29 ダンジョンレベル1 腕試し ③
「下もモンスターハウスだったらいいなあ」
ショコラのことばに、僕はため息をついた。
ショコラは戦闘狂だったのか…………
恐る恐る、階段を下りる。
よかった。モンスターハウスじゃない。
「ダンジョンに愛されていると思ったのに」
ショコラは残念そうだ。いや、ショコラ、愛されてるよ。モンスターハウスじゃないから。
地下三階層は、一般的な迷路だった。
ショコラが【探知】を使ってゴブリンを調べると、全部で十体見つかった。やはり、ばらけて、一体ずつだ。
ショコラは、刀ーー倶利伽藍丸ーーを使わずに、それらゴブリンを風刃で、あっという間に霧にしてゆく。
「まさか、これで、三階層、終わりなの?」
十体目を霧にしたあと、ショコラはうめくようにつぶやいた。
「まさかとは思うけど、でも、そうみたい、遺物があるから」
十体目のゴブリンが消えた跡あたりに、見覚えのある玉が落ちていた。
拾ってみると、見かけは、ニ階層の玉と同じものだ。
「ほら」
僕がショコラに見せると、ショックーーー、とうなだれてしまった。
ダンジョンレベル1は、思っていたほどのこともなく、攻略できてしまった。僕でさえフラストレーションを感じるのだから、ショコラはなおさらだろう。
揚羽さんはうれしそうに舞っている。でもさすがに、疲れていそうだ。
玉をブルーに渡して、僕らは帰途に着いた。
エリア外に出ると、揚羽さんは空に舞い上がって去ってゆく。
ブルーが
「またね」
と挨拶して手を振った。
ショコラも僕も、手を振った。
揚羽さんは、やっぱりブルーのともだちだったんだね。
ブルーのともだちなら、ショコラや僕も、もう揚羽さんとは、ともだちだよ。
僕たち三人はシートを敷いて遅いお昼ご飯を食べた。
ショコラはローブを着ていたので、屋敷にそのまま帰った。後ろ姿がなぜか切ない。
僕とブルーは、攻略報告のため、探協に寄った。
ダンジョンレベル1を攻略したので、と受付嬢に言うと、すぐ奥の部屋に通された。
攻略の話を聞いたマルクは目を丸くしたが、ショコラが一緒だったことを伝えると妙に納得をした。
ショコラ、信頼、厚いね。うらやましい……
「そのショコラが、なぜ、いないんだ」
マルクの問いに、そうだよね、当然そう思うよね、と思いつつ、
「さすがのショコラもかなり疲れてしまったようなんです。ちょっと僕が足を引っ張っちゃったし」
僕が、誤魔化すために、そう言うと、
「あんまりショコラに迷惑をかけるなよ」
マルクにたしなめられてしまった。
ショコラ、評価、高そう……
僕も頑張ったんだけど………… ふとブルーを見たら、にこっと笑ってくれた。
どんまい! という笑顔だ。ありがとう、ブルー。
なにやら書類を書いて、玉二つを提出して、帰ろうとしたら、マルクに引き留められた。
「今回のダンジョンの件を踏まえて、ショコラにちょっと相談があるんだが、伝えてくれないか。足を引っ張らなければ、ギャレットも同行していいぞ」
僕はグリコ、じゃなくて、ショコラのおまけであった……
マルクは話しを続ける。
「タワーレベル2で、本来いないはずの金属ゴーレムが出現している。その予備調査だ」
え、
まさか、あのプラチナゴーレムの影響?
それって僕ら、いや、ショコラのせいです! ショコラが指輪、持ってます、ショコラに責任を取らせます!
「必ず承諾させます」
僕は自信を持って答えた。




