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さくらまいちるこの夜に

作者: 三条さくら

 東北、福島は東京に一番近い田舎だ。

 しかし新幹線が止まる中心都市は田舎の風情とは遠く隔たりがある。

 そこから車や電車で一時間ほど離れた、会津こそが、田舎の代名詞だった。

 青森、秋田、山形の豪雪地帯ほどの降雪量はないが、それでも会津の冬だって充分深い。雪は降り重なり重く硬く凍り、凍てつく日々を繰り返す。

 東北の人間は我慢強く、雪と対話しながら遅い春を待ち続ける。

 明けない夜がないように、溶けない雪もまた無いからだ。


―――今年は特に雪が降り続いた。降り出した雪が、夜も降り続き、朝、見上げるほどに降り積もる。まるで、白い壁のように。

 自分の背を越すほどの雪に、いつもならスノーダンプひとつできれいに道を作る母が音を上げた。

 吐く息は白く、寒いはずなのに、ふわふわした茶色の前髪が、汗で額に張り付いていた。

 見かねて手伝うよと言っても、総領息子にはさせられないと、雪焼けした顔で笑う。雪国の母はつよいと思う。

「かぜをひいちゃ、たいへんだから、お部屋に入ってな。先に朝ご飯食べて待ってて」

 いつもいつも、朝早く、雪を開けるのは、女衆だ。子供たちが目を覚ますころには道ができている。

 

 今日はまだ冬だ。でも、春は近づいて来ている。ゆっくりと膨らんでいく庭の木々の新芽がもうすぐだと教えてくれている。

 そして一気に暖かくなって、雪が消えたら。春になるんだ。

 春だと、凍えて縮こまっていた木々が、そう思い知ったら。驚くほどの色彩で、溢れるように咲き誇る。たった一日で、町中に花が咲くのだ。


 春、花が開くと思い出す友達がいる。

 桜花の色を思い浮かべると、同時に浮かぶ顔だ。

 

『―――が、―――ら』


 俺は最後に会ったあの日、みやがなんといったのか、思い出せないままでいる。


 思い出せる事柄は、いつもいつもくだらない戯言と、風景ばかりだ。

 何もなかった家のまわりは、今ではずいぶん様変わりをした。

 小学生の頃は、見渡す限りどこまでも田んぼだったのにと小さなため息をこぼす。

 走っても走っても、遮るものなど何もない、広大な大平原。

 もちろん小学生の感覚で言えばの話だ。

 二本の足では走ったところで大した距離は稼げないはずなのに、丸太橋を渡って河原を走り抜けて急な坂道を息を切らして駆け上って、たどり着いた天辺の大きな木に登って、下界を見渡した。

 あのころ、あの山の天辺で俺たちは王様だった。

 まるで犬っころのように、じゃれあいながら走って、跳ねて、登って、見るものすべて美しくて、輝いていて、毎日がキラキラしていた。

 河原で遊ぶのも、山に登るのも、風穴の中をへっぴり腰で進むのも、大枝にしがみついて町を見渡すのも、楽しかった。


 宮のはじけるような笑顔が浮かんで、消える。


『―――が、―――ら――で、また―――』


 宮とはよく一緒に遊ぶ割に学校では会えなかった。同じ年のはずなのにどのクラスにもいなかった。だから単純に、ちがう学校のやつだと思っていた。学区違いってやつだ。

 学校から帰って、ランドセルを放り投げて家から駆けだすと、いつの間にかもう隣でけらけら笑いながら一緒に走っている。

 先を争うように走って、ゴールはいつも山の天辺の大木だ。

 笑いあって、明日もまた遊ぼうと約束もしない。でもそれでよかった。

 春は雪が消えたばかりの田んぼの中を。

 夏は河原で水遊びをし、川の中の岩に登って飛び込んで。

 秋は山の恵みを摘みながら。

 冬は会津を離れるのか、会えずじまいで。そう、最後に会ったのは小学三年生の10月頭ころだった。

 いつでも会えると思っていたから、宮の家すら知らないままだ。

 走りだせばすぐ隣を走ってくれた、宮。四年生の春から、塾に行くことになった俺は、もうランドセルを投げ出して、遊びに行けなくなったんだ。

 春になると思い出す友達の姿に、今年こそ宮の家を突き止めると決めた。


「かあさん、小学生の頃さ、よく遊んでた宮ってやつの家、しらない?」


「宮? ううーん、よくわからないわ。小学校の頃のお友達って、山木君と柿村君、飯田君でしょう?宮って苗字?」


「うん。昔よく遊んだんだけど、山小にはいなかったから、門田か城南だと思う……。」


「じゃあ、わかるわけないわ。なに、あなたったら別の学校の子とも遊んでたの」


「学区ちがうけどそう遠くないよ。丸太橋渡って、河原駆ければすぐじゃん」


「危ないから丸太橋は渡っちゃダメって言ってたでしょう!まさか、あの山で遊んでたの?」


「(あ、やべ)まあまあ、もう子供の頃の話だし!」


「山に登ったりしてないわよね?」


「別にあの頃だって危ないことなんか」

(してなかった、よ、な)

