまり強くなさそうだったんだよー。
「それで?お前はほんとにそんな金持ってんのか?」
「あら?疑うつもりですか?安心してくださいな。しっかりと持ってますよ」
どさりと目の前のソファに座りながら、ワタシに質問してくる。
その後ろには、後から入ってきた男が3人並んでいる。
あれ?先に入ってきてたあなたは、ワタシの後ろに立つんですね。
「おっと、名乗ってなかったな。俺がこのファミリーの頭領、ゴルラだ」
「そうですか」
ワタシがそう返事をすると、ゴルラは少しムッとしたような顔をする。
ワタシが名乗らなかったことにイラついてるのかな?
でも、死人に名乗る必要はないからね。
「大金を持ってるのか。お前が…」
う〜ん、なんか証拠に出せるものあったかなぁ。
どうしようかな。
「ふん、それならいい。それで、あの女がうちらにしてる借金は、およそ4000000WAMだ。この額、お前に払えるか?」
「…(唖然)」
マリアさん、一体何したらそんな額借金することになるんですか〜!?
いやいやいやいや、ほんとにしっかり借金してるな!
ま、ワタシからしたら、そんなの別に余裕なんですけどね。
「ええ、余裕でお支払いできますよ。大体、その数十倍は持ってますからね」
「ほぉー、なるほどな」
「これでも元貴族ですから」
ワタシがニヤリとしながら(できてない)そう言うと、ゴリラ…ゲフンゲフン、ゴルラも釣られてニヤリと笑みを浮かべる。
「そんじゃあ、交渉としようか………」
「殺れ」
「ええ、そうですね」
シュッ
プシャッー
バタリバタリバタリ…
グサッ
ポタ…ポタリ…
「…」
「(にこにこ♡)」
どうしてそんなに顔を青く染めているのだろうか?
ワタシは刺していた短剣を引き抜く。
バタリ…
また1人、崩れ落ちた。
「(にこにこ♡)」
「な、何が、起こったん、だ?」
「え?簡単だよ。ワタシに向かって投げられたナイフを、投げ返した、ただそれだけ。何か文句ある?」
あんなに殺気立ってるんだもの。
殺しにくることなんて、バレバレに決まってるじゃない。
それにしても、3人でワタシにナイフをただ投げてくるだけなんて。
全く、殺し方に美しさの欠片もない。
「チッ、おいお前ら!出番だ!」
ゴルラが叫ぶと、ドアから何人もの男が入ってきた。
すると、次々にワタシの周りを囲んでいく。
「さぁ、これでもお前は抵抗するか?」
「ふ〜ん」
全部で13人ねぇ。
カッコよく殺したいけど、この人数じゃさすがに乱戦になっちゃうかなぁ。
あ、そういえば、
「『音砲』」
あ…
⭐︎
「はぁ」
めんどくさいことになった…
俺はキトア、ゴルラ・ファミリーで下っ端をしている。
え?何がめんどくさいのかって?
実はな、さっき借金の徴収に行ったらな、出てきたのが貴族の嬢ちゃんで、代わりに借金を払うって言ってたんよ。
んで、今そいつは組織のとこにいる。
さっき、同僚がそいつに麻痺毒入りの紅茶出そうとしてたから、今頃お陀仏だろうなぁ。
残念だが、俺には救えなかったよ。
俺には力も頭もないからな。
(ほんと、この仕事は嫌になるな)
まあでも、彼女の自己犠牲は素晴らしかったと思うよ。
自分を顧みずに、あの女とその娘を救ったんだから。
ま、尊い犠牲ってやつだね。
「にしても、あの野郎…」
なんで仕事から帰ってきて疲れた俺を、そのままお使いに駆り出したんかなぁ。
それにしても、「これがお前にできる最後のことだ」ってどういう意味なんだろうな。
もしかして、あいつもう組織抜けるのか?
だったら納得いくな。
なんで最後にできることがお使いとか、ふざけてんだろ。
まあいいや、早く済ませちまおう。
俺はすぐに終わらせるために、早歩きで進み出した。
「けっこう早く終わったな」
大体、2、30分くらいか?
案外近場で楽できたから、よかったぜ。
にしても、この時間じゃ彼女はもう死んでるよなぁ。
ま、俺にできることは埋葬くらいしかな『ドゴーン!』な、なんだ!?
(今の音、組織の方からだよな?)
俺は全力で走り出した。
一体何が起きてんだよ!
今日は散々な日だ!
何から何まで予定通りにゃいかねぇ!
俺はとにかく走った。
組織の中に入る、が、誰も見当たらない。
そのまま俺は、目星をつけていた部屋に突撃した。
ドンッ!
「はぁ…はぁ…何してんだよ、女ぁ!」
「あら?お帰り。もうみんな、死んじゃったよ?」
俺が部屋に戻ってきたとき、部屋は半壊で、死屍累々の様だった。
その真ん中に、血で染まった短剣を握った女が突っ立っている。
俺は、状況を飲み込むことができなかった。
クソなことばっかりしてた、しょうもない組織だったが、それでも仲間だったんだよ…
(…クソがっ!)
俺は涙を堪えながら、無表情ながらもどこか俺らを見下した表情をした女を睨む。
にしても、まだ俺にも泣けるほどの情ごあったんだな。
こんなことで知りたくなかったけど…
「それで?なんでこんなことをしたんだ?」
俺は怒りを抑えながら、そう尋ねる。
「別に?先に殺そうとしてきたのは向こうだよ?ま、みんな死んじゃったけどね、ははっ」
俺の中で何かが限界を超えた。
「このクソアマァァァァァアアア!!!」
「はい、残念。弱い奴が張り切ってんじゃないよ」
「ゴハッ!」
俺の全力の拳はいとも簡単に止められ、無防備となった俺のボディに女の拳が襲う。
その予想以上の威力に、俺は部屋の端へと吹っ飛んだ。
そんな俺を一瞥すると、ゆっくりと俺の元に歩いてくる。
目の前まで来たかと思うと、徐に俺の前髪を掴んだ。
そのまま引っ張り上げられ、頭が上がったことで女と目が合う。
「これからはワタシがボスだ。返事は?」
「あ…あ…」
「返事はって聞いてるでしょ?」
「ガッ!…いえ、す、ぼす…」
俺は頭を殴られ、無理やり返事をさせられる。
きっともう、俺はこの女の奴隷だ。
「そういえば、なんで血が出てるんだろ?」
(何言ってんだ…こいつ…)
俺は女の謎の言葉を最後に、そのまま意識を失った。
どうもsha-k_3です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
これからも自由に執筆していくのでよろしくお願いします。




