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仕事と恋は両立できない?

作者: りんご

初投稿です。

思いつきでガーッと書いたので、見づらい点もあると思いますが、優しい目で見てください。

貴族のお嬢さまは、家柄、容姿、立ち振る舞いが素敵な方と結婚する事が幸せ。

貴族令嬢としての務めである。


私はミリア・ハーヴェスト伯爵令嬢。16歳。

婚約者はサルドーレ・ハルバート侯爵子息。18歳。


私は商売が大好き。

お金が欲しいのではなく、人との関わり、新しいことの発掘、他との競走など、魅力ある仕事だから。


それなのにザ・貴族の両親は商売などやめて、早く幸せになりなさいという。

結婚が幸せなんて誰が決めた?

しかも貴族令嬢は政略結婚が当たり前。

好きな人の結婚ならなんとなく分かる。

家柄や容姿、立ち振る舞いだけで決めるなんて、中身がダメ男だったらどうするんだ!

そのくせ、家の事は女の仕事、夫を立てるのも女の仕事。

ダメ男だろうと立派な紳士に仕上げるのが女の務めだと言う。

いや、マジふざけんな。


で、この婚約者がバカ息子のダメ男。

侯爵だから、金だけは持ってるのよねー。

両親はそこに食いついたのだろう。

しかし、この男。

湯水のようにお金は使うわ、悪趣味な服装、装飾品を身につけるわ···。

ギラギラして目に痛い服装といえば分かるかしら。

それに領地経営や、商才も皆無。

話も自分の自慢ばっかり。

侯爵家は厄介払いしたいだけじゃないかしら。


「貴族令嬢が商売などみっともない。貴族として恥ずべきだと思わないのか?そんなに金が欲しいのか。それよりその見た目に気をつけろ。地味で面白くもないのに、そこは努力しないとは·····侯爵家に恥をかかせる気か!」


「はぁ。」


「商売で少しぐらい儲けてるからなんだ?そんなものに価値などない。美しく着飾り、社交に勤しむべきではないのか?そんなこともわからないとは嘆かわしい。」


「はぁ。」


「聞いているのか!!」


「はぁ。」


「まったく!このナターシャを見習ったらどうだ!優しく、美しく、それに私と釣り合っているだろう?お前には無いものだな!」


「はぁ。」


ここは学園の裏庭。

このダメ男は堂々と別の女をそばに置いて、毎日ベタベタと過ごしている。

一応、婚約者は私なんですけど?

それって浮気ですよね?

なんで堂々と自分の恥を自慢するんですかね?

まぁどうでもいいから、放置してる私も私ですが。

私の見た目は黒い髪、翡翠の瞳。

髪は簡単にサッと纏めて、前髪は目を隠すぐらい長い。

侍女にも両親にも文句言われてる。

見せたい人もいないのに、着飾る必要あります?


「···用事がそれだけなら、もう戻ってもいいですか?」


めんどくさくなった私は、さっさと帰りたくて呟く。

ダメ男は顔を真っ赤にして、怒っている。


「貴様のような女なんて、こちらから願い下げた!父に報告して、この婚約は破棄してやる!!今から縋ってきても遅いぞ!俺にはナターシャがいるからな!」


「サルドーレ様、本当ですか···?嬉しいわ!」


はいはい、存分にどうぞ。

むしろ、こちらからお願いしたかったぐらいよ。


「はぁ。では、そちらから破棄を伝えてくださいね。家同士が納得出来れば私はそれでいいので。」


ぺこりと頭を下げて、さっさと立ち去る。

はぁ、これで肩の荷が降りるわ。

商会にも集中できるし、ありがたいわ!

近々大きな商談もあるし、こうしちゃいられない!


「では、失礼します!」


唖然としてたダメ男を残して、実家の馬車へ向かった。

家に着いたら両親に先程のことを伝えた。

父は顔面蒼白、母は泣き出した。

だから、結婚したくないって言ったのに。

実家は兄が継ぐし、私は1人気ままに生きていきたいのよ!

商売がしたいのよ!