 一瞬、息が止まった。

 きんっと意識が遠のく。

 ぐっと息が詰まった。吸っても吸っても、肺が酸素を取り込まないからだ。目の前がちかちかと点滅しだして、思わず喉元に手を当てて、大きく深呼吸をしてしまった。

 

 脳裏に映る、伸ばした手は小さくて子供の手だった。

 藍色に染まった空は、膜に覆われたように滲んで、前がよく見えない。

 それでも××に、必死に手を伸ばして、何かを、誰かを掴もうと手が届く限り空へと―――。


 必死に。


「―――探さなきゃ」

 呟いた言葉に、自覚は追いつかないままだった。探す?

「―――誰を探すというの」

「え?」

「あの山で、誰を探すというの?」


 ひときわ冷たい声がした。母さんの声だ。


 振り返り見た母は、能面のような無表情で、俺を見ていた。なんの感情も浮かんでいない、別人に見えた。

 いや、きっと、光の加減のせいだろう。

 刹那の間で、母はすぐにぱっと明るい顔で微笑んだ。いつものふわふわした笑顔なのに、今日はそれが画面越しのように思えた。

 男の子って本当に冒険したがりなんだから。そんなことをつぶやく母さんに、何とか笑顔を向けて、階段を上がって自分の部屋にはいった。


 机に腰かけて、何だったんだろうと自問する。

 何も変わらないと言い聞かせるようにして、自分を落ち着かせなければならなかった。

 母さんも俺も、いつもと変わらないはずなのに、なんで、こんなに胸が騒ぐのだろう。

 あの残像だってそうだ。水の中のような、光が迸って、息が苦しくなって。でも、溺れた記憶なんて、俺にはない。

 子供の頃の覚えていたはずの何かがすっぱり抜け落ちているなんて、別におかしくもないのに、なんでこんなに気になるのだろう。


「あー!やめだ、やめ!」

 ぱちんと自分の頬を叩いて、気分を入れ直す。

「―――まずは、宮だ。中学でもいなかったから、学区違いは確実だ。じゃあ、高校でばったりとかありえるかもな」

 それはそれでわくわくするじゃないか。

「いや、待てよ。同い年って決まったわけじゃない。背格好同じくらいだったから、ついタメだと思っただけかもしれないし……先輩って線も無いとも言えんなあ」

 俺は同年代でもけっこうでかい方だった。

「まあ、あしたは入学式だし、ちがう学区のやつらに聞いてみるのもありかもな」

 聞くまでもなく、本人とご対面っていうのもあるかもしれない。

「入学式を前に宮のことを思い出したのも、再会のために必要なことだったのかもしれないな」

 そんなことを思いながら、夜は更けていった。


 朝。仕立てられたばかりの学生服にそでを通し、登校する。

 父さんと母さんも入学式の参列のために、きっちり決めてくれている。父さんはダークグレイのスーツで母さんはライトグレーのツーピースだ。真珠のネクタイピンと、ネックレスは二人おそろいだった。

