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3 ガーデンレベル1②  ショコラのその後

 突然現れた女性は、見かけ通りなら魔術師だ。


「何かお困りのようですね」


 その声にジョンが答える。

「メアリーが魔力切れを起こしてしまって動けないのじゃ」

 そう言いながら膝をついているメアリーを見る。


「……魔力切れ? ですか? 」


 女性は怪訝そうな表情でメアリーを見下ろした。

「…………事情がおありのようですね」


 そう言って手をメアリーのほうにかざした。かざしただけで何も変化がないように見えた。しかし、すぐにメアリーは気力を取り戻し立ち上がった。

「魔力を分けていただき、ありがとうございます。おかげで体も良くなりました」

 メアリーが頭を下げて礼を言う。


 女性は不思議そうな顔をしながら、困ったときはお互いさまです、とか答えている。


 やはり魔術師だ。ジョンが連絡をして、この女性が瞬間移動したのかな。ジョンもこの女性も魔術師だし、きっと魔術師同士の特殊な術があって、それを使ったのかな。シークレットスキルってやつか?? かっこいいかも。


「なんだ、ジョンさん、女性に連絡つけられるんじゃないですか! 瞬間移動とはすごいスキルですね。でも、助かりました。ありがとうございます。ジョンさんの娘さん? いや、お孫さんかな? 」


「あるじ様、そんな、ひどい……」

 女性は僕の顔を見て悲しそうに、そうつぶやく。


「おぬしが呼び出したのじゃ。まあその話は帰ってからじゃ。今日はもう帰ることにしよう、のうメアリー」

 ジョンはそう言って、傍に立っているメアリーを見た。メアリーはうれしそうにうなずく。

「えぇ、みんなで帰りましょう」


 ん? 僕が呼び出した? 呼び出した覚えもないし、この女性、知らない人だし。確かにもう一人いれば、とは思ったけど、呼べるわけないし。

 ひどいって悲しそうな顔しても困る。それにこの臨時パーティーの主人はジョンだよ。僕は剣の見習いさ。



 気のせいか、なんだか僕だけ仲間外れのような雰囲気が漂う中、四人で帰途についた。道中、女性はブルーという名前であることを教えてもらう。


 どこから来たのかを尋ねたら、なんだか難しい言葉を並べてめちゃくちゃ長い説明だった。


 誤魔化してるな。うん、絶対、誤魔化してる。


 屋敷に着いたのは夕飯の一時間ほど前、なぜかブルーも一緒だった。



 ブルーは家に帰らなくていいのかな?



 ★



 弟子入りしたその直後からショコラの修行は始まった。


 魔術の種類と強さを見たいとマーガレットとマークに言われ、庭に出てお得意の技を披露した。ピンポン玉ぐらいの水球と三センチほどの風刃である。攻撃魔法はこの二つ。十五でこれだけできれば町ではトップクラス、魔術の才能があるとほめそやされた。それゆえ、ショコラは自信家だ。


「どうです? 」

 得意満面の顔で二人の老人に尋ねる。きっと鼻も高くなっていたはずだ。


「まあまあね」

 マーガレットの反応は存外冷たい。マークは関心がなさそうだった。


「その水球、風刃は何時間続けられるの? 」


 言い方も冷たい。…………何時間? 分ではなくて?


「……試したことがないので、わかりません」

 しゅんとして答える。


「では、試してみましょう。お好きな方の一種類でかまいませんので。さあどうぞ」


 えっ、えっ、ホント?

 ホントにやるの?


 や……やらざるを得ない。


「それでは水球でいきます」


 そう言ってショコラはピンポン玉水球を撃ち続けた。撃ちつづけた。うちつづけた。うち−−−−


 何分打ち続けたか、わからない。気がついたらベッドで寝ていた。部屋が明るいので目が覚めたが、どうも朝のようだ。


 昨日のことを思い出す。水球を撃ち続けた結果、魔力切れを起こして気を失ったんだ。


 お腹がすいた。昨夜は夕飯を食べていない。起き上がって周囲を見ると、右のベッドでマーガレットが、左のベッドでマークが寝ている。



 え、まさか、私、この老人二人と、三人暮らし? 






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