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24 幸せのカタチ

 ショコラが剣術の師のもとへ通い始めた。


「朝早く、元気に屋敷を出て行きました。お昼前には帰ってくるはずです」

 マーガレットがスッキリとした顔で報告に来てくれた。


 秘密の地下通路を通って我が家にやってくるのだ


 ショコラも、剣聖の弟子の先生なら、さぞ満足しているだろう。


 よかった、よかった。一件落着。

 僕は、遠山のきんさんみたいだ。


 続報だと、剣術の鍛錬はかなりハードらしい。

 私語禁止、発することばは、はい、のみ。


 先生直々に三十分ほど剣を交えるようだが、まったく歯が立たないらしい。


 ショコラは屋敷に帰って来ると、

「信じられない」

 と何度もつぶやき、二、三日は、かなり沈んでいたようだ。


 でも五日目あたりからは、見かけ元気になったが、パタリと道場のことは言わなくなったという。


 マーガレットはよほど恩を感じているらしく、ショコラに変化があると報告してくれる。




 僕は相変わらずガーデンに行き、魔獣を斬り続けて、野菜と果物を収穫する日々が続いていた。

 僕にとっては幸せの日々。


 毎日、同じことの繰り返しだ。幸せの円環時間。


 細かいことをいえば、もちろん違いがある。

 例えば、ブルーの手料理がイマイチの失敗だったり、めちゃくちゃおいしかったり。

 遊びの延長で、必殺技をブルーと考えたり。


 でもそんなことは些細なことだ。

 ほぼ同じような一日を過せるということは、同じような幸せを追体験できるということでもある。


 他人が見たら単調な日々。でも、それが今の、僕の幸せだった。





 幸せな日々を壊したのは、もちろんショコラだ。信じられない。


 あれから十日も過ぎただろうか、まだ、ブルーと買い物にも行かずにいた。

 毎日幸せだと、そのサイクルを壊したくなくなるのだ。


 渦がだんだんと中心に向かうように、ブルーとの仲も深まっていたし。


 とうとうギャルくんと呼ばせたし。





 ショコラは夜、いきなり普段着姿で、我が家に来た。


 明日は道場が定例のお休みだという。なんでも二十日に一日は休息の日があるらしい。


 それはいいのだが、その休みを使って、修行の成果を試しに異世界に行きたいとショコラは言うのだ。

 お小遣いを稼ぎに行くんじゃないの?


 試したいという気持ちもわかるし、以前ブルーも約束してしまっているので、断われない。


 しかし、困ったことに、行きたい異世界はダンジョンだという。


 それって『おいらの買い物カゴ』のオヤジが気をつけろって言っていたところで、

 あれから事態は改善していないと、オヤジからも聞いている。


 あまりに急な話で、しかも危険を伴う。

 ブルーがいるから危険はないと思うが、でも、ブルーにばかり頼るのも、なにか、引っかかりがある。




「腕試し。私の実力がどこまで通じるのか、確かめてみたいの」


「だったら、ほかの異世界でもよくない?」


「記念のデビューは人口に膾炙かいしゃされる場所で、と思って」


「うーん、なにを言っているのか、よくわからないよ」

 記念のデビューってなにさ。人口に膾炙されるってどういう意味さ。


 わざとむずかしいことばを使って…………なにか隠しているな。




 ショコラは止められない。ブルー、なんとかしてよ。


「ショコラさん、なんてステキなんですか! すばらしい選択だと思います! 明日はダンジョンに、三人で行きましょう。レッツゴーです!」


 あおってどうするのさ、ブルー。きみは止める役回りだと思うけど。







 本日、夜の決定事項


 明日、ダンジョンレベル1を攻略する。

 以上。




 ぎゃーーー。


 ギャレットは、叫んだ。




 、



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