 今年は雪が深かったわりに、春が早く訪れ、梅が咲くころには桜も一斉に満開となった。四月の上旬に桜が満開になることは、会津ではほとんどない。

 その滅多にない満開の桜を見て、父さんと母さんが目を丸くしていた。

「すごいわねー、入学式に桜が間に合うなんて」

「そうだな、ここの所寒い冬が続いていたから。満開の桜と一緒の入学なんて初めてじゃないか?」

「……何言ってんの、幼稚園の入園式も桜が満開だったじゃない」

「そ……、そうだったっけ?」

 父さんと母さんが驚いた表情で俺を見た。

「そうだよ。桜が満開で、町中桜の香りがしてて、桜の木の下に母さんが居たじゃない」

 おぼろげに浮かんだ、桜の木の下の母さんは白っぽいワンピースを着て、胸に赤い花を挿していた。

 長いストレート(・・・・・)の黒髪が風になびいて、母さんの白い顔を隠している。満開の桜が風に大きく揺れている。

 桜の枝が大きくしなって母さんの顔を隠しているけど、赤い唇が緩く弧を描いているから、笑ってくれているんだと分かった。


「あ、ああ。そうだったな」

 歯切れの悪い父さんを見ても、能面のような笑い顔で固まった母さんを見ても、別に変だとは思わなかった。

 見ているようで、何も見ていなかった。


 俺はもうずっと、家族のうわべしか見ていなかったんだ。


 さて、意気込んで臨んだ入学式だったけど、高校でも宮に会うことはなかった。まあ、高校は結構あるし、学区外受験も盛んになってきたから、出会えなくても仕方ない。

 でも、ちがう学区のやつに宮のことを話しても、こいつだ!と思えるような情報はなかった。


 おかしいな。いるはずなのに。


 学校違いでも、先輩でも後輩でも、忠霊塔の近くに住んでいる同じ年頃の男子生徒は居なかった。まあ、会わなくなってもう六年だ。


「……俺のインナーフレンドってわけじゃないよな……」


 まさかの妄想の友達とか寂しすぎる。

 俺ってそんなに友達少なかったっけ?


 部活の勧誘をかいくぐり、今日は帰ることにした。ついでに昔の記憶の通り、道なき道を走りこんで忠霊塔を目指すことにした。

 家を背にアスファルトに立つ。

 向かう先は家また家の住宅地と化していた。田んぼなんてもうずいぶんと前に埋められて、宅地造成されていた。

 昔はここから見えた山裾が、家々の屋根で見えない。山の中腹にあるはずの忠霊の塔はここから見えない。

 とりあえずは山頂の大木を目指して走るか。でもなあ、記憶の中の大平原とはちょっと違うことに気が付いた。本当に子どもの頃、ここからあの山裾まで何もなかったっけ?と、首をかしげてしまった。


「―――幼稚園の頃、ここら辺に家あったよなあ。俺、遊んだことある、よな?」


 ゼイゼイしながら家々の路地を走り抜け、丸太の一本橋を渡る。途中の家は子供の頃よく遊んだ柿本の家だ。その先にある家は飯田の家。楽しく冒険できるように、丸太橋を切り出してくれた、じいちゃんは山木のじいちゃんで、ここいらの大地主だ。新築の家も増えたけど、それ以上に築年数のある家が存在する。

 河原の背高のっぽの草で傷を作りながら走った河原は、昔の記憶の何倍も走りやすくなった河川敷となっていて、近所の爺婆の散歩コースになっていた。カラフルな遊具まである。そうだ。この遊具を山木や柿本と取り合ったこともあったじゃないか。

 

 でも、何にもない原っぱを駆け抜け、草ぼうぼうの河川敷の坂を上がって、裏山のがけをよじ登り、真新しい忠霊塔を通り過ぎ、山頂の桜の木にタッチするまでが宮とのコースだ。

 覚えてる。

 裏山の崩れかけたがけを登るから子供の足で一時間以上かかったんだ。

 

 なのに、表通りを走れば、ほんの15分程度で目的地に着いてしまった。


「なんだよ、これ、記憶、変だ……」

 それでも忠霊塔はあの頃と同じ……いや記憶より薄ら汚れて灰色だ。それが暮れ行く夕日で、茜色に染まっていた。

 断片的な映像が、この記憶がここで体験したことだと、俺に迫ってくる。むせかえるような夏の記憶。虫取り網とセミの声。踏みしめた草の香り。河原の堂々とした水の流れる音と水がはじく光の渦。浅瀬に浸した足の冷たさ、石をひっくり返して目にした虫や、川エビ。

 紅葉迫る山の中で見つけたアケビにかぶりつき、山ぶどうを摘んだ。季節のどのシーンでも隣には瞳を好奇心に輝かせた宮がいた。体温も息遣いも吹く風の温度さえ覚えてる。


 でも、鮮明な小学生の頃の記憶が、それを否定するんだ。

 外遊びは親同伴の運動公園だった。綺麗に整地された作られた河原とぬるい循環型の川は、水よりも泥の香りのほうが強かった。

 やがて外遊びは、河原に併設されてるサッカー場でのサッカー一色となった。

 週二回の学習塾と、週一のピアノと英会話と水泳とサッカーで、ランドセルを放り投げて走りだせる曜日なんて、俺にはなかった。

 なのに、誰かの記憶が訴えかける。

 田んぼのあぜ道を駆け抜けて、どこまでも続く平原を息を切らして走り、丸太の一本橋を渡って河原のやぶの間をぬって、裏山の崩れたがけをよじ登り、静かにたたずむ忠霊塔を目指し走ったことが現実だと。