それより、来週の商談だわ!

さっさと部屋へ戻り、商談の準備を始める。

資料の作成、商会員への連絡、商品の確保、相手方への連絡などやることは山ほどある。

信頼できる商会員ばかりを集めた私の商会は、実は結構大きな商会である。

両親に何度言っても信じてもらえないけど。

大きい商会の代表者ぐらい把握しときなさいよ。

学園の成績は優秀なので、少しくらい休んでも大丈夫だし、商談には私が出席した。


「お初にお目にかかります。キルア商会の代表を努めますミリア・ハーヴェストです。」


「ご丁寧にありがとう。私はアレス・ベンヤードです。隣国でミスリア商会の代表を務めております。こんなに美しい方が代表とは思いませんでした。」


「ありがとうございます。さっそくですが、お話を進めてもよろしいでしょうか?」


アレス様は金髪、碧眼の美丈夫。

私よりいくつか上かしら。

代表をしてるだけあって、貫禄もある。

堂々とした態度も好ましいわ。

流石隣国一の商会ね。


商談はとても上手くいった。

アレス様は頭の回転も早く、スムーズに進んだ。


「ハーヴェスト嬢、よろしければ貴女を食事へ誘う栄誉をいただきたいのですが···。」


「···まぁ、嬉しいですわ。ぜひご一緒させてくださいませ。」


こんな丁寧なお誘いは初めてだわ。

女の商会長なので、舐められたり、上から目線の誘いはあったけど···。

驚いて言葉が詰まっちゃったわ。


夕食は個室のある有名なお店。

もちろん未婚の2人なので、入口のところにはお店の方、もしく従僕がいる。

とても話の上手な方で、お酒片手に話が弾む。


「ハーヴェスト嬢。不躾で申し訳ありませんが、近頃ご婚約が白紙になったと伺ったのですが。」


「まぁ!お恥ずかしい限りですわ。実はお相手の方に素敵な出会いがあったようで···。」


隣国の一貴族の婚約事情まで把握してるとは。

さすがね。

こうでなくては商会長など務まらないのかしら。


「ベンヤード様····。高貴な血筋とお伺いしておりますわ。ミストレイ様とお呼びするべきでしょうか。」


美丈夫の眉がピクっと動く。


「···さすが、お耳が早い。どうぞ私のことはアレス、と呼んでいただきたい。」


「ありがとうございます。よろしければ私もミリアと。」


楽しくも、お互い腹に一物かかえた状態での会話。

これよ!これ!

ヒリヒリとした緊張感。

嫌な気持ちではなく、お互いを尊重しながらも、探り合うような駆け引き。

これだから商売は辞められないわ。


「とても楽しい時間だった。美しく、賢い貴女とも会話は心が踊りました。また次の機会を設けて欲しいところです。」


「こちらこそ素敵な時間をありがとうございます。今後もお付き合いをお願いしたいのはこちらの方ですわ。どうぞご贔屓に。」


握手をして、馬車で家まで送り届けてもらった。

···皆さま疑問に思ったかもしれませんが、私は別にブスではないのです。

黒髪を淑女に相応しく結って、前髪も後ろへ撫で付け、白い肌に綺麗なメイクを施せば、それなりの顔になるようです。

これは商売用の武器なのです。

なぜ、学園ではやらないのか?

商売も絡まないのに、そんな苦労はしたくありません。

仲の良い友人は知ってますし、別に隠しているわけではないのです。

社交へ出向く時には、きちんとしてます。

あのダメ男、サルドーレ様は1度もエスコートしたことないので、知らないようです。

社交の場で会っても気づかなかったわ。


それから、アレス様とは2週に1度お会いし、商談からの食事が当たり前になった。

とても刺激になるし、面白い話も聞ける。

それに女性として丁寧な対応をしてもらって、ときめかない女がいるでしょうか?


