48 対策
緊急会議の席で、上層部はその報告に驚いた。
シャノンが突然いなくなった。個人の部屋は争ったあともなく、先程までシャノンがそこにいたかのように、整えられている。
アンリエッタも生きているのではないかとの疑惑が拭いきれない中での、シャノンの失踪。退団したレスリーも行方も分からなくなっている。
上層部は、状況から判断して、シャノン、アンリエッタは逃亡、レスリーは逃亡補助との結論を出した。
街には、シャノン、アンリエッタ、レスリー、三名の捜査追及が徹底された。それは街の出入り口である大門の強化にもつながり、門外の捜索にも及んだ。それでも、三人の行方はつかめていなかった。
偽装をして逃亡していることは推測がつくが、その偽装を見破ることは難しい。上層部は捜索を継続することを決めるとともに、魔導師団所属の召喚師に同じような逃亡者を出さないための対策に頭を痛めた。
レスリーは魔導師なので、補助魔術の【偽装】が扱える。しかし、召喚師であるアンリエッタもシャノンも【偽装】は使えない。それにもかかわらず、おそらく、【偽装】が施されて、捕縛ができないのである。
陰で手助けをしている者がいるはずだ。しかし、召喚師が街に外出することはない。街に知り合いができるはずがなかった。
羽根ものを召喚する二人は、召喚された羽根ものによって、街を事前に詳しく調査したのかもしれない。しかし、街にいくら詳しくなったといっても可能なのだろうか? 彼女らを保護して、【偽装】をかけて、逃亡を助けるものと出会えるということが。
魔導師団に逆らって、国に逆らってそのようなことを行える、そんなことが可能な魔術師はほとんどいないはずだ。けれど、ほんの数人だが、いることは、いる。そんな高位な者と、たまたま偶然に出会えるのか? 手助けをして、高位な者に何の得があるのだろうか? 召喚師を集めてなにかをするにしても、すぐにそれが露見して追手がかかることは目に見えている。
どんなメリットがあるのかはわからないが、そんなことが可能な高位者のひとり、鉄槌雷華のコーレストは旅に出ていて不在だ。他に可能性があるのは?
レベル7はあと三人いる。剣聖、聖術、暴炎嵐乱の三人だが、剣聖と聖術、まさかその二人は絡むまい。剣聖は道場があるし、聖術は教会とのつながりもある。そんな二人が、召喚師に手を出すとは考えにくい。暴炎嵐乱のフレイマーは、召喚師失踪に絡んでいる可能性はないとはいえない。念のために、監視の必要があるだろう。
監視は、信用のできる魔術師がよいのだが、相手が暴炎だ。なにかあったときに灰にされてしまうこともあり得る。人選をどうするか……無言で迷う中、上層部の一人、魔術師のリズ・サルファティが、私がやりましょう、と名乗りをあげた。
「同じ魔術師として、フレイマーとは少し関わりを持ったことがあります。監視というより、事情を話せるところだけ話して、彼の意見を聞いてみましょう。そのときの心音や表情で、逃亡の関係者かどうかわかるはずです」
そうリズが話すと、他の上層部は静かにうなずいた。
「フレイマーはリズに任せよう。なにかあればすぐに報告を」
進行役がそういうと、リズは、わかりました、と短く答え、席を立った。