 忠霊塔を見上げると、もう一つ思い出すことがある。

 ここに来たら帽子を取って、お礼を申し上げなきゃいけないのよ、と母さんが小さな俺に教えてくれたんだ。

 あれはいつのことだろう。多分小学校に入る前だったと思う。

 目線がうんと低いからだ。周りがものすごく大きく見えたからだ。見上げたらそのままひっくり返ってしまいそうだ。

 俺が一生懸命見上げた先には、真っすぐな黒髪の優しいまなざしの母さんがいた。

 白いワンピースを着て、胸に赤い花を抱えていた。


 母さんは、忠霊の塔の前に花を手向け、秘密を打ち明けるように囁いたんだ。


 先の戦争で戦死なさった英霊が祀られているのよ、と言う。

 ここに眠る御霊はすべて、護国のために闘って私たちのために命を散らした方々なのと。

 ご遺骨がない方もいらっしゃるわ。それでもきっと、故郷に戻っていらしてると思うの。きっと魂だけになっても私たちを守り抜こうと、魂だけになったなら、なおさら、身軽にここに飛んできているわ。だからこうして、寂しくないようにお花を飾って綺麗にしておくの。

 あなたのおじいさんがね、よくここで酒を酌み交わしていたわ。

 ほら、みてごらん。

 桜のつぼみが色づいてきたでしょう?

 出陣前に満開の桜の下で会うことを誓い合って、戦地へ旅立ったのですって。

 でも九段坂は遠いから、おじいさんたちで、お山に桜を植えたんですって。昔々は東京へ行くのはとてもとても大変だったそうよ。

 今なら新幹線でひとっとびの距離だけどね。

 おじいさんたちが自慢してたわ。すごいのよ、春になると満開になるの。桜の花がねトンネルのようになるのよ。迷わずに故郷に帰ってきて、迷わずにまたあちらへ行けるようにと。

 

「さくら、きれいね」


 見上げれば、桜のかげになって赤く微笑んだ口元しか見えなかった。


 ※※※


「ひさしぶり。元気だったか」

 山頂の桜の巨木を見上げていたら背後から声がかかった。

 振り返ると満開の桜の木の下に詰襟姿の青年が立っていた。

 詰襟の校章を見ると同じ学校、同じ学年だ。細面の整った顔にサラサラの黒髪。昭和レトロな制帽をかぶって、斜め掛けにした白い布鞄とこれも斜め掛けにした丸こい水筒が胸で交差し両側の腰元におさまっていた。

 切れ長の鳶色の眼差しが、カブトムシを捕まえたときの宮の眼差しと同じだった。

「宮、?」

「おう」

 にっかりと笑ういたずらっ子の顔に、じわじわと喜びが沸き上がる。

「なんだよ、宮!同じ学校なら、声かけろよ、俺、お前のこと探したんだぜ?何組なんだ?」

「俺?ほ組だよ。48番」

「ほ組ィ?からかってんのか?俺は二組だ」

 出席番号は何番だったっけ?まあ、いっか。

「に組か。俺だって探しに行ったんだけど、入れ違ったんだなあ」

 うんうんと頷く宮の姿に、なんだ宮も俺のことを探してたのかと嬉しくなった。

 

 子供の頃のように、大きな桜の枝に並んで座ることはできなかったけど、幹に寄りかかった宮が柔らかな眼差しで、見つめてくるのでうながされるまま小中校の話をした。

 仲間はできた。部活も勉強も楽しんでやっている。でも思う。

 よくつるんでる仲間の中にお前がいたらもっと楽しくなっていただろうと。


「ああ、俺も、そう思うよ」


 沈む夕日が宮の顔を照らして、どんな表情を浮かべているのかわからなかった。


「宮、お前んち今度こそ教えろよ。あとアドレス交換しようぜ」


 宮が寂しそうな顔で俺を見つめた。

「なあ、桜の木の下には何が埋まっていると思う?」

「宮?」

「忘れちまえることだったか?なあ、俺と会うってことはお前が忘れてない、あきらめてないって証拠なんだぜ」

 宮、何を言ってるんだ、と続けようとした声は、まぶしいヘッドライトの明かりのせいで、声にならなかった。

「ま、っぶし」

 片手で光を遮るように、顔をそむけると、車のドアが開く音がして、ヒステリックな女性の声が響いた。しかも知らない声じゃ、なかった。

「なぜこんなところにいるの!」

「……母さん?」

「早く乗りなさい!早く!」

「あ、ああ。宮、あしたな!」

 すごい剣幕で車に引きずり込まれるようにして乗り込んだ。宮に詫びようと姿を探すが見当たらない。親の剣幕に恐れをなしたんだな、これじゃ仕方がないかとあきらめる。

 でも、今回は今までとは違うんだと、小さな含み笑いに肩を揺らした。

 明日がある。

 明日、また会って、今日のことを詫びればいい。

 成長した宮の様子は変だったけど、宮よりも様子のおかしい母さんだ。

 母さんは白、というよりも青い顔で、必死にハンドルを握っている。握りこんだ指の関節が白くなってカタカタと震えていた。何をこんなに怖がっているのがわからなかった。

「……どうして、どうしてよ。忘れたはずでしょう……、いえ、いいえ、何でもないわ。は……早く帰ってご飯にしましょう。今日はあなたの好きなハンバーグを作ったのよ、冷めちゃうわ」

