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21 果物

 翌日、折りたたみ式のリュックを二つ多めに持って、いつものようにガーデンに行く。


 五階層の魔獣は多くて少し面倒だが、いい鍛錬にもなっている。


 三分の一の野菜を収穫したあと、六階層に上がって果物を収穫する。ここでも僕の間抜けさがバレないようにと収穫するのは三分の一にした。


 二人とも前と後ろにリュックを背負って地上に戻る。


 ダークマテリアルは異世界を発現させるほどの、見えない高エネルギー物質だが、それは人の身体にも影響を及ぼす。体内に吸収すればするほど、身体も能力も強化される。

 僕もそのおかげでブルーを呼び出すことができた。


 リュックは重かったが、それでも身体強化されているので、辛くはない。ただ、前も後ろもリュックなので歩きにくくはあるが。


 夕方、いつものように『おいらの買い物カゴ』に野菜と果物を持っていくと、案の定、果物について聞かれた。

「いつもありがとうな。安定して異世界産の野菜が仕入れられるので、助かってるよ。ところで、この果物はどうした? 見たところ異世界産の高級品だ。こんな高級品の果物はあまり見ないのだが」


「よくわかりましたね。そんなんです。異世界産なんです。ちょっとしたガーデンでたまたま収穫できたんですが、秘密です。他の探索者たちが知って、たくさん持ち込むと、高値で買い取ってくれなくなっちゃうから」


「企業秘密ってやつか。仕方ねえ。聞かない代わりに、うちに定期的に持ってきてくれよ」


「もちろんです。」


 野菜と果物合わせて一万二千フラになった。


「まあ、ガーデンだがら大丈夫だろうが、ダンジョンには気をつけろよ」

 オヤジさんが買取以外のことを言うなんて珍しい。


「ダンジョンで何かあったんですか?」

「ああ、ダンジョンレベル1だが、帰ってこない探索者がいるらしいんだ。レベル1だから、そんなはずはないのだが、もしかしたらダンジョンが進化したのかもしれねぇ」


「わかりました。ダンジョンに行くときは気をつけます。ありがとうございます」


 そう言ってオヤジと別れた。


 異世界はダークマテリアルから発現するが、そのダークマテリアルはときに、流れ込む量が増えたり、減ったりするという。


 そのダンジョンはダークマテリアルの流れ込む量が増えて進化したということのようだ。


 ブルーがいるから、僕は大丈夫かな。





 その日の夜、珍しいことに、我が家にお客さんがやってきた。


 居残りをしているマーガレットである。


 最後に会ったのは、コーレストの旅立ちの日だが、なんだか、やつれた?


 たいそう憂鬱そうな顔をしている。


 聞けば、ショコラが剣術の鍛錬をしたがっているのだが、マーガレットはその知識や技能がない。誰か、紹介できる剣術の師はいないか、無理は承知しているが、なんとか助けてほしい、ということだった。


 マーガレットは、もう、いっぱいいっぱいである。

 ショコラは敬老の精神を持っていないのかな。



 それにしても。

 ショコラ、なぜ剣術? 魔術じゃないの?


 ワガママいっぱいで、マーガレットを困らせちゃ、ダメじゃん。

 どっかのお嬢さんかな?



 でも、マーガレットさん、それは無理です。期待には添えません。ごめんなさい。

 僕も剣術の先生なんて知らないよ。


 ブルーもむずかしい顔をしている。


 ブルーのそんな顔も、かわいいなぁと、眺めていた。





 そこで、ひらめいた。


 馬上・枕上(ちんじょう)厠上(しじょう)に、見ブルーを加えたい。

 三上一見さんじょういっけん



 探協で紹介してもらえばいいんじゃん、剣術の指導者。


 ショコラは、コーレストが留守中に来た遠い親戚の女性で、剣士を目指していることにすれば、コーレストの弟子としての煩わしさからも解放される。


 まだショコラは、コーレストの弟子認定を社会的には受けていないので、いけるはずだ。

 タワーレベル1のとき、ジョンに【偽装】をかけてもらってもいる。




 一石二鳥、一挙両得、一粒で二度おいしい。


 ショコラがいたら、

「あったまいいーー」

 とほめてくれただろう。

 残念だ。

 ショコラがここにいてほしい。

 僕はほめて伸びる子なのに。



 マーガレットにその案を話したら、とても喜んでいた。


 明日、僕が探協に行って、お願いしてこよう。





 よしよし、これでマーガレットには一つ恩を売った。



 何かあったときは、マーガレットに頼れる。



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