「ミリア嬢。どうか私と婚約していただけないだろうか。貴女のように賢く、美しく、素敵な女性は今まで出会ったことがない。商才も含めて、好ましく思っている。」


「·····私などで本当によろしいのでしょうか。」


「など、とは聞き捨てならない。私の愛しい人を貶めないでいただきたい。」


「どうぞ、よろしくお願いします。」


それからお互いのご両親へ報告し、婚約した。

両親は目を見開き、ひっくり返りそうなほど驚いていた。

そしてとても喜んだ。




それから1ヶ月後。

王族主催の隣国との交流パーティに参加することになった。

アレス様からは濃い青のドレスと翠の装飾品が送られ、侍女が大喜びで支度をしてくれた。

自宅には豪華な馬車が止まり、アレス様が降りてきて、手を引いてくれる。


「私の女神は今日も美しいな。」


「ありがとう。でも、女神なんて···言い過ぎですわ。」


婚約してから、ちゃんと美容にも気をつけてみた。

やっぱり愛する方には、綺麗な私を見ていただきたいし。

元々素材が悪くないのに、こんな手抜きをして!と怒っていた侍女たちが、もう張り切りだして···。

頭からつま先まで、ひたすら磨かれましたとも。

友人にも綺麗なったと褒めてもらった。

やっぱ恋は女性を美しくするのね、とからかわれることもしばしば···。


お城について、アレス様のエスコートを受けて入場する。


「隣国ミストレイ王国第五王子、アレス・ミストレイ様。伯爵家ご息女ミリア・ハーヴェスト様のご入場です。」


ざわっと驚きのささやきと好奇の視線にさらされる。

これでも商会長よ。

多少のことでは動揺しないわ。

綺麗なカーテシーをして、静々の入場する。

さわがしい喧騒を抜けて、先に王様へ挨拶をしに行く。


「ミストレイ王国国王の名代として参りました、アレス・ミストレイです。この度はご招待いただき、感謝申し上げます。」


「ハーヴェスト伯爵家、長女のミリアでごさいます。このような名誉ある場に参加できたこと、誠に光栄でございます。」


「うむ。顔を上げよ。お二方は婚約されたとのこと。誠にめでたい事である。両国の大きな商会が結びつくことに繋がったことを、喜ばしく思う。今後も両国の繁栄に務めてもらいたい。」


「「もちろんでごさいます。」」


それから、友人へアレス様を紹介した。

あまりの大物に皆緊張してたわ。

それから、商会の繋がりのある各家の当主や親族へ挨拶して

、やっと一息つくことができた。


「ミリア、大丈夫か?疲れただろう。」


「アレスこそお疲れ様でした。少しゆっくりしましょうか。」


飲み物片手にテラスへ向かい、少し休憩する。

でも、場所が悪かったらしい。


「お、お前···!ホントにミリアなのか!?なんだその格好は···。いや、美しいな。」


バカ息子のダメ男に見つかった。

めんどくさい。

側には薄ピンクの可愛らしいドレスに身を包んだナターシャを連れている。

てか、ナターシャ様?アレスのこと見すぎじゃない。

頬染めて、見つめてるけど、そっちも婚約したんじゃないの?


「···ハルバート様、お久しぶりでございます。申し訳ありませんが、もう婚約者ではありませんので、名前を呼び捨てにするのはやめていただけますか。」


婚約者でもない女性を呼び捨てるって···常識ないのかしら。

あぁ、なかったわね。


「ミリア。こちら方々は?」


知ってて聞いてますね?


「侯爵家のハルバート様と婚約者のナターシャ嬢ですわ。私の元婚約者でもあります。」


「···ほぅ。私はアレス・ミストレイ。ミリアの婚約者だ。」


あ、よろしくするつもりはないんですね。

名は名乗ったけど、その続きがなかった。


「···う、うむ。私はハルバート侯爵家のサルドーレです。ミストレイ様、お会い出来たこと光栄でございます。今後とも···。」


「ミストレイ様!初めまして。ナターシャ・バカリアです。お会いできて、とても嬉しく思いますわ。ぜひお話させてもらいたいわ。」


ハルバート様の言葉を遮るなんて···失礼だし、礼儀がなってないわ。

挨拶の仕方も令嬢としてひどい。

淑女教育受けてないのかしら。


「ミリ···いや、ハーヴェスト嬢。貴女は、その···大変変わったな。とても美しい。私は貴女を勘違いしていたのだな。もっと話をして、お互いを知るべきだった。いや、今からでも知り合っていけるはずだ。今度食事でも···。」