「うん、あの、ごめんね、母さん」

 とりあえずの慰めの言葉で、目に見えて明るい表情になったけど、それでも心配だ。


 春、桜が咲くころにいつも母さんは、何かにおびえていた。


 山をそろそろと下る、車の後部座席に座ったまま、後ろを振り返った。

 はたして、桜のライトアップに浮かび上がる、ふたつの人影があった。

 背の高いすらりとした影が宮で、その隣の華奢な人影は、女性のようだ。

「宮も親が迎えに来たのかな?」

 昨今の親たちは、本当に子どもに対して過保護だよなあ。

 そんなことを思っていると、車が大きく右にカーブを切って、桜も人影も見えなくなった。


 ※※※ 


 その明日になった今日。俺はまたも頭を抱えていた。

 ほ組だっていうなら、いろはで数えて五組だと思ったんだ。高校は一学年六クラスある。

「でも、いねーじゃん」

 宮の姿は学校にはなかった。

「ほ組なあ……。昭和二十三年に高等学校と名称が変わるまでは、いろはで組み分けしていたぞ。良く知ってるなあ」

 生き字引といわれる、七十四歳の白髭の爺先生にはなぜか褒められた。

「俺が入学した年に名称が変わったんだ。それまでは尋常中学校と呼ばれてな。なつかしいな」

 そんな懐かしあるあるを、半分聞き流していたら。

「福島や郡山と違って、会津は大きな空襲こそなかったが、結構な数の学徒動員で尋常中学出身の兵隊は多いんだよ。お前の話聞いてると、なんか、学徒動員の学生に思える。だいたい布製の肩掛け鞄なんて令和の時代に、昭和かよ。お前のオトモダチは本当に生きてる人間か?」

 そういって、タタタと何かを打ち込んだiPadの画面をくるりと回した。

「……う」

 戦時中の学徒動員された学生の姿が映し出されていた。

 学帽に学生服、たすき掛けの布鞄に、水筒。

 昨日見たままの宮の姿が、映し出されているようだった。


 まさかの俺のオトモダチは幽霊疑惑に慄いて、ふらふらと家路をたどる。


 この季節は満開の桜がアスファルトの上に薄桃色の花びらで文様を作る。

 河原沿いの桜並木のその下で、白っぽいワンピースの裾を風に膨らませて、女の人が立っていた。

 長い、ストレートの黒髪が風になびいている。桜の花びらがその黒髪にひらりひらりと舞い落ちてきた。すらりとした女性は、立ち姿も美しい。振りかえりこちらを見た眼差しに、動けなくなった。

 

「あ、宮のお母さん……?」

『はやく、逃げて』

「え……?」

 次の瞬間、ごおっと風が巻き起こり、桜花を巻き込んで吹き荒れた。

 風がおさまった時には白い女の人は居なくなっていた。

「逃げてって……何からだよ」

「思い出せばわかる」

「うわっ!……な、んだ、宮かよ……。って、宮あっ!」

 思わず肩をわし掴む。

「うおっ!つかめる!幽霊じゃない!」

「おまえ、ほんっとーにのんきだからさ。俺も、もう我慢の限界」

 ぽんぽんと身体をタップする俺に、宮はあきれたようなため息で答えた。

 なんか、呆れられた。

「なあ、お前さ、子供のころ。俺と見ただろう?裏山登って頂上の桜までの競争で」

「……それな、おっかしいんだよ。田んぼ道を走ったよな。河原のやぶの中つっきってさ」

「おう。河原のやぶで切り傷作ってべそかいてたな」

「宮、俺さあ、河原で流れに落ちたことあったっけ?」

「さあなあ。忘れたよ」

「宮と崖をよじ登って競争したことは?」

「おぼえてる。じゃあ、宝物を隠したことはおぼえているか?」

「……宝物?隠したって、どこに?……なあ、宮。頂上の桜って、こんなに……こんなにおっきかったっけ?」

 泣きそうな気分で隣の宮に問いかけた。

 そうしたら、宮が、やっとかと言いたそうな顔で、俺を見て。

 微笑んだ。

「……俺の覚えてる桜は、植えたばかりでひょろひょろだったさ」



 ※※※



 ざあっと風が満開の花びらをさらっていく。

 風に舞い散る、いちめんの桜花で、目の前が淡いピンクに染まった。


「さいしょはさ、みんな(・・・)が迷わないように俺が迎えに来ていたんだぜ。けど連れていく奴ら、みーんな童心にかえってて。だからガキの頃に戻ったつもりで遊んで遊んで、遊び疲れたころに連れて帰ったのさ。そうするとすんなり付いて来てくれるから。でもある時からここで遊ぶ子供たちとも友達になって。楽しかったなあ。中でもお前は俺の姿も声も見えるし聞こえるし、触れただろう?だからいつの間にかあっちに帰ることも忘れて春彼岸から秋彼岸まで一緒に遊んじまったんだ」

