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ラギーザの樹海にて……。①

久方ぶりですが、更新しますのでよろしくお願いします。では本編をどうぞ♪

「姫様、ガザック殿の話は後程……。まずは女1人と1頭の龍の捕獲クエストが国から通達が出ているのはご存じですよね?」


 突然何の事かと思い、予想していた話しとは違った様で、彼女は動揺を隠せずにいました。

 まあ、何に対して驚いたのかまではジョーカーにも分からなかった様です。


「え、ええ、勿論知っているわ。お父様は大層危険な存在として“討伐”をと最初は思った様だけど、でも急に彼等に興味が湧いて”捕獲”というクエストを出した……。」


「その通りです、今回はそのクエストを利用しない手はありません。まずは彼らを捕獲し、それを餌にガザック殿に騎士団に戻るように仕向けるのです……。」


「ふ~ん、成程ね……。でも、捕獲するのはかなりのリスクがあるんじゃなくて?」


「はい、普通に相対すれば………かなりの率で分が悪いでしょう。」


「ならどうするの?」


「丁度彼らは、”ラギーザの樹海”に向かうと連絡が入りました。今あの樹海には猛威を振るっているモンスターが居ります……。」


「えっ!?確かにあの広大な樹海にモンスターは数多く居るはずだけど、そんなに強いモンスターが?」


「はい、猛威を振るっているのは”夜叉蜘蛛やしゃぐもシャガラク”集団性があり、狡猾で残忍と謳われております。戦いで消耗している所を取り押さえればあるいは……。」


「あ、な~るほど。それは可能性があるわね、分かったわ。騎士団にそのように伝えて向かわせるわ。でも、彼らが倒されてしまったらどうするの?」


「そこは、遺体をバレない様に持ち帰り生きているように振舞うのです。ガザック殿が戻れば後はいかようにも……。」


「………貴方……なかなかの策士ね……。側近に雇っておきたいぐらいだわ。」


「お褒めいただき光栄に存じます。しかしながら、私にはお仕えする主がおりますので……。」


 右手で、左胸を押さえながらお辞儀をするこの男に興味が湧いたレミーナ姫でした。


「誰なのかしら。貴方の様な有能な人を雇っているのは?」


「…………神………。」


 顔を上げて、真っ直ぐレミーナを見つめるジョーカーに、照れたのか苦笑していました……。


「面白い人ね。では、貴方の主が神ならば貴方を是非引き抜きさせてもらうと話さないとね♪」


「光栄ですね、しかしながら我が主は世界を破壊しかねない程の力を有した御方です。ですので私を引き抜きに納得して頂けるかどうかは分かりませんよ。」


「それは、大変ね。なら丁重に交渉してみないといけないわね♪貴方が雇えるかどうか。」


「あまりご期待されぬ方が宜しいかと……。」


「クスッ、分かったわ。気を付けましょう。」


「では、私はこれで……。」


 部屋の中の暗闇に消えていきました……ドアの音もなく……確かにドアからは出てっては居ないんですけど。


「ふぅっ、明日になったら早速騎士団達に動いてもらわないとね……。」


 カップを片手に窓際から外を眺めていました。月明かりが照らす街並みを……。


「連れ戻してみせるわ、必ず……。」


 ……………………………………。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 で、ですね!そんな事になってるなどと全く知らない私達!

モンスター討伐へと出発しようとしていた時です!


「そ、村長っ!!」


 村の男性が必死の顔で走ってきました!


「どうしたのじゃ!」


「ラギーザの樹海を抜けようとしていた物資の調達隊が例のモンスターに襲われていると!!」


「何じゃとっ!」


 うわっ!マジですか!?被害が出る前に私達で向かおうとしている時に…………。


「それで、被害は?」


「はい、物資の3分の2がやられ………護衛と村の者が複数人大怪我をしていると!」


「マサト!急いで向かおう!!」


 ミネルザ……そうだね、急がなければ皆の命の危険が……私は頷いてミネルザを背中に乗せました。


「待ってくれ!俺たちも行くぞっ!!」


 え!?ガザックさん、別の任務があるんじゃぁ……。


「待っておくれ!お主たちには、別の事を頼んでおるはずじゃ!」


「それは分かってる、だがな人が被害にあっているのを見過ごせん!しかも、人を襲うって事はどの道近くの村や街も襲う可能性があるって事だ。そうなってからじゃ、悔やんでも悔やみきれないからな!まずは化け物退治が優先だ!頼む一緒に行かせてくれ!」


