2話 魔人アニマ
「...ううん、ここは。」
目が覚めると、自分の家にいた。
だが、電気が切れてる、停電したのだろうか。
私はアニマ、生まれたての魔人。
いや、まて。
「もしかして、まさかのファンタジー。」
もしかしなくとも、何かが起きてファンタジーな世界になったのだろう。
その過程で、魔人などという種族になったのだろう。
人間だったときどのような暮らしをしていたが、思い出せない。知識は思い出せるだけありがたい。いや、趣味などは思い出せる。綺麗な景色を探して見ること。やっぱり、このことはやめられない。
「そのためにも、まずは魔人とは何か把握するしかないか。」
魔人とは魔族の一種である。
そして魔族とは、精神魔法が身一つで使える生物らしい。
生物と言うことは、植物や動物と同じ括りのようだ。
言い回しに気になるところがあるが、精神魔法を使う=魔族と考えて基本的には問題ないだろう。
何故、こんなことを知っているかは、精神魔法のおかげである。
精神の定義とは、情報の塊であるらしく、そのため、ラノベとかでよく出てくる「鑑定」なども精神魔法に含まれている。その一種で、種族把握と呼ばれている。
ただ、精神魔法が使えても、かなりの個人差があるため、使えないものの方が多く、特定の種族しか使えないものもある。
なお、使えるものは自然と名前がわかるようだ。
そして、現在使えるのは、全ての魔族が使える『種族把握』と、魔人の固有の力である『魔物生成』だけである。
何かを元に魔物なるものを生み出せる魔法らしい。
尚、元になるものは個人差がある。
「というか、魔物と魔族は違うのか?」
種族把握では詳しくはわからないが、何となく、違うと言うことがわかる。と言うか、魔族と魔物を一緒にするのは、魔族にっって最大の侮辱である。
やはり、生まれたばかりだからか、魔族としての自覚が薄いのだろう。
「取り敢えず、試しに何か生成するか。」
そう思って「魔物生成」を使おうとしても、何も反応がなかった。
ない可能性も考えていたが、やっぱり凹む。
-パリーン-
ガラスの割れる音がした。
いや、待て。まじでか。こんな朝っぱらに強盗?
もしかするとと思い、隠れて侵入者を待つ。
そこに現れたのは、黒い歩く骸骨__スケルトンとでも言うべき存在だった。
もしかしなくても、魔物だったようだ。
まあ、私のような魔人が存在している以上、このようなのがいる事も予想していたが。
「カタカタカタカタ!」
って、やべ。
私は、スケルトンの踏みつけをよけようとしたが避けきれず、足を潰された。
「グッ、「カラカラカラ...」...え。」
っと持ったら、スケルトンが崩れ落ちた。
それだけではなく、足についた傷もみるみるうちに消えていった。
もしかしてだが、私は聖属性とでもいうべきものをまとっているのではないか。
ふと、私の名前を思い出し、もしかしてと思い『魔物生成』を使おうとする。
すると、スケルトンの魂を素材として、光の球のような姿をした、「清き魂」という魔物を生み出せた。
うん、なんとなく私の特性が見えてきた。
おそらくだけど、聖なる魂というべきものなのではなかろうか。
聖属性らしきものをまとっている事、名前が、ラテン語で魂を意味するアニマであること生み出した魔物のことを考えるとそのような気がしてきた。
(自分のことはある程度わかったから、後は、外の状況の確認か。)
私はそう思い、カーテンの隙間から外をのぞくと、多数のスケルトンが外を出歩いていた。
それだけではなく、血がついている個体もおり、そういえばと思い、ヘット本を外すと、遠くから、悲鳴が聞こえてきた。
思ったより、まずい状況だったようだ。
(最優先事項は武器、次に配下の魔物。古武術に使う杖なら、数十メートル先の道場にあるはず。最悪、触れれば倒せる。護身用に古武術を習っていてよかった。)
私は、やるべき事をまとめ、清き魂の力を確認した後、すぐに行動に移した。