表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/48

9 再会

 魔力切れ瞬間の微分を完成させた数日後。


 朝、マーガレットとマーク、三人で食事をしていると、マーガレットのびっくり発言があった。


「そろそろ異世界で、実践訓練をしましょう。私たちは同行しませんが、ギャレットと彼の姉と、三人で挑戦してください」


 ?!

 ギャレットと、その姉とな!

 ギャレットって姉がいたの?

 それよりなにより。


「コーレスト師匠の、弟子のギャレットですか?」

 か、確認しなきゃ。


「何を言っているのですか。ギャレットはコーレストの甥ですよ。世話をしているだけです」


 なんだ〜。そうだったのか〜。それだったらそうと、早く言えばいいのに。

 ショコラはなんだか気持ちが軽くなり、なんとなくだが、ギャレットにすぐに会いたい気分になってきた。


「朝食のあと、顔合わせですか?」

「応接間で八時からです」

 マーガレットは事務的に答えた。




 ★




 いつものようにコーレストとブルー、三人で朝食を食べているとコーレストが少し寂しそうに話し出す。

「二人に話さなければならないことがあります」

「なんですか? 」

 その表情から不審に思って僕は尋ねた。


「近いうちにまた旅に出ようと思います。前回の旅から五年ほど経っていますから、そろそろ候補の子たちが現れるかもしれません。私の使命ですから」

「今回はどのくらいの期間になりますか? 」

「前回は初めての探索の旅だったので三年ほどかかりましたが、もう要領はわかっているので一年から一年半ぐらいでしょうか」

 コーレストの為人(ひととなり)がわかってきたのに残念だ。かなり年上なのかもしれないが、もっと仲良くなりたかった。


「寂しくなりますね」

「離れるのは、私も辛いのですが、こればかりはどうしようもありません」

「いつ頃出発する予定なんですか? 」

「ショコラのこともあるので……早いに越したことはないのですが、二週間後ぐらいには」


 !?

 ショコラのこと!

 ということは、弟子になれたんだ! でもまったく会っていないのはなぜ? 同じ屋敷にいるはずなのに。


「ショコラは弟子になっていたんですね。でもぜんぜん見かけなかった」

「あなたが召喚師だということを知られる心配があったので、会わないようにこちらで工夫しました」


 なるほど、そういうことか。屋敷に来てからの出来事を思い出して、うんうんと納得した。


「そのショコラと異世界探索に行ってほしいのです。詳しい話はショコラも入れてお話ししますね」





 ブルーと二人で応接間で待っていると、八時前にショコラが入ってきた。


「おひさしぶりです。よかった、弟子になれたんだね。おめでとう。修行はどう? 大変? 」

 僕は立ち上がって挨拶をした。ひさしぶりにショコラを見たが、気品がただよう美しさを感じた。こんなきれいだったんだ……この間はちゃんと見ていなかったし、なんか怒ってたし。


「ありがとーっ。修行はダイエットよ! それより甥っ子だったんだね。早く言ってくれればいいのに。こちらがお姉さん?」


 前言撤回。なんだか感じが違う。違いすぎて、引いてしまいそうだ。ひきつった笑顔をもどす。


 ブルーが立ち上がって、弟がお世話になっています、と挨拶すると、いえいえ、こちらこそ、と返すショコラ。

 うーん、儀礼的だな。ショコラも僕もお互い、世話にはなっていないと思うんだけど。でも他人への感謝って大事だよね。


 まだ会っていなかった二人の老人も入り、応接間にはコーレストも含めて六人が揃った。


 なるほど、この老人二人がショコラの面倒を見ていたのか。この二人も召喚された人で、魔術師。コーレストのフェイクを手伝っていたのだ。実力は確かなはず。


 あれ? この二人の実力が確かなはずなら、ジョンとメアリーは? 


 ガーデンレベル1の、ジョン、メアリーを思い出して、あれは偽りの姿だったことに気づいた。インチキ魔術を支えているのに、あの程度で魔力切れとか、足りないとか、あり得ない!


 だまされていたのか…………






 あ、そういえば、今、ショコラをだましてるんだった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