「私達からもお願いします!」


「ミネルザや……。」


 やっぱり、素敵な女性ですよ貴女は。何度でも惚れ直してしまう……♪う~ん頬ずり♪♪


「え、あ、マ、マサト……♪」


 お互いにハグし合って、愛を確かめます……♪まあ、周りは呆れてましたけど……。


「やれやれ……分かった、事が事じゃ!ガザック隊にも討伐を頼みますじゃ!」


「了解だ!よ~し!みんな行くぞぉっ!!」


「「「「「「「「おおっ!!」」」」」」」」


 凄い……そうとなったら行動が早い!たちまち、幌馬車が用意されて武器を手に皆駆け込むように乗り込んでいきます。


「待ちなされ!これを持ってお行き!」


「これは……?」


 木箱にびっしりと詰められた瓶が。


「解毒薬じゃ、相手は毒蜘蛛じゃ毒に犯されている者はこれを使いなされ!良いか、1人も漏らさず戻って来るのじゃ!」


「「はいっ!!」」


「出発だ!」


 こうして、私達は空から……ガザックさん達は地上から、樹海へと向かったんです…………。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 ラギーザの樹海………半径十数キロにも及ぶ密林地帯で、様々なモンスターが生息するエリアです。勿論虫や鳥類等も居ます、草食系から肉食系まで……。

 その中を1本道があり、直線ばかりではなく曲がりくねった道もありますが通り抜ける事が出来ます。しかし、その樹海の道中はそれこそ危険で命懸けな道のりでいつ襲われても不思議ではない地帯なんだそうです。どうやって道が出来たんだか……私は空を飛翔しながら、ミネルザから話を聞きつつ目的地へと向かっていました。その地帯の中で、一ヶ所だけ道からかなり離れた場所に古代寺院の様な遺跡があるとの事で、その奥にどうやら目的のモンスターが居るらしいとの話しでした。

 でも、先に先手をとられたかの様に人が襲われてしまった……。よく言われるように後悔なんて先に立つ物じゃありません、なので被害を少しでも食い止めたい!その思いで全力で飛んでました……。

 見えた!あれが樹海か?

 巨大な密林地帯が目の前に現れました。

 奥までなんて見渡せない程に樹木がびっしりと立ってます。これならば、モンスターも隠れやすいし、逃げたり攻撃したりしやすい場所でしょう。モンスター達には格好のエリアです。


「あれが道よ!」


 ミネルザが指した方に道がありました。

 ガザックさん達は………もう少し後か……ならば先に助けに向かわないと……。

 道に沿って、なんて言ってられません。私達は一直線で、襲われて居る場所へと飛んでいました……無事で居て欲しい……そう祈りつつ……。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



「キシャーッ!」


「くそうっ!何匹倒せば気が済むんだっ!」


「これじゃきりがないぞ!」


「早く怪我人を最後の馬車にっ!」


「全員馬車を囲めっ!何としても守るんだっ!!」


「「「「「「「「おおっ!!」」」」」」」」


 護衛が少数になって来ていて、多勢に無勢な状況になってます。無数に飛び掛かっている子蜘蛛の数からすると徐々に詰められています!しかも、1体1体が大きい……子蜘蛛と言っても体長1.5mぐらいはあります。それが下から上から護衛さんに襲い掛かってるんです、必死に薙ぎ払ってますが時間の問題でしょう…………。


「こ、このままでは………いいか!お前達は中に居るんだ、絶対外には出るな!!」


「パパッ!!」


「あなたっ!!」


 その調達隊の主が慣れていない剣を片手に外に飛び出そうとしたんです!しかし、それを狙われていたかのように1匹の子蜘蛛が襲い掛かって来たんです!


「グワァァァァァッ!腕がぁぁぁっ!!!」


「きゃあっ!あなたぁっ!!」


「パパァァッ!!」


 馬車の中に転げ落ちる主人、青ざめて抱き寄せるその奥さんと娘さん…………。そして、ゆっくりと1匹中へと入ろうとしてました。泣きじゃくりながらも主人の腕を押さえて必死に後ろに下がろうとしてます。


「ダメェっ!!」


「エマッ!!!」


 その時、娘さん……エマちゃんて言うんですね、その子が泣きながらも両手を広げて両親の前に立ちはだかったんです!お母さんが目を丸くして驚いてます!