 桜の花びらが目の前で渦を巻くたびに、宮の姿は変化した。

 俺と同い年の学生服姿から、ぐんと身長が低くなって、半袖半ズボンに草履すがたの記憶の中の宮の姿へ。

 花びらが舞い散り、視界が隠れるたび、宮の姿は子供から青年へ、青年から子供へと移り変わる。


 それでも、その姿が大人になることはない。


 学生服に学生帽、黒い厚手のマントを羽織った宮が、うっとりと目を細めた。


「本当に楽しかったなあ。川遊びも野遊びも、お前は一向に気付かないから、あやうく春彼岸に一緒に帰りそうになっちまって、慌てて桜の根元に返したこともあったんだぞ」

「えっと、なんかごめんなさい?」

「それは俺じゃなくて、お前の母親に礼を言おうな」

「ははおや」

「なあ、お前の母親はどこにいる?」

 宮の明るい鳶色の瞳が俺の目を覗き込んで、尋ねた。


 母さん?母さんなら家にいる。そう答えようとしたのに、声はのどに張り付いて、音にならなかった。


「お前の母親のすがたはどんなだった?」


 俺の母さんは、ふわふわ茶髪の、小柄な……。


「本当か?」


 目の奥に光があふれた。キラキラと輝く光は残像を描き出す。桜の木の下で風になびく黒髪をおさえたすらりとした女性の姿を。

 白いロングワンピースの裾が風に膨らむ。胸に抱くは赤い花束。彼岸花。

 細い花弁が宙に舞う。母さんの唇と同じ赤。

 赤い花弁が弧を描き、微笑の形を作る。茶色の柔らかな眼差しが俺を見ている。

 唇が開いて音を生む。

 抱きしめてくれた腕の強さ、桜の香り。でも、胸の赤は、あの色は。


 心臓の音が耳元でうるさく奏でている。吸っても吸っても肺が膨らまない。

 冷たい川底に押さえつけられて、もがいても、もがいても、その腕はびくりともしない。

 やみくもに空に伸ばした子供の手は、押さえつける腕を外そうと爪を立てる。浅黒い骨ばった腕。金属製の輝きが目の端で光る。左手首にまかれた時計。その腕時計の向こう側で、能面のような茶髪の女性の姿を見た。がぼりと吐き出した空気の泡。鼻の奥に走る痛みと涙は、水面に溶けた。

 気を失ったのは一瞬だ。

 水面から俺を掬い上げ、抱きしめてくる細い腕にすがった。

『何も見てない』

「なにもみてない、しらな、い」

 それが、酷い裏切りだと責める声がしたのに、ボクはそれを見ないようにして、心にふたをしたんだ。


「み……みや」

「思い出したなら、さっさと行け。もう時間がないぞ。宝物は思い出せたか?」


「みや、みや……。おまえ、」

「あ、俺はな、藤宮辰之助というんだ。忘れるなよ」

「ふじみや たつのすけ」

「おう。柾一郎とは竹馬の友よ!」

「まさいちろう……だれだっけ」

「お前のひいひいじいちゃん。そっくりだぞ」

「そ……そう。じゃあ、これも夢じゃないってことだ」

「ああ。思い出したなら、お前が決めろ」


 そんなの、もう決まってる。

 俺は走った。忠霊塔を横目に、桜並木がつらなる坂道を、走った。

 頂上の桜の大木は、今が盛りと咲き誇っている。

 その根元めがけて走りこむと、がけ側に回り込み、素手で地面を掘り始めた。すぐに爪がわれ痛み出すが構わない。

 ごめん、ごめんとうわごとの様に呟きながら、硬い土に爪を立てる。

 どうして、どうしてとそればかりが頭の中で繰り返される。

 どうして忘れていられたんだろう。

 地面の中から素手で掘り起こした平たい石をスコップ代わりにして、さらに掘り進む。

 無心に掘り進めるうちに、木の根と土石ではないそれがようやく姿を見せた。


 ※※※


 家の前ではパトカーの赤色灯が、その存在感を発揮していた。

 家の玄関先では、父親と母親だと思っていたふたりが、警察官と言い争っている。

 冷めた眼差しで父親だった人を見つめれば、やがて俺の視線に気づいたのか、一瞬息をのみ、それから、気まずそうに目線をそらした。

 母親だった人はそんな夫と俺の姿を見て、うわごとのように違う違うと呟いた。


「なにがちがうの?」

「違うの!お父さんはね、違うのよ!」


 パトカーからよっこいしょと身を乗り出した俺を見て、お母さんだった人がぐっと口をつぐんだ。

 膝の上に乗せた黒い学生服に包まれた、土の香り立ち上るしゃれこうべ。

 それから目を離したくても離せないようだ。

「ボクね、全部思い出したよ。お母さんはあなた達を仲のいい幼馴染だと信じてて、桜が咲くと花見に行こうって誘ってたね。でもあの年は、お父さんがお城の花見は人が多くて騒がしいから、お山で夜桜見物をしようって提案して。ボクが、裏山から登れる秘密の道があるんだよって、お父さんに教えたばっかりに、お母さんは行方不明になった」