いやいやいやいや···。

婚約者がいる女性に何を言ってるんだ。

相手にも失礼でしょう。

今さら手のひら返されても、迷惑なだけだわ。

淑女の笑顔を浮かべたまま、死んだ魚のような目を向ける。


「あの、あの!アレス様とお呼びしてもいいですか?ナターシャはアレス様と仲良くしたいです。今度お茶会にいらっしゃいませんか?あ、もしくは隣国へ行く時に案内してもらうとか···!」


貴女も何を言ってるのでしょう。

バカ?バカなの?

名前を勝手に呼ぶのもダメだし、婚約者のいる男性をお茶会

に誘うのもダメだし、そもそもハルバート様と婚約してるんだから、その誘うような上目遣いとか有り得ないから。


「···バカリア嬢。貴女に名前を呼ぶ許可を出していないし、お茶会に誘うなど、有り得ない。常識を一から学び直すといい。頭からっぽな婚約者殿と一緒に。貴方達に社交の場はまだ早かったようだな。」


ぎしりと二人が固まる。

おぉ···辛辣。

笑顔でなんてことを言うのか。

余り怒ることのない婚約者の別の一面を見たわ。

いつも柔らかい笑顔だから、ギャップも素敵ね。

ハルバート様はまた真っ赤な顔で怒り、バカリア嬢は涙目になっている。


「ふぇぇん。ミストレイ様ひどいですわ。ナターシャは傷つきました。お詫びに明日のお出かけをエスコートしてください。」


ず、図々しい。

そして図太いわ。

隣のハルバート様を見て、すごい目で睨まれてるから。

もう言葉がでない。


「ナターシャ!婚約者の前で失礼だろう!お前には私がいるではないか!!他の男に色目を使うなど、恥を知れ!」


「サルドーレ様、ひどいですわ。ただお出かけするだけなのに···。そんなことで怒るなんて、あんまりですわ。」


もう絶句·····。

不快感が凄すぎて、手を添えていた腕にギュッと擦り寄る。

こっちに構わず、言い争っている二人。

他所でやってくれないかな?


「すまないが、騒ぐなら衛兵を呼ぶぞ。迷惑だ。さっさと下がるがいい。」


縋り付いてた手が腰に回され、抱き寄せられる。

その言葉に渋々と二人はさがっていった。


「我が国の恥をさらしたようで、申し訳ありません。」


「いや、ミリアこそ嫌な思いをしただろう。腕に縋り付くなんて、可愛らしいことをする。」


顔に熱がともる。

だって、やっぱりアレスが他の人に誘われるなんて嫌だし、純粋に迷惑だったし。


「さて、私の可愛いミリア。口付けを許してくれ。」


「もう!!聞かないでくださいませ!」


くすくすと笑いながら、優しい口付けが降ってきた。

仕事も恋も両立できるなんて思わなかった。

商売する貴族令嬢は嫌われるし、一生一人でもいいと思っていたのに。


「貴女のような魅力的な女性と婚約できて、私は幸せ者だな。」


一粒の涙が頬を伝う。

あぁ、仕事を愛する私、恋する私、全部ひっくるめて受け入れてもらえて、とても幸せだ。


その後、キリア商会とミスリア商会は合併し、私達は共同商会長となった。

本店をミストレイ王国へ置き、私はミストレイ国で生活を始めた。

もちろん、愛しい旦那様と一緒に。

商売も、家のことも、子育ても一生懸命こなした。

私は素敵な人生を過ごすことができたわ。


仕事と恋は両立できるのよ!






最後が決まらなかった···。

文才が欲しい。

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[一言] 十分にまとまってたと思いますよー。 面白く読ませて戴きました。 バカリアって…素晴らしいセカンドネームっすね(笑)
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