「だ、ダメよエマッ!早くこっちにっ!!」


「やだっ!!」


「エマっ!!」


「パパとママを守るっ!!」


「え……エマ…………。」


「だっダメだエマっ!ぐっ……は、早くこっちに来るんだっ!」


「やだぁっ!パパとママが死んじゃうのはやあぁぁっ!!」


 エマちゃんが子蜘蛛を睨みつけます。べそをかきながらも目は真剣です……。両親もそんな娘を守ろうと身を乗り出しますが、身体が言う事を聞いてくれません…………。

 子蜘蛛がそれを無視するようにエマちゃんを襲おうと身を屈めました、エマちゃんも目を瞑って歯を食いしばります!


「ギギャァァァッ!!」


 悲鳴と共に何かが床に突き刺さる音がしました。しばしの間静かになって、襲われないのでエマちゃんはゆっくりと目を開いて見ると…………。


「あっ…………。」


 そこにはマリンブルーのロングヘアで鎧を身に纏い、剣を上から垂直に床に向かって突き立てている女性剣士が居ました。


「大丈夫か?」


 エマちゃんに微笑むその姿は、何より眩しくて可憐でカッコ良かったそうです。私が見たって惚れ惚れするんですよ、その姿……後で抱きしめとこ…………♪


 で、その少し前なんですけど…………。


(あれか!)


 私は前方に道の真ん中で、無数の蜘蛛に襲われている荷馬車の集団を見つけました。人の子供位の体躯をしている蜘蛛達が荷馬車の周りを囲んで護衛さん達に襲い掛かってました。

 その数およそ80匹………その中で倒された蜘蛛も居るので、残り60匹ほど。その内の1匹が馬車の中に侵入しようとしていました。


「しまった!1匹馬車の中にっ!!」


「くそっ!中には主と家族がっ!」


「み、身動きが取れないっ!!」


 すると中で何かを叫んで飛び出して来た人が!?剣を持って主人が蜘蛛を目掛けて振り下ろしていきます!しかし、剣術など皆無の主人に倒せるはずもなく……躱されて逆に左腕を噛み千切られ、馬車の中へと倒れ込んでました……中から絶叫が外へと響き渡ります…………。

 それを目撃した私…………何かが切れた音!?が聞こえてました…………。


(ミネルザっっ!!)


「えっ!?はっはいっ!?」


(私は周りの蜘蛛どもを蹴散らすっ!君は荷馬車の蜘蛛を退治してくれっ!頼めるかっ!!)


 私は半分!?いやもうちょっとか?我を忘れていました。


「わ、分かったわ。大丈夫、問題ないわ!」


 私が初めて怒りを見せたので、彼女が動揺してますが人を助ける事には変わりない。すぐに切り替えて戦闘態勢に。


(ギリギリまで近づくから馬車の上で飛び降りてもらっていいか?)


「任せて!中の人達は助けるっ!」


(頼んだ!君も気を付けて!)


「貴方もねっ!」


(了解だ!奴らを蹴散らすのみだっ!)


 私は一気に馬車へと急降下していきます!


「オオオオォォォォッ!!」


 怒りの咆哮を上げつつ、降下していきます!突然現れた私に人も蜘蛛も全部が上を見上げていました。

 居たっ!!馬車の中を入ろうとしている1匹、しかも噛み千切られた左腕を咥えたまま……今は龍でも私も元は人間、いくら奴らが群れで狩をすると言っても……食物連鎖だと言っても……私の気持ちは許せない…………。


(今だっ!!)


 私の掛け声と共にミネルザがジャンプして剣を抜き、子蜘蛛目掛けて垂直に振り下ろしていきました……。

 私はそのまま上昇していきます!


「な、何だ!」


「こ、こんな時に!」


「ど、ドラゴン迄…………。」


「樹海に居るなんて聞いてないぞっ!!」


 私はある程度上昇すると、ホバリングして振り返り両方の翼を目一杯に広げてそれを勢いよく前へと突き出します!その風の力により細い竜巻が6本起こり馬車の周りを取り巻いて行きます!