 お母さんを脅かしてやろうって、くすくす笑いあったね。お父さん。

 秘密の通路なんだよって、ボクが、あなたを連れて行った。

 ざりざりとしゃれこうべにこびりつく土のかけらを手で掃う。白い服があんなに似合うお母さんだったのに、少し悲しくなった。

「子供の遊び道なんて、オトナが興味を示すのも不思議になんて思わなかった。だってあなたは父親だったから」

 子供には切り立った崖に見えた難所も、草丈で前が見えない場所も、勢いつけないと飛び越せない河原の浅瀬も、あなたはひょいひょいと切り抜けた。誰にも会わずに山の天辺に行けるって、驚いていたっけ……。


「ほう。誰にも会わずに山の頂上へ?」

 警察官の一人がメモを取りながら繰り返した。

「うん、行けるんだ。河原を抜けて丸太橋を渡って、がけをのぼれば表通りを通らなくても頂上に行けるよ」

「私は知らない!子供の戯言だ!」

「もう高校生だよ」

 月明かりに照らされる白い桜の花。集まると淡いピンクに染まる不思議な花だ。藍色の空が闇を引き連れているのに、桜の花の周りはやけに明るく、あの日、ボクはそこでお父さんとお母さんを見つけた。

 

「お母さんは赤い花束を持ってたんじゃなかったんだ。お母さんの白い服は、……胸元は、お父さんに刺されて真っ赤になってた」

「うそだ!私は山になんか行ってない!」

「そうよ!うそを言わないで!あなたの父親なのよ!」

 

「血を洗うために河原に戻ったよね。暴れるボクをわきに抱えて。二人ががりでもがくボクを水に沈めた。何度も、何度も。何も覚えてないと言うまで」


「ちがあああああうわああああ!「うそだあああああ!」


「四月下旬とはいえ川の水は、冷たかったよ。とても……とてもね」

 あのあと熱を出して寝込んだっけと言うと、では近くの小児科を当たってみよう、運が良ければカルテがあるかもしれないし、その前後を死亡時期と特定できれば、立件できるぞと警察官が動きだすのをしれっと制止する。むだだもんね。

「あのね、病院には連れて行ってもらってないよ。このまま死んじゃえばいいのにってうなされてるボクの頭の上で話してたもん。でもね、刺殺すのに使ったナイフ。ボクの友達が探して隠してくれてたんだ。忠霊塔の霊廟の中にあるよ。柾一郎じいさんの名前のところね、さがしてみて?」

 なんだと!いそげ!と声があがる。

 目に見えて慌てだす父と母だった二人。

「ばかな、あれは、捨……」

「ばか!」

「ほう、そこんとこくわしく」

 違う違うと泣き叫ぶ、両親だった人たちを冷めた眼差しで見下ろす。

 警察官は頷きあうと、両親のわきをかかえて車に乗せた。


 仰ぎ見れば、山の頂上は人だかり。風に乗って喧噪がとぎれとぎれ聞こえてくる。まばゆいライトが時折、夜を横切っていく。

 桜の根元に埋められた母の全身を掘り起こそうとしているのだろう。証拠として持っていったのがしゃれこうべだったのは、視覚の暴力にうってつけだったからで、本心ではない。

