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10 タワーレベル1 ①

 応接間に六人が座る。


 コーレストが五人を見回して話し始めた。


「今回の探索はタワーレベル1、三階層のピラミッド型です。この探索はショコラの試験でもあります。攻略できれば合格、不合格なら破門にします。

 ショコラ一人だと危険なので、二人にも同行してもらいたいと思っていますが、二人ともいい?」

 ショコラは驚いた表情をしている。事前に何も聞かされていないのだろう。


 僕はかまいません、というと、ブルーが、はい、とうなずいた。


「三階層で遺物が出れば攻略です。ですから遺物が出るまで三階層からは降りないでください。九時出発、今日中にこの屋敷に帰ってきてください。何か質問はありますか?」


 コーレストがショコラの顔を見て尋ねた。


 ショコラは少しの間テーブルを見つめたあと、顔をあげて、

「ありません、短い期間ですが修行の成果を出します」

 と決意表明をした。同い年のはずなのに、ショコラ、しっかりしているなぁ。


「あと遺物ですが、タワーの遺物は当たり外れが極端だと言われています。クズ遺物と呼ばれるようなおもちゃの場合もありますので、まさかとは思いますが、子どもの落とし物だと思って見過ごさないようにしてください」



 打ち合わせが終わったあと、僕はショコラに話があるから残って、と頼んだ。

 探協での一件を伝えようと思ったのだ。ショコラは怪訝な顔をしたが、浮かしかけた腰を下ろした。


 時間もないので探協での話をかいつまんですると、ショコラは、ちょっと信じられない、という顔をした。


「面倒事に巻き込まれることもあるから、コーレストの家から出るときは注意したほうがいいと思う。まだショコラが弟子だとバレていないと思うから」


「どうしたらいいと思う?」


「変装でもする? でも、そんな子どもだまし、すぐにバレちゃうかも。屋敷から出ないのが一番いいと思う」


 僕がそう言うと、

「いじわる……」

 と拗ねてしまった。


 まあ確かに、注意したほうがいいと言いながら、あとは知らないでは、やな奴である。


「コーレストって魔術師だし、【偽装】をかけてもらうっていうのはどう? そうすればぜんぜん違う人物になるよね」

「ナーイス! それ、いこう! ギャレット、あったまいいーー」

 ショコラが満面の笑顔で叫ぶ。


 僕が提案して言うのもなんだけど、誰が頼むのさ、ショコラ! 


 ショコラは自分の師匠に頼めるの? なにより、コーレスト、魔術師じゃないし、【偽装】なんてかけられないし!


 それから、ショコラ、まただまして、ごめん……


 まぁ僕も、タワー近くでコーレストの甥っ子が来ていると騒がれるのも面倒なので、今回はジョンに頼むか……

 人生初めての、金メダル級の土下座を披露しよう。


 次回は自分で頼むんだよ、ショコラ。


 出発のとき、見送りに出てきたジョンは、僕の頼みを聞いてくれて【偽装】をかけてくれた。


 ジョン、ありがとう。




 あ、ブルーにかけてもらえばよかったのか。








 タワーレベル1はセントディアから一時間ほどの場所にある。林を抜けると砂地になり、そこに建っていた。

周りには三人グループ、四人グループが数組いて、ピラミッドの周りを歩いているように見える。

【偽装】も時間限定だったため、解けてしまっていた。



「まずは入口ね、タワー型は入り口がわかりにくいからみんな探しているみたい」


 初めて見るローブ姿のショコラ、あんまり似合っていないように見えるけど、見慣れていないせいだろう。


 彼女はその口ぶりから、どうもタワーに来たことがあるようだ。


「ショコラってタワー、入ったこと、あるの?」

 僕がそういうと、ショコラはちょっと偉そうに説明してくれた。


「リパンに住んでいるときにガーデン、タワー、ダンジョン、それそれ一回ずつだけど、入ったことがあるのよ。まぁ、体験ツアーみたいなものね。

 タワーに入り口はないの。というより、入り方が変わっているのよ。エリアに入ったら、そこら辺にいる魔獣を半殺しにするの。そうするとタワーに逃げ込むから、その逃げ込んだところから入るの。そうしないとタワーには入れない」


 ショコラ、詳しすぎる。ただ者ではないな。


「だけど、それだったら周りの人に入口、ばれちゃうじゃん」


 僕がそういうと、ショコラは、おまえ、何も知らないんだなーという感じのニヤニヤ笑いを浮かべて、

「はは〜、知らないな〜。

 仕組みはわからないけど、膜の内側、エリア内に入ると、私たち専用のタワーになるの。他の人たちは入り込めない。他の人たちもそれぞれ自分たち専用のタワーに入る。目の前のタワーは一つしか見えないけど、そのコピーみたいなものがいくつもある感じかな。私たちはそのコピーみたいなものの一つに入るのよ。これはガーデンもダンジョンも一緒よ」


 そうなの?


 ちょうど今、薄い膜を突き抜けた感じがした。途端にさっきまで見えていたいくつかのグループが見えなくなった。


「ほんとだ。今、エリア内に入ったと思うけど、人がいなくなった……」


「ちょー初心者じゃん!」

 そう言ってショコラはくすくす笑っている。


 ブルーを見たら目が合った。ニコッと笑ってくれた。

 どんまい! そんな感じの笑顔だ。


 人はいなくなったが、その代わりにゴーレムが数体うろついている。

 ショコラはそのうちの一体めがけ風刃を放った。風刃はゴーレムの右足を傷つけた。

 するとゴーレムがピラミッドに向けて足を少し引き摺りながら逃げ込もうとする。


 半殺しじゃなくてもいいんだね。


「あそこが入り口ね。さあ、行くわよ」


 ショコラはやる気満々だ。僕とブルーは黙ってショコラのあとに続いた。





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