「ギギャァァァ!!」


「ギィィィィィ!!」


 蜘蛛達が竜巻に次々と巻き込まれていき、遠くまで吹き飛ばされていました。荷馬車や護衛の人達から蜘蛛が一掃されていきます…………。


「ど、どうなってる!?」


「た、助けてくれたのか!?」


「おい!騎士が居るぞ!」


 馬車の入り口で外に向かって剣を突き刺した子蜘蛛を振り払う女性剣士の姿が……。剣を納めると直ぐに主人の傍に。


「パパァ、パパァ!?」


「あ、あなた!」


「ぐ……う………。」


「お~い!!無事かぁっ!」


「おお!騎士団だっ!」


「元、だけどな!助けに来たぞ!」


「済まない!荷物は良いがケガ人が居る、手当を頼めないか?」


「分かった!みんなケガ人の手当てを!」


「「「「「「「「おおっ!!」」」」」」」」


 それぞれが手際よくケガ人を手当てしていきます。凄いな慣れた手つきだ、場慣れしている……さすがだな…………。


「ガザック!こっちに!」


「どうした!?なっ!?これは…………。」


 ミネルザに呼ばれて馬車の中に入るものの……とても治せる状態ではありませんでした…………。

 何とか止血はするものの、切断されている腕を着けるには……そんな技術の持ち主はこの場には居ません。


「お願い!パパを治して!おねえちゃん!?おじちゃん!?パパの腕を治して!お願いっ!」


 みんなうつ向いてしまいました。エマちゃんの気持ちは痛いほど良く分かるんです……でも、誰もそれを治す事が出来ずにいました。私は、馬車の傍に降り立ちました。護衛の人達は慌てましたが、ガザックさんが味方だと話してくれたので、パニックになる事はありませんでした。

 

「ねえ、龍さん、お願い聞いて!パパを治して欲しいの!何でもするから!お願いっ!」


 両手を組んで涙目で懇願してくる彼女……助けてはあげたいんですけどこればっかりは…………!?

 あ……そういえば…………以前ミネルザの怪我を治したことがあったっけ…………やってみる価値はあるか…………。


(ミネルザ?)


「なに?マサト。」


(外に敷物を敷いて主人さんをそこに。そして、左手を左の腕の傍に。)


「わ、分かった、ガザック手伝って。」


「お、おう。」


 3人がかりで主人を外の敷物の上に寝かせます。それと左手と……。


「いったいどうする気だ?」


「しっ!」


 私はゆっくりと右前脚を出して主人の左腕の上に。かざすようにして念じます…………。

 すると、かざしている左の肩から指先まで白く光り輝きくっついて再生していきます!傷口も塞がり細胞や神経も回復します。おおっ!試しにとは思ったけど、こんなに凄いとは……やっぱりチートかなこれ…………。

 出血も止まり、主人も落ち着いたようです。とは言っても体力が回復して無いので安静が必要ですが……。エマちゃんと奥さんが主人を抱きしめてます、毒が無いだけ良かったと言うべきかな。

 嬉しそうな泣き顔に私ももらい泣き………って私の涙って貴重!?


「さすが、私の彼氏だな。惚れ直した♪」


 ええっ!!ミ、ミ、ミ、ミネルザ………いやぁ~ん、照れる~~♪両前足で顔を覆って……と言っても覆いきれませんけど!いきなりサラっと言って来るんだから♪おじさん動揺、嬉しいけど♪


「龍さん、ありがとう♪」


 いやいや……私は首を横に振っていました。私は治すためのきっかけをしたにすぎない、彼の生きたい思いが回復へと繋がっただけ…………。

 私は自然とエマちゃんの頭を撫でてました、健気な子だ…………。


「ギィヤァァァァァァッ!!」


 突然、気味の悪い咆哮が響き渡りました!むっ!?あれ、さっきミネルザから聞いた寺院の遺跡か?その上によじ登っている奴が居る…………。

 距離は600mぐらいでしょうか古代寺院の遺跡があってその奥に奴のアジトがあるとミネルザから聞いてました。むう、あの姿はザクっとですが8本の細い脚とあの体躯……でも何だ?他にも脚のような物が見えるけど…………。


「奴がお出ましの様だな。」


 ガザックさんも気が付きましたか、まああんな気味の悪い咆哮を上げるんですから分かりやすいかも。遠くから見てもそのシルエットは私でも不気味に思えるのでした…………。



 


読了ありがとうございます。亀更新で申し訳ありませんがお付き合いください。

                              紅龍騎神でした……♪♪

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