 できれば満開の桜の下でゆっくり眠っていてほしかった。

 まあ、それが叶うはずなどないことを知ってはいたけれど。


 そして俺の家の真ん前に、宮……辰之助と、刺殺されたはずの母が立っていた。


 俺の記憶と寸分たがわぬ、白いワンピースを着て、大輪の赤い花束を持ち、俺を見て微笑んでいる母と、学生服に制帽、マント姿の青年が立ってたんだ。


「……おかあさん、宮」

 ふり絞るように声を出す。かすれた、情けないくらい震えた声だ。それでも母はにっこりと微笑んでくれた。


 忘れててごめんなさい。

 お母さんを殺した奴と、のうのうと暮らしててごめんなさい。

 罪悪感に呑み込まれそうになった時。阿呆と軽くいなされた。辰之助だ。


「阿呆。思い出したら、殺されてただろうが。これはあれだ。正当防衛ってやつだ。油断するまで雌伏していたんだぞ」

「―――俺、お前ほど面の皮あつくないから」

 めっちゃ良い方に話をもってってくれてるけど、忘れてたってことは自分がよーーーーーく知っている。

「このやろめ、柾のひいひい孫のくせに!」

「辰之助」

「お、なんだ?」

宝物ナイフ隠してくれてありがとな」


 言葉にすれば、辰之助の顔が真っ赤に染まった。


「なあ、秋彼岸までは会えるんだろう?」

「阿呆。だからお前は阿呆だというんだ。亡者がいつまでも現世をほっつき歩いているわけないだろうが」

「だって!」

 会ってじゃねーか!遊んでただろう!

「まあな。お前の次代が産まれたら、忠霊塔に連れて来いよ。七つまでは遊んでやるからよ」

「俺とはあと二年も余計に遊んでくれたじゃねーか!」

「だってお前、幽鬼になりかけてたからな。俺が捕まえてなかったら、とっくに河を渡ってたわ」


 お、おう。


「じゃあ、来年の桜だな」

「いや、次に会うのは、お前がこちらに渡るときだ。その時お前が迷わないように、俺が先導になってやる」


 言い切られてすとんと腑に落ちた。

 ああ、これが最後なのだと。

 此岸で会えるのは今宵が最後。

 満開の桜の下での邂逅は、桜が散るまでのほんの少しの奇跡なのだ。辰之助の隣で、母が微笑んでいる。

「辰之助、母さんを頼むな」

「柾一郎にも頼まれてるから、心配すんな」

「えっと、俺のひいひいじいさんから?」

「おう。来るはずの孫娘が迷っているんじゃ成仏できねえってさ」

「そか……」


 風が吹く。

 連れて行くなと願うのに、風が残りの花びらたちを抱きかかえて行ってしまう。

 桜の香りが一層深くたちこめて、次の一瞬に駆け抜けていく。


「……またな。見えなくても話せなくてもいいや、また、桜の花の下、お前に会いに行くよ!」


 おう、またな。

 本当に顔を合わせるのは80年は後にしろよと軽い声が耳元で笑った。


 ※※※


 最後の一葉ならぬ、ひと花びらを眺めつつ、騒がしい学校へ通う学生服を見下ろす。

 桜の時期しか顕現を果たせぬ幽鬼に過ぎない身の上を嘆くことはもうない。

 桜の下で会おうと約束をした友とは、すべて会い、道案内を買って出た。さらに幽鬼に過ぎないこの自分が、友の血筋を守る守り鬼ともなれた。

 まあ、幽霊に毛が生えたくらいの力しか使えないが!

 心が死にかけていた友の血筋を救えた。それがこんなにも身の内を温めてくれる。

 生きながら心をすりつぶされていた、その子の心もまた、掬い上げることができた。

 だいたい、15歳でまだ俺の姿を見れることが異常だった。此岸と彼岸を知らぬうちに行き来していた証拠だ。


 今年が最後のチャンスだった。


 あの寝取り女が、子に絡みついて目を離さないから、ここまで時間がかかってしまった。

 まあ、あの人殺し夫婦は、いつ爆発するか分からない爆弾をふたりして見張っていたのだ。


 そして来春まで待ったら、桜の下の母親は成仏できず、夫だった男と、寝とった女を呪い殺し、さらに自分の腹を痛めて産んだ子の命の火まで喰らいつくして災いを振りまいていただろう。


 人を恨まぬ方が、人生は楽だ。

 人も物も運命も、恨まずにいられたら、それはとても幸運で幸せな一生を確約されたも同然だろう。

 

 生涯の友の最初の一言は、遅れてすまん、だったなと辰之助は思い出しながら、彼のひいひい孫を思った。


「あいつの血筋はみんな、俺にすまんっていうんだよなあ。あいつくらいは、迎えに来てくれてありがとよって、軽ーくむかえてくれねえかな」


 80年は先の未来を幽鬼に過ぎない守り鬼は夢描く。その時もきっと、子供の姿に戻って、あの山の天辺まで競争な!と叫んで走るのだろう。

 その時まで、俺はここで待つのだろう。


 満開の桜が咲くその日を。





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― 新着の感想 ―
[良い点] 哀しい話なのですがどこか御伽話みたいで雰囲気のあるお話でした! [一言] 八十年後にひいひい爺ちゃんと三人で楽しく話せるといいですね!
[良い点] 面白かったです。 ジワジワと不穏な空気になっていく様に桜がピッタリはまってました。 恐ろしい事実が隠されていたのですね。 [一言] 読み応えありました。
[良い点] 冒頭で積雪の処理をしていた彼女のイメージとのギャップがすごいですね。
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