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42 タワーレベル2 ③

 二十頭近くの蝶たちを連れて、五階層に上がっると、そこは大部屋だった。


 アイアンゴーレムが五体、泥人形のゴーレムが二体いる。


 ばらけていた蝶たちが集まった。ブルーが前回のダンジョンと同じように、【遮蔽】と【結界】をかけるものと思っていたのだが、蝶たちが不意に消えてしまった。あれ? と思っていたら、なにか解除の気配がしたような気もする中、マリカさんが現れた。なるほど、マリカさんが蝶から人に変化の術をかけたのを、僕が勘違いしたようだ。


 マリカさんはブルーの後ろに下がって、身を守っている。危ないもんね。


 ショコラはアイアンゴーレムに向けて、四階層と同じように下段に刀を構えて、小さな声で呪文を唱えている。ショコラに五体は任せよう。


 僕はレイピアを抜く。すぐにブルーが【加速】をかけてくれた。二体の泥ゴーレムに向かって走る。風になったようだ。右手のレイピアをゴーレムに向けて動かしたら。


 あれ?

 めちゃ早く動かせる。

 一体めのゴーレムを四つに刻んでしまった。すぐに二体めのゴーレムに向けてレイピアを動かしたら五つに刻んでしまった。

 三連撃、四連撃を繰り出していたらしい。僕にもよくわからない。自分で思ったいる以上に腕が早く動いて、自然とそうなってしまった。


 不思議に思って右手を見たら、指輪をはめていた。


 そうか、指輪だ。盗賊の指輪は、こんな使い方もあったのか。盗むだけではなくて、早く剣を振ることができるんだ。

 期せずして新技を覚えてしまった。


「ギャルくんも新技を生み出しましたね」

 振り返るとブルーがニコッとした。よくできましたの笑顔だ。後ろのマリカさんは、かなり驚いた表情をしている。そんなに驚かなくてもいいじゃん。


 ショコラを見たら、もう五体のゴーレムはいなかった。ショコラも早いな。


「おめでとうございます。これで攻略ですね。今回、金属ゴーレムは出ましたが、もうしばらくしたら、出なくなるはずです。やはり、余波ですね。さあ、遺物を探しましょう」

 ブルーはそう言って、遺物を探し始めた。僕らもすぐに探し始める。


 遺物を見つけたのはマリカさんだった。

 三人がマリカさんのもとに集まって遺物を見る。遺物は両手で包込めるほどの蓋付きビン。中には黄色っぽい粒々が入っている。どうも穀物のタネのようだ。


「泥ゴーレムが落とした遺物でしょう。蒔いたら、きっといい穀物が取れると思います」

 ブルーがそういうと、ショコラがタネを繁々と見ている。

「これ、もらって、リパンで蒔いてもいいですかね」

 ショコラが控えめな声で僕らの様子を見る。


 いつもこんな態度だったらかわいいのに……いや、いつも、かわいい。いつも、かわいいーー思っていることがことばにそのまま出ちゃうことがあるから、注意しなきゃ。


「一部は探協に提出すれば、残りは好きにして大丈夫だと思います」

 ブルーがそう答えると、ショコラはうれしそうな顔になった。


「リパンに畑を持ってるの?」

 僕がそう尋ねると、

「うん、そんなんだけど、ここ数年なぜか不作が続いていて大変なのよ」

「それじゃあ、ちょうどよかったね」

「うん、ありがとう。実家も喜ぶと思う」


 そうかショコラの家も農家なのか、うちと同じじゃん。

 まあ、うちは大丈夫かな。兄貴がしっかりやってると思うし。





 このあと、探協に行ったのだが、探協に行く前にショコラは家に寄って着替えたいと言い出した。マリカさんは夕飯の支度をしに、家に帰ってしまった。


 僕とブルーが探協の近くで待っていると、ショコラは、なんと剣士姿で倶利伽羅丸を下げている。

 探協に着くと、私が報告するからと言って、先頭に立ってマルクに報告をしてくれた。よほど種を実家に持って行きたいのだろう。種についても、マルクとしっかり交渉していた。ブルーのいうとおり、ほんの少し、サンプルとして提出して、あとは好きにしていいとのことだった。


 しばらくすれば、金属ゴーレムも発現しなくなることについても、ショコラが説明していた。ただ、プラチナゴーレムの余波とも言えず、ゴニョゴニョごまかしているのには、笑ってしまった。



 今回のタワーレベル2の調査は、マルクからショコラに行ってほしいと言われていたから、報告してくれて助かったよ。


 ありがとう、ショコラ。こういうのを、ウインウインっていうんだね。




 種、ほんの数つぶ、僕ももらおうかな。








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