41 タワーレベル2 ②
蝶たちが四、五頭でグループを作って各部屋を見に行ってくれている。
部屋に入ったきり、出てこない蝶もいるが、ほとんどの部屋から蝶が引き返してくる。
なるほど、部屋の中にゴーレムがいれば、蝶は引き返してくるけど、いなければ、部屋の中でくつろいでいるのか。
わかりやすい。
蝶が戻ってきた部屋にショコラ、僕、ブルーの順番で入っていく。ショコラは倶利伽羅丸を早速出して、刃先から風神を放つ。あっという間にゴーレムが切り刻まれて霧になる。
風刃が大きくなったね。すごいね、ショコラ。
僕の人生では僕が主人公だと思っていたけど、もしかしたらショコラかもしれないと思うほど、主人公らしい強さだよ。
どの部屋も、泥人形のゴーレムである。
一階層から三階層まで金属ゴーレムは現れなかった。いづれのゴーレムも、ショコラの風刃によって霧となった。
四階層に上がって蝶たちが偵察に行く。
ある部屋だけ、蝶が出てくると、四頭の蝶が縦の円を描くように飛び始めた。
今までと飛び方が違う。その部屋には金属ゴーレムがいる可能性が高い。その部屋を最初に攻めに入ることにした。
いつもの順番で部屋にはいると、案の定、今までのゴーレムと色が違う、赤茶色のゴーレム、二体だ。ひと目見て、アイアンゴーレムではないかと推測がつく。
ショコラは逃げ出す様子はない。
すぐに下段に刀を構えて、小さな声で呪文を唱える。
おっ、これはなにかある、そう思って僕はじっと見入ってしまった。
ショコラはたっ、と走り寄って、一体めのゴーレムを左逆袈裟斬りにした。つまり、左下から右上に刀を振り上げたのだ。
すぐに、やや後ろにいた二体目のゴーレムに向かって、刀を返すようにして袈裟斬りにした。
驚いたのは、刃よりもほんの少し先を大きな、一メートルほどの風刃が先行していたことだ。一メートルほどの風刃が先行して、そのすぐ後を倶利伽羅丸が追う。僕から見ても、それは見事な剣技に見えた。
二体のゴーレムはどちらも一刀両断だった。
アイアンとはいえ、金属ゴーレムが……
とても見事だったんだけど、僕はゴーレムが霧となるのを見ながら、こわっ、と小さな声で、つい、言ってしまった。
ショコラは振り返って僕を見て、
「いい、ギャレット、これからはちゃんと私の言うことを聞くのよ。わかった?」
そう言って笑顔になっている。…………ほんとうにこわい。
「もちろんです。ショコラさん、僕はいつでもショコラさんのことばを大切にしています」
僕は迷わず、そう答えた。答え方は、これで正しいのかな、わからない……
気のせいか、後ろからブルーの、くっくっくっという笑い声が聞こえた気がした…………気のせいだよね。




